マーベル映画はシネマか?論争は続く
マーティン・スコセッシ監督は、映画『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』といった映画史に残る名作を生み出し、アカデミー賞やゴールデングローブ賞、カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭などで賞を総なめにしてきた経歴の持ち主。
そんなスコセッシ監督は、10月4日に行われた米Empireのインタビュー内でマーベル映画について言及された際、「MCU作品を見ようとしたけれど、ほとんど見ていない」とコメント。さらに、「あれはシネマだとは思いません。正直、マーベル映画はテーマパークのような感じで、感情的・心理的体験を他の人に伝えようとしている人間の映画ではありません」と語ったことで、映画界に激震をもたらした。
これに対し、マーベル映画の関係者は次々にコメント。ジェームズ・ガン監督や、ロバート・ダウニー・Jr.、サミュエル・L・ジャクソンなど、名だたるMCUメンバーがそれぞれの意見を示してマーベル映画を擁護した。
そんななか、映画『アイアンマン』、『キャプテン・アメリカ』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』など、MCUと呼ばれるマーベル映画のほぼすべてをプロデュースし、成功に導いてきたマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、「マーベル映画はシネマか論争」について口を閉ざしてきた。
マーベル・スタジオのファイギ社長が口を開く
しかし11月4日に米The New York Timesで、ファイギ社長がスコセッシ監督に対する心中を吐露。「みんな、芸術の定義は異なる」と語った。
スーパーヒーロー映画はシネマにとってネガティブなものであるかどうかと聞かれたファイギ社長は、「それは事実ではないと思います。とても残念です」とコメント。さらに、「私自身、そしてマーベル映画に携わるすべての人は、シネマが好きだし、映画が好きだし、映画を見に行くのも好き。そして、人でいっぱいになった映画館でみんな一体となって映画を見るのが大好きです」と明かした。
さらに、映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』ではキャプテン・アメリカとアイアンマンが神学的かつ肉体的な対立をしたことや、映画『アベンジャーズ:インフィニティウォー』ではキャラクターの半分を殺したことに触れて、「成功を収めたあとにあえてリスクを取って新しい試みを行なうことを楽しんできた」と説明。
続けて、「シネマの定義は人によって異なります。芸術の定義も人によって異なります。そして、リスクの定義も人によって異なります」と語り、「マーベル映画をシネマだとは思わない人もいます。そして、誰にだって自分の意見を持つ権利があります。誰にだってその意見を繰り返し発する権利があります。誰にだってその意見についての見解を述べる権利があります。そして私はこれから物事がどう展開していくのかを楽しみにしています。ただその間、私たちは映画を作り続けます」と、映画作りへの熱意をはっきりと口にした。
そして、「マーベル映画は、とても大きな映画です。そして、非常に高価な映画です。私たちは私たちが持つビジョンを信じているし、キャラクターたちができることを信じています。私たちは成長し、進化し、変化し、ジャンルを盛り上げていく必要があると信じています」と言って、スーパーヒーロー映画というジャンルのさらなる進化と成長を明言した。(フロントロウ編集部)