ソニー・ピクチャーズがマーベル・スタジオとのパートナーシップを解消する可能性が浮上し、スパイダーマンがMCUから除外されるかもしれないと危機感を覚えるファンが続出したことを受けて、ソニー・ピクチャーズが“誤解を解くため”の声明を発表した。(フロントロウ編集部)

ソニー側が“誤解”を弁解

 『スパイダーマン』を映像化する権利を持っているソニー・ピクチャーズが、『アベンジャーズ』シリーズをはじめとしたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を制作するマーベル・スタジオとその親会社のディズニーとのパートナーシップを解消する可能性が報じられ、スパイダーマンが今後のMCU作に出ないかもしれないとして、ソニー・ピクチャーズに対する抗議運動が活発化したことを受けて、同社が米The Hollywood Reporterに声明を発表した。

画像1: ソニー側が“誤解”を弁解

 ソニー・ピクチャーズは、マーベル・スタジオとのパートナーシップ解消については触れず、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が『スパイダーマン:ホームカミング』と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でトム・ホランドが演じたスパイダーマンの映画のプロデューサーから退くことについて、“誤解”があると説明。

 「本日のスパイダーマンに関する多くのニュースが、ケヴィン・ファイギのシリーズへの携わり方についての誤解を含んでいます」「我が社は失望していますが、ファイギ社長を今後の『スパイダーマン』の映画のリード・プロデューサーから外すというディズニーの決断を尊重致します」

 ファイギ社長を『スパイダーマン』シリーズのプロデューサーから外したのは、ほかでもなくディズニーの決断であり、その責任はディズニーにあることを匂わせた。

画像2: ソニー側が“誤解”を弁解

 というのも、ディズニーはオリジナルのストリーミングサービスのディズニー+でMCUのドラマを複数ストリーミングすることを発表しており、ファイギ社長はMCU映画に加えて、ディズニー+のMCU作品でも重役を任されている。

 そのため、ファイギ社長が仕事を抱えすぎていることが懸念されていることから、ソニー・ピクチャーズが配給する『スパイダーマン』のプロデューサーから退くことになった、とソニーはしている。

「我々は、今回の現状が変わることを願っていますが、ディズニーがマーベルの領域を広げたことで彼(ファイギ社長)にたくさんの新たな責任が課され、それゆえにディズニーが所有していない作品に取り組む時間が彼に与えられなくなったことを理解しております」「ケヴィンは素晴らしい人物で、我々は彼の助言とサポートに感謝しています。彼が私たちのために築いてくれたものをこれからも継続していくつもりです」

悪者扱いされるソニー・ピクチャーズ

 「スパイダーマンがMCUからいなくなる」可能性があることから、世界中で大きな注目を集めた、今回のソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオの契約変更。

 マーベル・スタジオによるMCUは今や映画界最大のシリーズ映画であり、トム・ホランドが演じたスパイダーマンはそのなかでもとくに人気のキャラクター。

画像: MCUで描かれたロバート・ダウニー・Jr.が演じたトニー・スターク(アイアンマン)との師弟関係も高い人気を誇る。

MCUで描かれたロバート・ダウニー・Jr.が演じたトニー・スターク(アイアンマン)との師弟関係も高い人気を誇る。

 そんなキャラクターの映像化の権利を持つソニー・ピクチャーズが、今回の一件でマーベル・スタジオからスパイダーマンを奪い取ろうとするように見えたことから、ソニー・ピクチャーズを“悪者扱い”する意見が多い。

 しかし、実際にソニー・ピクチャーズには非がないと米Comicbook.comが指摘している。

画像: 悪者扱いされるソニー・ピクチャーズ

 というのも、ソニー・ピクチャーズはMCUが誕生する前から脇役を含めた『スパイダーマン』の映像化の権利を持っている。しかし、MCUによる『スパイダーマン』ではクリエイティブ面のコントロールはマーベル・スタジオが担っているが、予算面は配給会社であるソニー・ピクチャーズが全面的に負担。

 ソニー・ピクチャーズは、“支払いをしていない”マーベル・スタジオに対して公開初日の興行収入の5%とグッズの売り上げを提供しているにもかかわらず、ディズニーは新たな契約の条件で、利益を半分に分配したいと言い出してきたという。

 さらに、この要求には『ヴェノム』や『モービウス』といったソニー・ピクチャーズが抱える『スパイダーマン』に関連したすべての実写映画も対象に含まれていると米Deadlineが報じている。

 契約変更の報道後には「BoycottSony(ソニーをボイコットしよう)」というハッシュタグまで作られ、ソニーに対する風当たりが強かったが、それを見かねたソニーの今回の発表によって、風向きが変わるかもしれない。(フロントロウ編集部)

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