「中絶禁止法」に抗議
アメリカ中西部~南部の州を中心に中絶を禁止する法案が制定されるなか、アラバマ州で可決された全米で最も厳しい中絶禁止法は、レイプや近親相姦による妊娠であっても中絶できないうえ、中絶手術をした医師は罪に問われる可能性がある。
世界トップの先進国であり“自由の国”と呼ばれるアメリカで起きている後進的な制定は、世界中で大きな物議を醸している。
アラバマ州で可決された中絶禁止法をきっかけに、マイリー・サイラスやアリアナ・グランデ、クリス・エヴァンスなどがすでに激怒のコメントをするなか、SNSではビジー・フィリップスを筆頭にハッシュタグ「#youknowme」を使い抗議活動が広まっている。
さらにはエミリー・ラタコウスキーが、あえて全裸写真をインスタグラムに公開して抗議メッセージを送ったように、ほかのセレブも状況を変えようと声を上げている。
【全米を揺るがす「中絶禁止法」】
じつはアメリカではこれまでも、中絶を禁止する州法案が可決されたことがある。そんななか今回の件が世界中で大きく取り沙汰されているのは、今の時代が「中絶禁止法賛成派」にとって“完璧”なタイミングだから。
これまでは今回のような法案が可決された場合、中絶を禁止するアメリカ国内法の大部分を違憲無効とした1973年のロー対ウェイド判決を理由に、州法は最高裁で違憲と判断されて女性の選ぶ権利は守られてきた。
しかし今では、バラク・オバマ元大統領からドナルド・トランプ大統領になったことで「賛成派」が多い共和党に政権交代し、トランプ大統領が最高裁判事2人を指名したことによって連邦最高裁は保守派優勢に傾いているため、裁判になった場合にロー対ウェイドの判決が再検討されかねない事態にある。
「賛成派」にとってロー対ウェイド判決の憲法を改正できる“絶好の機会”を逃すまいと、多くの州が中絶禁止法の制定に乗り出しているため、セレブが危機感を持って抗議している。
レディー・ガガ
「アラバマの中絶禁止法に激怒しています。レイプや同意の有無に限らない近親相姦を例外にしないなんてなおさら悪質。中絶手術をした医師には多くのレイプ犯より重い罪が科されるのですか?これは法を歪曲している。このシステムに影響されるすべての女性と少女のために祈りを捧げます」
#AlabamaAbortionBan #Alabama #AlabamaSenate #NoUterusNoOpinion #PlannedParenthood #ProChoice I love you Alabama prayers to all women and young girls here are my thoughts: pic.twitter.com/LqmVyV8qsA
— Lady Gaga (@ladygaga) 2019年5月15日
リアーナ
「よく見て。このバカどもがアメリカの女性のために決断した。ケイ・アイビー(アラバマ)州知事、恥を知れ」
リアム・ペイン
「いつもなら政治的コメントはしないけど、これは大切なこと。アメリカで起きている中絶禁止法は、悲惨だ。女性の人権と彼女たちに与えられた体の権利を完全にはく奪している。 僕は女性をとても尊敬している。男性にはわからない妊娠を経験する女性の苦しみを目の当たりにして、女性がどうあるべきかに男性が口を出したり決断したりできないことを実感した。こんな人が権力を持つなんてふざけている。
女性には生理があるだけでも大変なのに、望まない妊娠で年齢に関係なく人生がひっくり返る経験しなくてはいけないなんて痛ましい。僕が立っているこの地は自由の国だと思っていたけど、どうやらすごく縛られているようだ。中絶は一定の時期までは常に同法であるべきであり、女性が自分の選択をする権利であるべき」
リース・ウィザースプーン
「アラバマ、ケンタッキー、ミシシッピ、ジョージア、オハイオで制定された新たな中絶法に怒りを超える思いです。これは違憲で忌まわしい。女性の基本的人権を否認するこの攻撃には我慢できない」
I’m beyond upset about the passing of new abortion bans in Alabama, Kentucky, Mississippi, Georgia, and Ohio. This is Unconstitutional and Abhorrent. We can not tolerate this attack on women’s fundamental rights.
