第91回アカデミー賞の作品賞を『グリーンブック』が獲得したことを受けて、惜しくも受賞を逃した『ブラック・クランズマン』のスパイク・リー監督が皮肉たっぷりなコメントを残した。(フロントロウ編集部)

スパイク・リーの皮肉たっぷりコメント

 2019年のアカデミー賞で作品賞に『グリーンブック』が輝いたことで、主要部門受賞を逃した『ブラック・クランズマン』。

 会場にいた関係者からは、作品賞が発表された瞬間に『ブラック・クランズマン』の監督スパイク・リーは憤りをあらわにさせるハンドジェスチャーをし、さらにはスピーチを最後まで聞かずに会場を出ていこうとまでしたという証言が複数から寄せられている。

画像1: スパイク・リーの皮肉たっぷりコメント

 ノミネートされていた作品賞や監督賞は逃したとはいえ、脚色賞は獲得できた『ブラック・クランズマン』。その時の受賞インタビューで名匠リー監督が、作品賞を逃した悔しさを明らかにした。

画像2: スパイク・リーの皮肉たっぷりコメント

 作品賞を逃してしまったことを聞かれたリー監督は、「参っているよ。誰かが誰かを運転するといつも負けるんだ」とひと言。

 1990年のアカデミー賞で、リー監督による映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』が脚本賞にノミネートされるも、『ドライビング Miss デイジー』に敗れた過去のオスカーを振り返り、負けた作品の共通点を示した。

 『ドライビング Miss デイジー』は老齢のユダヤ系未亡人とアフリカ系運転手の交流をユーモラスに描き、『グリーンブック』は天才黒人ピアニストとがさつな白人運転手の交流が描かれるように、たしかにどちらも「誰かが誰かを運転」するストーリー展開になっている。

画像: 『ドライビング Miss デイジー』(上)、『グリーンブック』(下)

『ドライビング Miss デイジー』(上)、『グリーンブック』(下)

 そんな共通点を皮肉まじりに指摘する発言で、リー監督は悔しさをにじませた。

 映画史におけるブラック・ムービーの礎を築き名匠と呼ばれているリー監督だけれど、これまでにアカデミー賞で作品賞にノミネートされたことは一度もなく、他部門においてもノミネートはされても受賞することはなかった。

 そんな苦い過去があるリー監督が、一部で「作品賞には向いていない」と酷評される『グリーンブック』が作品賞を取ったことへの皮肉も込めて悔しさをにじませた。

 とはいえ、今年のアカデミー賞は助演女優賞・助演男優賞にアフリカ系俳優が輝き、主演男優賞にアラブ系俳優のラミ・マレックが史上初めて獲得し、今まで以上に多様性豊かな受賞リストになっている。

画像: リー監督と『グリーンブック』で助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリ。

リー監督と『グリーンブック』で助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリ。

 そんななかでリー監督も脚色賞を受賞したということで、悲願のオスカー獲得が発表された時にはステージでプレゼンターのサミュエル・L・ジャクソンに思い切り抱きついて抑えきれない喜びを表現した。

画像3: スパイク・リーの皮肉たっぷりコメント
画像4: スパイク・リーの皮肉たっぷりコメント

(フロントロウ編集部)

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