“合意の上での性行為”と“レイプや性的暴行”の境界線とは? ある女性がシェアした実体験に基づく「私がレイプされなかった時」と題した3つのストーリーが伝えることとは?

性的暴行の被害者たちを悩ませる「質問」

 「MeToo」や「Time’s Up」に続く新たなセクハラ・性的暴行撲滅運動として、昨今大きな注目を集めている「Why I Didn’t Report(私が被害を告発しなかった理由)」

 ドナルド・トランプ大統領に米最高裁判事として指名されたブレット・カバノー氏が、高校在学中に女学生に対してレイプ未遂をはたらいたという疑惑を巡る騒動をきっかけに活性化したこのムーブメントでは、「Why I Didn’t Report(私が被害を告発しなかった理由)」のハッシュタグを使って過去の性的暴行被害を告白する被害者たちが続出。この運動をサポートするべく、数々の有名セレブも自身の体験を告白し、声を上げている。

画像: 性的暴行の被害者たちを悩ませる「質問」

 「Why I didn’t Report」を通じて、長年胸の内にしまい込んでいたセクハラやレイプ被害をようやく告白した女性達が、“事件発生当時に被害を告発できなかった理由”として多く挙げているのが、周囲から「当人に原因があったのではないのか? 」という疑いの目を向けられることを恐れたからというもの。

 「挑発的な洋服を着ていたのではないか? 」、「酒に酔っていたのではないか?」、「相手に対して思わせぶりな態度を取っていたのではないか? 」といった、まるで被害者側に落ち度があったかのように責め立てる「ヴィクティム・ブレ―ミング(Victim Blaming)」は、性的暴行の被害者たちの口を封じ、実際の被害に加えて被ることとなる悪しき“セカンド・レイプ(二次被害)”として蔓延してきた。


「私がレイプされなかった時」

 被害者たちを傷つけるこれらの質問の答えが、もし「イエス」だったとしても、“女性がレイプされても文句を言えない理由”には決してならないことを証明し、世の男性たちに「合意の上でのセックスとは何か? 」を伝えるため、女性コメディアンのマーラ・クイントがツイッターに「私がレイプされなかった時」と銘打った自身の実体験に基づく3つのエピソードを投稿。

 世間で反響を呼んでいる、マーラのエピソードを紹介。

<エピソード①>
高校生の頃、自分に自信を持ちたくて、普段は着ないような、体のラインが露わになる胸元が大きく開いた洋服を着て、濃い口紅を塗ってパーティに出かけた。安いワインクーラーをしこたま飲んで酔っ払った私に、ある男性が「一緒に抜け出そうか」と声をかけてきた。ベロベロに酔って呂律の回らない私が「たぶん」と答えると、彼は「『たぶん』は『イエス』じゃないよね」と言って去っていった。
その夜、私は犯されずに家に帰った。
だって私が出会ったその男性はレイピストじゃなかったから。

<エピソード②>
女友だちとバーに出かけた私は、店で知り合ったある男性といい感じになりイチャイチャしていた。彼は私の手を掴んで店の外に連れ出し、暗い路地に連れて行って激しくキスをし始めた。彼が私の目を見て「いいかい? 」とたずねた時、私は何も答えなかった。すると彼は「じゃあ、店の中に戻りなよ」と言って、私から離れた。彼はもしかしたらイラっとしていたかもしれないけど、私は無事に店内に戻った。
私がバーで出会ったその男性はレイピストじゃなかった。

<エピソード③>
ある時、私はある男性とイチャイチャしていた。彼は私を自分の部屋に招き、私たちはキスをした。私が彼とのキスが好きだと言うと、彼は着ていた服を脱ぎ、私は彼の体に触れた。彼が私の服を脱がそうとしたとき、私は抵抗した。「君はそういう気分じゃないみたいだね」と言った彼に、私が「えっと…」と口ごもると、彼は「やめよう。君がその気じゃないなら楽しくないしね」と言った。私が「ごめんださい」と口にすると彼は「大丈夫だよ」と答えた。
私はその日、性的暴行を受けずに彼の部屋を後にした。
幸運なことに、私がその夜出会った男性はレイピストなんかじゃなかった。

 一見、男性との気まずい状況を描写しただけのように見えるマーラのエピソードだけれど、これらに込められているのは、セクシーな格好をしていたとしても、飲酒して酔っていたとしても、たとえ、ハッキリと「ノー」と言うことができなかったとしても、女性がその気でない素振りを少しでも見せた場合には、男性は「セックスの合意を得たもの」ととらえて先に進むべきではないという警告。事におよぶ前に、はっきりと相手の意思を確認する必要があると主張している。

 マーラは、彼女が肉体関係を結ぶことに躊躇した瞬間の空気を敏感に察知し、行為におよぶことを断念した男性たちに感謝しているようにも受け取れる。彼女のエピソードに登場した男性たちの行動こそが、世の男性が“性的暴行の加害者”とならないために守るべき一線なのではないかと考えさせられる。

 現在海外のSNS上では、マーラの投稿に影響を受けた女性たちによる、きちんと彼女たちの意思を尊重して"越えてはいけない一線”を守ってくれた男性とのエピソードが続々と投稿されている。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.