— Reese Witherspoon (@ReeseW) 2019年5月15日
チェルシー・ハンドラー
「アラバマの中絶禁止法に投票した25人の男性に、妊娠したことあるか聞きたい。レイプされた結果、妊娠したことがあるか聞きたい。何人の男性が女性であることをきちんと理解しているのでしょう。答えはゼロよ」
Of those 25 men who voted to ban abortion in Alabama, I’d like to know how many of them have ever been pregnant. Or have gotten pregnant as a result of rape. I’d like to know how many of those men know exactly what it is like to be a woman. The answer is zero.
— Chelsea Handler (@chelseahandler) 2019年5月16日
ジョン・レジェンド
「この州議会議事堂は、女性と彼女たちの生殖の選択の権利に対して総力戦を仕掛けている。最悪だ」
These statehouses are waging all-out war on women and their right to control their reproductive decisions. This is awful. https://t.co/noOY2pEsqX
— John Legend (@johnlegend) 2019年5月15日
ダヴ・キャメロン
「コメントする前に読んでください。アラバマ州知事のケイ・アイビーがロー対ウェイド以降で最も過激な中絶禁止法に署名しました。これは偶然ではありません。徹底的に中絶を禁止しようとする動きの一部です。アラバマの女性だけに向けた攻撃ではありません。妊娠の可能性があるすべての女性に向けられた脅威なのです。
アラバマの25人の白人男性議員が女性の健康と権利を奪い取ることに賛成しました。この法案は、治療した医師を一生刑務所に入れることができます/女性の命を危険にさらします/レイプと近親相姦は例外になりません。
アラバマでは、黒人女性における子宮頸がんの死亡率が白人女性より2倍も高いと言われていて、妊娠と出産はそれより4倍も高いそうです。公共衛生上の危険から女性の命が危ぶまれているなか、政治家はヘルスケアへのアクセスをむしばみ、医師を刑務所に送ろうとしています。#禁止法を止めよう !! 政治家は診察室にいるべきではありません。すべての女性の人権のための公開状に署名してください。私たちの国で起きている悲惨な時にじっとしていないで」
ジョシュ・オストロフキー
「男性が妊娠できるなら、中絶はガソリンスタンドでできる(くらい簡単)だろう」
ミラ・ジョヴォヴィッチ
「私の体に口答えするなんて何様なの?誰が決断するかって、それは私と、医師と、家族と、友達。そして私の決断であり、あなたの決断じゃない」
ソフィー・ターナー
「恥を知れ。私たちの体は私たちの選択」
※写真は中絶禁止法を賛成する共和党の議員によるレイプを肯定するような発言のまとめ。
リン・マニュエル・ミランダ
「怖がるのも当然。あなたの人生も体もあなた自身のもの。彼女たちを助ける方法を僕たちが探そう」
You’re right to be horrified. Your life and your body are your own. Now we find ways to help those most impacted. Let’s go. https://t.co/rPS6eiQV1E
— Lin-Manuel Miranda (@Lin_Manuel) 2019年5月15日
デュア・リパ
「あなたの体じゃないなら、あなたの選択じゃない。言い訳もいらない。男性が女性の体に関する基本的な決断をすべきではありません。どうして中絶が銃より先に規制されるの?私たちの権利に耳を傾けて。そして私たちには怒る権利がある。イギリスからサポートします。シスターのみんな、団結しましょう」
また、カーラ・デルヴィーニュ、アシュレイ・ベンソン、ジジ・ハディッド、ディディ、サラ・ポールソン、ガル・ガドット、アンワー・ハディッド、キアラ・フェラーニ、スクーター・ブラウン、キャンディス・スワンポール、チャーリー・プース、ティエラ・スコーヴィー、エリー・ゴールディング、マーティン・ギャリックス、アレクシス・レン、ニールス・ヴィサーなどは、「男性が女性の体に関する法を作るべきではない」と描かれた画像をSNSに公開して、中絶禁止法を抗議。
カイリー・ジェンナー、ソフィア・リッチー、ケシャ、ジョアン・スモールズ、デビー・ライアン、マンディ・ムーア、ケイト・アプトン、アリソン・ブリー、ルーシー・ボイントン、プリティマッチのザイオン、ザラ・ラーソン、トミー・ドーフマン、ジェイ・アルヴァレス、ペトラ・コリンズなどもインスタグラムのストーリーに中絶禁止に反対する投稿をシェアしている。(フロントロウ編集部)