賃金格差はなんと白人男性脚本家の10分の1!
『クレイジー・リッチ!』は、アジア系の活躍の場が少ないと言われるハリウッドにおいて、あえてアジア系のメンバーで現場を固めた作品として、注目の的となった。
さらに本作はマイノリティにスポットライトを当てただけでなく、週末興行収入ランキングでなんと初登場1位を獲得。この大ヒットを受けてワーナー・ブラザースは2、3作目の制作を早々に発表し、2020年から撮影が同時スタートする予定となっている。
しかしそんななか、シリーズに暗雲が。
1作目で脚本家のひとりを務め、続編でも脚本を担当するはずだったアデル・リムが、同僚男性との賃金格差を理由にシリーズから降板。
この件を最初に報じた米Hollywood Reporterによると、マレーシア出身の脚本家であるアデルにオファーされたギャラは約1,100万円。一方で、彼女と一緒に脚本を書き上げた白人の男性脚本家には約8,000万円~1億円がオファーされていたという。その差は、なんと約10倍。
この事実を知ったアデルはシリーズから去ることに。そして今回の件について、同メディアにこうコメントした。
「自分の価値が過去の映画での功績から決まるシステムのなかでは、そもそも雇ってもらえない有色人種の女性たちの状況はひどいです。とくに、『クレイジー・リッチ!』をやった私でさえ平等な賃金をもらえないなら。賃金の平等な支払いはこのやり方では達成できません」
ちなみに『クレイジー・リッチ!』側は、アデルの辞退後に何ヵ月もかけて代わりとなる脚本家を探し回ったものの、結局アデルほど適任な人材が見つけられず約5ヵ月後にアデルにギャラをアップした再オファーしたというから、どれだけアデルに才能があったのかがわかる。
しかしアデルはこのオファーを辞退。そんな彼女は、2020年にディズニーから公開予定の新作アニメーション『ラヤと最後のドラゴン』で脚本家を務めることがすでに決まっている。
アジア系俳優による大作映画を成功させて、多様性が求められるハリウッドに大きな風穴を開けたとして称賛された映画『クレイジー・リッチ!』。そんな映画がアジア系女性に白人男性よりもはるかに低いギャラを渡していた今回の件は、映画のファンにショックを与えるニュース。
アデルのツイッターのコメント欄には、ファンから「あなたを支持します」「あなたは自分の価値と文化を理解している!」といった応援メッセージが書き込まれている。(フロントロウ編集部)