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 アリアナ・グランデの最新アルバム『サンキュー、ネクスト(thank u, next)』には、亡くなった元恋人でラッパーのマック・ミラーの「面影」がそこここに。(フロントロウ編集部)

 アリアナ・グランデが、全作の『スウィートナ―(Sweetner)』からわずか6カ月という異例のスピードで自身通算5枚目となるアルバム『サンキュー、ネクスト(thank u, next)』をリリースした。

 発売開始からわずか1時間ほどで米iTunesチャートの1位に躍り出た同作には、先行リリースされたタイトル曲の「サンキュー、ネクスト」、「imagine(イマジン)」、「7リングス(7Rings)」そして、アルバムリリースの直前にMVが公開された「ブレイク・アップ・ウィズ・ユア・ガールフレンド・アイム・ボアード(break up with your girlfriend, i’m bored)」のほか、全12曲が収録されている。

 何度も聴きたくなるキャッチーなミドルテンポのナンバーのほか、アリアナの美声をたっぷりと堪能できるバラード曲まで、等身大のアリアナの“今”を表現した数珠の名曲がぎゅっと詰まった『サンキュー、ネクスト』。

 アリアナはこのアルバムの随所に、2018年秋に薬物過剰摂取が原因で突然この世を去った、かつての恋人でラッパーのマック・ミラーにまつわるものと思われるフレーズやヒントを散りばめている。

画像: 交際当時のアリアナとマック。2人は2016年の半ばからマックが亡くなる約4カ月前の2018年の5月まで2年間ほど交際していた。

交際当時のアリアナとマック。2人は2016年の半ばからマックが亡くなる約4カ月前の2018年の5月まで2年間ほど交際していた。

 アリアナがマックへの想いや彼との関係を歌ったと推測されている、6つのポイントをピックアップ。


<1>「イマジン」の楽曲タイトル

 先行曲第2弾として公開された「イマジン(imagine)」は、タイトルそのものに深い意味があると言われている。日本語にすると「想像」を意味するこの言葉は、じつはマックの右腕に入っていたタトゥーと同じ言葉。

画像: マックの右腕内側には”Imagine"のタトゥーが。

マックの右腕内側には”Imagine"のタトゥーが。

 アリアナはこの曲が具体的に誰に宛てた曲なのかは明かしていないが、リリース前にファンから「『イマジン』は何について歌った曲なの?」と聞かれた際には、「今、そしてこれからも永遠に手にすることのできない美しい愛について歌った曲よ」と答えている。

 さらに、その後インスタグラムのストーリーにアップした投稿では『イマジン』は現実を受け入れられないことを歌った曲かな」と説明していることから、「イマジン」は現在進行形の恋ではなく、もう一生戻ることのできない幸せな日々について歌った曲、つまり、アリアナは同曲で今は亡きマックへの想いを歌っていると解釈されている。


<2>「イマジン」のホイッスル・ボイス

 「イマジン」にはボーカルの手法でもマックとの繫がりを表している部分が。

 幅広い音域をもつ女性シンガーたちの中でも、“ホイッスル・ボイス”と呼ばれる、まるで笛の音に聞こえる超ハイトーンボイスを奏でられるのはほんのひと握り。

 アリアナは、マライア・キャリー、ホイットニー・ヒューストンなどとともに、この“ホイッスル・ボイス”を持つ数少ない歌姫の1人に数えられているが、これまで、彼女がこのホイッスル・ボイスを披露した楽曲は、2013年にリリースしたマックとのコラボ曲「ザ・ウェイ」だけだった。

 しかし、アリアナは「イマジン」で再びこのホイッスル・ボイスにチャレンジ。意図的なものであるかは分からないが、2曲のホイッスル音を比較して「鳥肌が立った」というファンが続出している。

終盤の2:45辺りを参照。

終盤3:15辺りを参照。


<3>「イマジン」の歌詞

 「イマジン」の中盤に登場する歌詞「I Never Thought That It Would Be You(ベイビー、あなたが私にとって“その人”だったなんて思いもしなかった)」は、マックが生前にリリースした、アリアナについて歌ったと言われる楽曲「シンデレラ」に登場する歌詞に関連があるものだと言われている。

