セレーナの「苦悩」を見守り続けたテイラー
新曲「Lose You to Love Me(ルーズ・ユー・トゥー・ラブ・ミー)」と「Look at Her Now(ルック・アット・ハー・ナウ)」を2日連続でリリースしたセレーナ・ゴメスと彼女の長年の親友で、最新アルバムの『Lover(ラヴァー)』が大ヒットを記録しているシンガーのテイラー・スウィフトが、アップル・ミュージックのラジオ番組『Beats 1(ビーツ・ワン)』に登場。
肩を並べて出演したわけではないものの、先にインタビューを行なったテイラーの言葉を聞いたセレーナが、声を詰まらせ、涙をこぼしそうになる場面があった。
セレーナがリリースした新曲2曲は、いずれも、元恋人ジャスティン・ビーバーとの約10年におよぶ複雑な恋愛に終止符を打ち、前進することを歌った楽曲だと言われている。
「Lose You to Love Me」のリリースから間もなく、インスタグラムを通じて、「この曲は癒しを完璧に表現している&今までの彼女の曲で一番のお気に入り」というコメントに勝利や偉業を意味する「A Triumph」という言葉を添えて、セレーナの新曲をレビューしていたテイラーは、『Beats 1』の司会者である人気DJのゼイン・ロウから、同曲の感想について改めて尋ねられると、リリース前にセレーナから先に楽曲を聴かされていたことを明かしながら、こう絶賛した。
「この曲は、セレーナにとって最高傑作だと思う。彼女が私の自宅に来て、ミュージックビデオを見せてくれたの。彼女をすごく誇りに思ってる。だって、彼女は本当に色々なことを乗り越えてきたのよ。私は、彼女がこれまでの人生で直面したさまざまな事柄をずっと見てきた。最前列でね。だからこそ、とても誇りに思う。彼女はとても正直に打ち明けたわ。そして、最高の物を作ってる。私はこれが彼女の最高傑作だって100%自信を持って言える」
続けて、彼女の目から見て、以前のセレーナと現在のセレーナ、失恋を乗り越える前と後では、どんな変化が見られるかと聞かれたテイラーは、一瞬、深く考えを巡らせた後、こう答えた。
「それを一番よく分かってるのは、もちろんセレーナ自身だと思う。でも、彼女の友だちとして私が言えるのは、私はこの上なく、今の彼女が誇らしいってこと。彼女が乗り越えてきたこと、彼女が抜け出した状況…私たちが友だちになってから、長い年月が経ったわ。彼女はいつだって最高の友だちよ。彼女のように、さまざまな人生経験を経て、ツラい経験をした人が、自分の経験をアートとして昇華させて、それによって、多くの人々の助けになろうとするのは、本当に素晴らしいことだと思う。『Lose You to Love Me』はそういう曲。私は心から感動したわ」
テイラーが言うセレーナの“ツラい経験”とは、ジャスティンとの失恋に限らず、セレーナがここ数年の間に経験した、持病の全身性エリテマトーデスとの闘いや、その治療の一環として2017年に受けた腎臓移植からの回復、そして、2018年には、情緒不安定な状況が続いたために精神病院への入院を余技なくされる…といった肉体的・精神的トラブルについても意味している。
「友だちが居なかったら、どうなっていたか分からない」
これらのテイラーからの心温まる言葉を聞いたセレーナは、「なんて優しい言葉なの」と感極まった様子でテイラーの言葉を噛みしめていた。
ゼインから「もし支えてくれる友だちが居なかったら、君は今頃どうなっていたかな? 」と聞かれたセレーナは、「本当にどうなっていたか分からないわ」と答え、時折、声を詰まらせ、溢れそうになる涙を堪えるようにしながら、テイラーをはじめとする、親しい友人たちの存在の大きさについて語った。
「テイラーは本当に素晴らしい友達。私が苛立っているときは、一緒になって怒ってくれた。私が悲しんでいるときは、一緒に悲しんでくれた。でも、それより何より、私の友人たちは、みんな、どんなときも私をそばで支えてくれたわ。私が大きな痛みに耐えているのを目の当たりにしたんだと思う。彼らは私を愛することを決してやめないでいてくれたわ」
テイラーの自宅を訪れ、「Lose You to Love Me」を初めて聴いてもらった時のエピソードにも言及したセレーナは、楽曲を聴いたテイラーとテイラーの母親がそろって涙したという事実も告白。
「テイラーとテイラーの両親の前で、あの曲を流してMVを見せたとき、テイラーと彼女のママは泣き出したの。それは、エモーショナルな楽曲だからというわけじゃなかった。テイラーたちは私に、『あなたが今日ここに来てくれたことが本当に嬉しい。あなたが色んな事を経験するのを見てきたからこそ、今という瞬間は最高にクールだわ』と言ってくれた。それは私にとって、とても大きな意味を持つことだったわ」
ジャスティンの名前は出さなかったものの、失恋について聞かれると「本当に苦しかった。うん、かなりツラかったわ。でも、それでよかった。それまでにたくさんツラい思いをしていたから、そんなにショックは受けなかったな。最終的には、本当に疲れたって感じだったけど」と語ったセレーナ。
続けて、「私の心は疲れ切ってた。そして、自分がそのツラさを表に出すのを許すことができたのは私にとって重要なことだった」と、新曲を通じて正直な胸の内を明かしたことについて満足げな様子を見せた。
セレーナは、今回の新曲連続リリースまで、身を潜めるようにして、極力スポットライトを避けてきた理由について、「私の人生が、世間の人たちにとって、なんだか“物語”や“娯楽”みたいになってしまっていると気づいたの。そんなのは耐えられないと思った。だって、私の人生は現実で、私にとっては現実でしかないものだから。もう、そんなのはウンザリだって思ったわ」と説明。今、現在は、ようやく苦痛から抜け出し、よりポジティブなマインドで生活を送ることができていると前向きに語った。(フロントロウ編集部)