ロイヤルファミリーのキャサリン妃が2003年頃にウィリアム王子と交際を開始した時、世間の注目を集めたのは、キャサリン妃だけではない。キャサリン妃の弟ジェームズ・ミドルトンは、「突然、そして非常に公に、私は自分が成功作なのか失敗作なのかをジャッジされるようになりました」と、当時を英Tatlerで振り返る。
世間の関心を集めるという突然の生活の変化によって、重いプレッシャーのもとで生活しなくてはいけなくなったジェームズは、次第に心の調子を崩していったという。しかしジェームズは当時、自分がうつ病になっているとは認められなかったという。
「私は、『なにについて、うつにならなくちゃいけないんだ?』と思っていました。僕の生い立ちはすごく恵まれていて、欲しいものは何でも手に入りました。私はもっとなにかを手に入れたいとは思っていませんでしたが、いつもなにかが欠けていた。そしてそれを無視すればするほど、自分が自分でなくなっていきました」
ジェームズの母キャロルは、ジェームズを妊娠中に始めた事業を成功させた敏腕ビジネスウーマンで、英Helloによると、夫妻が経営するParty Piecesの価値は約44億円にのぼるという。
そんな環境に生まれた自分は恵まれているからこそ、うつ病になってはいけないと考えていたというジェームズ。彼の両親はジェームズの様子がおかしいとは気づいていたけれど、ジェームズは両親を完全に拒絶していたと明かす。しかし、誰にも頼ることのないまま時間が過ぎた2017年のある日、仕事場前に止めた車から出られなくなってしまうほど心の状態が悪化してしまったという。動けなくなってしまった車の中で、担当医に電話をしたというジェームズは、その時の思いをこう振り返る。
「先生は私に、『ジェームズ、大丈夫かい?』と言って、私は『いや、大丈夫じゃないです』と答えました。ただそれを言うことですら、(自分が感じていた)プレッシャーを減らしてくれることでした。毎日朝起きて自分は大丈夫だと偽る毎日の中で、自分は大丈夫じゃない、と言えたんです」
この出来事がきっかけとなって、セラピーに通いだし、実業家としてのキャリアからは一時身を引く決意をしたというジェームズ。現在は姉ピッパ・ミドルトンの夫ジェームズ・マシューズの家族がスコットランドの田舎に所有する土地に住んでおり、心身共に健康を取り戻してきているという。(フロントロウ編集部)