Photo:ゲッティーイメージズ,スプラッシュ/アフロ,Instagram
元ディズニーチャンネル・スターのベラ・ソーンが幼少期に経験した「性的虐待」について新たに発表した著書に掲載されたポエムの中で言及した。(フロントロウ編集部)

幼少期の性的虐待を告白

 ディズニーチャンネルの人気シリーズ『シェキラ! 』で大ブレイクし、その後、日本発の映画『タイヨウのうた』のハリウッドリメイク版など話題の作品に出演する傍ら、シンガーとしても活躍しているベラ・ソーン

 2017年末、ファンとのツイッター上でのやり取りのなかで自身が性的イタズラの被害者であることを明かした彼女は、その約数カ月後、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたるセクハラ・性的暴行が告発されたのを皮切りに発足したセクハラ撲滅運動のひとつである「タイムズ・アップ(#Time’sUp)」に背中を押され、インスタグラムを通じて、14歳まで繰り返し行なわれていたという、ある人物からの性的虐待という衝撃の事実について告白した。

「私は物心ついた時から14歳になるまで、肉体的精神的に性的虐待を受けながら育った。夜、自分の部屋のドアに鍵をかけてじっと閉じこもる勇気が持てるようになるまで、毎晩。再び誰かが自分の人生を利用するのを待つかのように。何度も何度も私はそれが終わるのを待った。そしてついにそれは終わった。でも、私のように生きた状態で被害から逃れられない悲運な人たちだっている。どうか、みんな、今日こそ不当に扱われた人々のために立ち上がりましょう #TimesUp」


当時の心境などをポエムに

 このとき、自身が受けた性的虐待の内容は明かさなかったものの、「14歳まで」と悪夢がついに終わりを迎えた年齢を明かしていたベラは、先日発表した著書『The Life of a Wannabe Mogul: Mental Disarray(ザ・ライフ・オブ・ア・ワナビー・モーグル:メンタル・ディスアレイ)』の中で、性的虐待が始まった当時の自身の年齢が6歳だったという衝撃的な事実を告白。

 幼少期に受けた性的虐待が、現在も自身のメンタルヘルスに大きな影響を及ぼしていると語り、他者からの“承認”を必要以上に欲する性格も性暴力の被害者だから故なのかもしれないと自問自答した。

画像: 当時の心境などをポエムに

 ベラは、収録されたポエムの中で当時の心境を思い返し、こんな風に綴っている。

「私に何度も性的イタズラを働いている最中、彼は自分の苦しいい持ちを抑えようとコントロールしなくて済んだ/私が恥ずかしい、最低だと感じている間、彼はそうせずに済んだ」

「自分を捕らえた相手を信頼し、愛しているフリをすることで目の前の現実から目を背けることができた/私が我慢できたのはそれを愛していると自分に思い込ませていたからなのかもしれない/私は彼の残酷な性質を愛していると/彼が私にしていることを憎みながらも自分はその行為を愛しているんだと自分に言い聞かせていた」

 さらに、性的虐待を受けていた当時の自分について、まるでストックホルム症候群(※)のような状態だったと振り返ったベラは、加害者の言いなりになっていた自分について「私はそれが自分の身に起こることを許していた/彼の毒牙が食い込むのを阻止しなかった/何で私が何もせず、大人しくこんな文章を書いてるかって?/だって私は自己中心的だから」と底知れない悲しみや闇を抱える彼女独自の持論も展開した。

※誘拐事件や監禁事件などの被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築く症状。


被害を訴えなかった理由

 ベラは性的犯罪の被害を受けながらも、警察に通報したり、訴えを起こさなかった理由についてもポエムの中で説明。

 現行の法律制度について「被害者に自分こそが加害者だと感じさせるような仕組みになっているみたい。本当にめちゃくちゃ」とレイプやセクハラの被害者を責め立てるヴィクティム・ブレ―ミングを例に挙げ、まったく信用できないと語ったベラは、こうも記している。

「警察官たちと向き合って、自分が何度もレイプされたという事実について説得するなんて嫌だった/自分がいいように利用されたという事実について、なぜ、誰かを説得しなくちゃならないの?」

 ポエムの終盤で6歳の頃に性的虐待が始まったことを明かし、「こんな残酷さは望んでなかった…」とも綴ったベラ。彼女の生々しい言葉の数々には、胸を痛める読者が続出している。

画像: ニューヨークの書店で行なわれた著書の出版記念イベントに登場しスピーチを行なうベラ。

ニューヨークの書店で行なわれた著書の出版記念イベントに登場しスピーチを行なうベラ。

 著書のリリース前に登場したポッドキャスト『Impaulsive(インポールシヴ)』では、ポエムの中で自分を「自己中心的」と呼んだ理由について、「私は自分が自己中心的だと思う。だって私は自分がこれまで長い時間をかけて忘れようとしてきた辛い出来事について1つ1つ詳細を明かすというリスクを冒そうとはしていないから。そうすることでフラシュバックに悩まされたり、また何度もあの当時の気持ちに引き戻されたりするのに耐えられないから」と過去の凄惨な体験を口にすることへの躊躇や不安を明かしていたベラ。

 しかし、それと同時に、「この本を書くことにより、これまでずっと探して来た“答え”が見つかるかもしれない」と希望を口にし、ずっと胸の内に抱えてきたさまざまな思いを文章にして吐き出すことで、少なからず救われたことも示唆した。

 ベラの著書『The Life of a Wannabe Mogul: Mental Disarray』には、このほかにも、クィア(※2)を公言している彼女の恋愛遍歴や両親との確執、うつ病にまつわる苦悩などについても赤裸々に綴られている。

※2 ゲイ、レズビアンやバイセクシャル、トランスジェンダー、クロスドレッサー(自身の性を表現するにあたり、異性装を行う人)なども包括する概念。「LGBTQ」の「Q」にあたり、使う人によって意味が変わるが、現代においては、「異性愛者」や「心と体の性が一致している人」以外の人のことを意味することが多い。


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(フロントロウ編集部)

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