 「シンデレラ」の中で、アリアナがまさか自分に恋心を抱いてくれるとは思っていなかったと歌っているマック。リリックの中には「You used to tell me all the time I ain't your type.(君はずっと、俺のことなんてタイプじゃないって言ってたのに)」という一節があり、アリアナが「イマジン」で歌っている内容とつじつまがピッタリと合う。


<4>「サンキュー、ネクスト」で歌った感謝の言葉

 元カレたちへの感謝と次のステップへと進む決意を歌った「サンキュー、ネクスト」では、これまでに交際した男性たちの名前を挙げ、それぞれへのメッセージを込めているアリアナ。

 同曲でアリアナは、マックを本名である“マルコム”と呼び、「マルコムに「ありがとう」って言いたかった/だって彼は天使だったから」と歌っている。


<5>「ブラッドライン」の歌詞

 「あなたの子どもは欲しくない(血縁関係を築きたいわけじゃない)」と、後腐れなく、自由な恋愛を楽しみましょうと歌う刺激的な内容の歌詞が話題の「ブラッドライン(Bloodline)」には、この歌の主人公が、“なぜ恋に投げやりになっているのか”を明かす一節も含まれている。

 それが「I Ain't Lookin' For My One True Love Yeah, That Ship Sailed Away(真実の愛なんて求めてない。そんなものは、とっくにどこか遠くへ去ってしまった)」という部分。

 これが、彼女にとって“真実の恋”の相手だったマックが永遠に遠くへ行ってしまったという現実でのエピソードとリンクしているのではないかと言われている。


<6>「ゴースティン」の歌詞

 アリアナが「恋人がいるのに、まだ別の誰かを想っていることを申し訳なく思う気持ちを表現した曲。彼自身、どうしてもその人には叶わないことは分かっているから辛い。だから、何も言わずに姿を消そうかな…という歌よ」説明した「ゴースティン(ghostin)」では、この“別の誰か”がマック、そして“恋人”がマックの死後、アリアナが婚約を解消したコメディ俳優のピート・デヴィッドソンにあたるのではないかと予想されている。

画像: ピートとアリアナは2018年の6月に交際発覚から数週間でスピード婚約。マックが急逝した翌月に破局・婚約解消した。原因はアリアナがマックの死に精神的にかなり強いショックを受け、そのことが原因でピートとの結婚に前向きに考えることができなくなってしまったと言われている。

ピートとアリアナは2018年の6月に交際発覚から数週間でスピード婚約。マックが急逝した翌月に破局・婚約解消した。原因はアリアナがマックの死に精神的にかなり強いショックを受け、そのことが原因でピートとの結婚に前向きに考えることができなくなってしまったと言われている。

 同曲では、アリアナの言葉の通り、新たな恋人に対して、過去を忘れられない負い目や、それに理解を示してそっと寄り添ってくれることへの感謝などを歌っているが、歌詞のなかには、過去の恋人(マック)への強い想いを感じさせるフレーズが複数盛り込まれている。

「I Know That It Breaks Your Heart When I Cry Again Over Him(彼のことでまた泣いている私を見て、あなたが心を痛めているのは知ってる)」

「Though I wish he were here instead/ Don't want that living in your head/ He just comes to visit me/ When I'm dreaming every now and then(彼が今もここに居てくれたらって願ってるけど/あなたの頭の中にまで棲みついて欲しくない/夢の中で彼は私を訪ねてくるの)」

 さらにファンたちの間では、「ゴースティン」には、マックの遺作となったアルバム『スイミング(Swimming)』の収録曲「2009」がサンプリングされていると話題に。2曲を比べる音源がSNS上で注目を集めている。

前半がアリアナの「ゴースティン」、後半がマックの「2009」。


 マックの死から約5カ月を経てリリースされた『サンキュー、ネクスト』。アリアナは同アルバムに、元恋人マックへのもう届くことのない想いや、彼を失った悲しみを乗り越えようと今も、もがいているせつない気持ちをひっそりと忍ばせていた。(フロントロウ編集部)

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