2月10・11日に行なわれたジャネット・ジャクソンのステイト・オブ・ザ・ワールドの来日公演には、アメリカ社会にはびこる社会問題を訴えかけるメッセージが満載だった。(フロントロウ編集部)

心に響くジャネットの来日公演

 ジャネット・ジャクソンが、3年ぶりの来日公演を果たしたワールド・ツアー「ステイト・オブ・ザ・ワールド」。

 日本武道館でのステージはなんと20年ぶりとなった公演では、往年のヒット曲のメドレーから2018年にリリースしたダディー・ヤンキーとのコラボ曲「メイド・フォー・ナウ」まで、決してファンを飽きさせない選曲と、年齢を感じさせないダンスパフォーマンスを、ほぼ休憩なしで行った。

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 そんな公演のオープニングは、息を飲むセンセーショナルな映像からはじまる。

 中東やアフリカ地方で今も起きている紛争、なくならない飢餓問題といった世界で起きる悲しい現実を問題提起する映像が流れる。その後には、黒人差別撲滅ムーブメントのスローガンとして掲げられる「ブラック・ライブズ・マター/Black Lives Matter」の言葉とともに、2016年頃から全米で多発している警察による無実の黒人への暴力や、人種差別、性差別に対するジャネットの強い怒りを感じる抵抗の言葉が、血がにじむような真っ赤な文字でスクリーンに映し出される。

 そんな映像の後に登場したジャネットは、人種差別をテーマにした楽曲「ザ・スキン・ゲーム」や「ザ・ノウレッジ」、ミッシー・エリオットとのコラボ曲「バーン・イット・アップ!」を熱唱。

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 ダンスパフォーマンスでは、ダンサーとの一糸乱れぬキレキレのパフォーマンスで会場を盛り上げると、カッコイイ決め顔でのダンスから一転、可愛さ満点の笑顔で「イッショニ ウタッテクダサイ」と日本語を披露。

 このギャップにやられてしまう人は何人いるのか、そんな余韻に浸る間もなくノンストップで続くジャネットのパフォーマンス。

 終盤にさしかかり、さらに盛り上がる会場でその空気を一変させたのは、ジャネット自身が経験したDVについて歌った楽曲「ホワット・アバウト」だろう。

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 今回のツアーで20年ぶりに解禁された楽曲であるこの曲は、ジャネットの歌声に合わせて2組の男女のダンサーがDVを受けるカップルの関係をリアルに再現。
 演奏後、ジャネットはスポットライトに当たったまま立ち尽くしていた。会場に響くのはジャネットの荒い息遣いに交じり、涙をこらえるように鼻をすする音。

これだけでも感動のステージでボルテージが最高潮に達したのは、ジャネットの兄マイケル・ジャクソンとコラボした「スクリーム」。
 ステージ奥のスクリーンにはMVが映し出され、まるでマイケルとの共演が実現したかのような錯覚に陥るパフォーマンスでは、観客もテンションMAX。

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 ポップスターとしての風格、エンターテイナーとしてのカリスマ性を存分に発揮したジャネットの来日公演。

 彼女がビヨンセやレディー・ガガ、リアーナ、ブリトニー・スピアーズ…、名前を挙げたらキリがないほど多くのアーティストに影響を与えた理由が十分わかる。(フロントロウ編集部)

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