イギリスのバンドThe 1975のフロントマンとして知られるマシュー・ヒーリー。社会を風刺した歌詞やたびたび登場する強気な発言などで知られており、2017年にはバンドのイマジン・ドラゴンズについての発言が話題に。「『レディオアクティブ』みたいな曲は、“ピカチュー・バナナ”っていう名前だっていいのにね。内容がからっぽだから」と発言していた。
矛先を向けられたイマジン・ドラゴンズのダン・レイノルズは、先日インスタグラムを更新。マシューからだけでなく、過去にスリップノットやフォスター・ザ・ピープルなどのバンドから批判を受けていたことについて、「僕は10年の間、批評家やほかのバンドたちから自分のバンドについて酷いことを言われるのに耐えてきた」と明かした。
マシューの本意とは?
そんななかマシューは、米Chicago’s101 WKQXのインタビューで、アーティストが音楽を通じて、社会問題や政治などを語る必要性を話し、楽曲内で深刻な問題を取り扱かっていないバンドとしてイマジン・ドラゴンズを挙げた。
「イマジン・ドラゴンズとの一件は知ってる? 最近、彼がSNSで『みんなが自分のバンドにひどいことを言ってくる』って言っていたよね。『ビリー・コーガンがそう言うし、The 1975のマットがそう言うんだ』って。僕としては、『ディスってなんかいないよ』という感じなんだけど。もし言ったとしても、なぜ気にするんだ?巨大なバンドにいる億万長者なんだぜ。その富と名声を手にしているのに、批判からは免れようなんて無理に決まってる。でも、それが言いたいことじゃないんだ。イマジン・ドラゴンズのことを言いたいんじゃなくて…それはどうでもいいんだ」
イマジン・ドラゴンズの名前を出しつつも、バンドへの批判をしたいわけではないと明かしたマシューは、ロックバンドのあるべき姿を提起。こう続けた。
「(イマジン・ドラゴンズは)超ビッグで、ラジオでの再生数において、アメリカで最大のオルタナティヴ・バンドだっていうのに、音楽の中では何も言わず、歌っているのは『レディオアクティブ』とかなんとかってことなんだよ。俺の言っていることわかる? 何が言いたいんだよって思ってしまう。現実逃避以外に意味があるのだとしたら、教えてもらいたいね。現代社会は、政治的抗議のメッセージを含む歌を避けているんだ」
マシューが音楽にかける想い
さらにマシューは、9.11アメリカ同時多発テロについて言及。「アメリカにとってつらい事件のあと、人々はジャック・ジョンソンやノラ・ジョーンズを聴いていたんだ。誰も現実と向き合いたくなかったんだよ」と例を出し、こう続けた。
「俺たちは現実に向き合う必要がある。それもあって、イマジン・ドラゴンズの彼がこの前、ビルボード・ミュージック・アワード(BBMAs)でコンバージョン・セラピー(※)が間違っていて、それを改善する必要があると話したのを見て、『その調子だよ、自分のプラットフォームを活かしてくれ』って思ったんだ。そういうものであれば、俺もひどいことを言うつもりはないよ」
※同性愛者を異性愛者に“矯正”または“転換”させるために行う一連の行為のことで、「同性愛の矯正治療」として知られる
現代の音楽界を批判し、ポップ音楽を「浅はかだ」と語ったこともあるマシュー。楽曲「ラブ・ミー」のMVでは有名セレブの等身大パネルを背景に彼らを皮肉り、最新アルバムでは現代のネット文化との付き合いや社会問題について歌い、音楽を通じて多くの人に現実と向き合うように伝えている。
そんなThe 1975が次にリリースを予定している4枚目のアルバムのテーマについて、マシューはメンタルヘルスについて歌う予定だと話している。(フロントロウ編集部)