Photo:ニュースコム、©WALT DISNEY ANIMATION STUDIOS / Album/Newscom
『アナと雪の女王2』の劇中で歌われるある曲が、LGBTQ+の若者のカミングアウトを奨励する応援歌だとコミュニティから絶賛されている。(フロントロウ編集部)

前作からささやかれる“裏テーマ”

 2013年に公開されたディズニーアニメーション映画『アナと雪の女王』の続編として公開された『アナと雪の女王2』

 前作では、雪と氷を創り出す魔法の力を持つという、人とは違う秘密を抱えて生きる主人公エルサの苦悩や、彼女がそれを受け入れ、オープンにした時に真実の愛や幸せを手に入れる様子がLGBTQ+の若者たちが抱える悩みに似ているという理由から、「魔法=クィア(※)」がメタファーとなっているのではないかという解釈も生まれた。

※LGBTQ+の「Q」を意味するセクシャルマイノリティーの総称。ゲイだけでなく、レズビアンやトランスジェンダー、クロスドレッサー(自身の性を表現するにあたり、異性装を行う)なども包括し、使う人によって意味が変わるが、現代においては、「異性愛者」や「心と体の性が一致している人」以外の人のことを意味することが多い。

画像: 映画「アナと雪の女王」より。©WALT DISNEY ANIMATION STUDIOS / Album/Newscom

映画「アナと雪の女王」より。©WALT DISNEY ANIMATION STUDIOS / Album/Newscom

 さらに、「レリゴー」のフレーズが耳に残り、日本でも社会現象的ヒットとなった劇中歌「レット・イット・ゴー(Let It Go)」は、「ありのままの姿見せるのよ/ありのままの自分になるの」といった歌詞が、セクシャルマイノリティーの人々が本当の自分をさらけ出し、カミングアウトをすることを後押しする“LGBTQ+アンセム”にも聞こえると評判に。

 LGBTQ+コミュニティをはじめとする、海外の多くのファンからは、続編では、エルサをディズニーアニメーション史上初の同性愛のプリンセスとして描いて欲しいという要望が寄せられるとともに、メッセージ性の強い劇中歌への期待も高まっていた。


「レリゴー」を超えるLGBTQ+アンセム

 そんななか、続編の『アナと雪の女王2』の劇中歌の中で、「レット・イット・ゴー」をも凌駕する素晴らしいLGBTQ+アンセムだと絶賛されているのが、劇中の重要なシーンでエルサが歌う「みせて、あなたを(Show Yourself)」

※英語版の音源。歌唱は英語版でエルサの声を担当した俳優のイディナ・メンゼル。

 同曲は、エルサがまだ見ぬ未知の存在に、その姿を見せて欲しいと、優しく、ときに力強く語りかけるように歌う壮大なナンバーとなっているが、その歌詞には、まるで、前作で“ありのままの姿”をさらけだしたエルサが、カミングアウトを悩んでいる人を勇気づけるかのようなメッセージがいくつか登場する。(以下日本語版の歌詞より)

私もあなたも隠して来たの/つらい秘密 でも隠れないで/教えて あなたの秘密/見せて あなたを

みんなと違うこと 悩んできたわ/そのわけ 教えて どうしてなの/見せて あなたの姿を

 英語版「Show Yourself(ショウ・ユアセルフ)」の歌詞では、これらのメッセージがさらに顕著に伝わってくるため、映画公開に先立って同作のサウンドトラックがリリースされるや否や、「素晴らしすぎるLGBTQ+アンセム」、「これ以上ゲイな曲は聴いたことがない!」、「クィアのエネルギーを感じる」、「自分と重ねて号泣した」とSNS上でもちきりになった。

 もちろん、歌詞をどうとらえるかは個人の自由で、この曲を通じて、エルサが打ち明けることを応援している“秘密”が、セクシャリティーにまつわるもの以外の事であるという考え方もできる。作品を観た人、楽曲を聴いた人が、そこに込められたパワフルなメッセージを、どこか自分自身と重ね合わせて受け取り、明日を強く生きる活力に変えられたら…そんなディズニー作品ならではの想いが、同曲にも反映されていることは確か。(フロントロウ編集部)

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