「アイコニックなドレス」をチクリ
2019年に大ブレイクし、2020年1月に授賞式が行われるグラミー賞でも、主要部門を含む計6部門にノミネートされた17歳の奇才シンガー、ビリー・アイリッシュ。
ティーンエイジャーらしい、正直な物言いで知られる彼女が放ったある“ひと言”が、彼女にとっては大先輩であるシンガーのレディー・ガガのファンたちを怒らせている。
ことの発端となったのは、ビリーが実の兄であり、楽曲制作を一緒に行なっているシンガーソングライターのフィネアス・オコネルと一緒に登場した米Varietyの動画インタビュー。
YouTubeでも公開されたインタビューの中で、これまでのポップカルチャーを定義づけた印象深い出来事に関する話題について話したビリーは、音楽界最高峰のアワードであるグラミー賞を観て育ったことを明かし、「私たちはグラミー賞を観て育ったよね。みんなそうだと思うけど。レッドカーペットに登場する女性たちのドレスを批評したりしてさ。音楽にはあんまり集中してなくて、批評ばっかりしてたな。でも自分がノミネートされたりするのは、本当に光栄」とコメント。
すると、フィアネスが、「あの“生肉ドレス”ってグラミー賞でのことだったっけ? 」と質問。これに対し、ビリーは「えー…オエーッ!」と苦々しい表情を浮かべながらリアクションした。
該当のシーンは下記の動画の3分15秒あたり。
フィアネスの言う“生肉ドレス”とは、グラミー賞ではなく、MTVビデオ・ミュージック・アワード(以下VMA)の2010年の授賞式のレッドカーペットでガガが着用して話題をさらった、生の牛肉を使った前代未聞のドレスのこと。
デザイナーのフランク・フェルナンデスとニコラ・フォルミケッティが手がけたこのドレスは、当時、動物愛護団体からの強い非難を浴びたが、米タイムズ誌では、2010年の「最も表現力あるファッション」と高く評価された。
一家そろってヴィ―ガン(完全菜食主義者)で動物愛護問題にも熱心なビリーとフィネアスは、このガガのアイコニックなドレスには反対だったようで、ビリーは、もちろん、ガガに個人的にネガティブな感情を抱いているわけでは無いものの、生肉が使われているドレスを思い出してしまったことに、「オエーッ!」と反応してしまったよう。
ガガがVMAの檀上でのスピーチで語ったところによると、あの肉ドレスは、当時、問題となっていたアメリカ軍の同性愛者に対する差別的な方針を批判したもので、彼女なりの社会への強いメッセージが込められた衣装だったという。
そんなガガを支持する一部のファンたちは、今回のビリーのリアクションをガガへのディスだと受け取り、SNS上で「#BillieEilishIsOverParty(ビリー・アイリッシュ終了のお知らせ)」といったハッシュタグをつけて、「ガガを侮辱するなんて許せない」、「ガガを悪く言うヤツは堕ちろ」などと、ビリーへの怒りを露わにするという行動に出ている。
その一方で、「ヴィ―ガンであるビリーが生肉ドレスを嫌悪するのはあたりまえ」、「17歳のシンガーが自分の意見を持つことを責めるのは間違っている」とビリーの自由を尊重しようと訴える声も多く聞こえる。
ビリーもガガも、この件に関して現時点では特にコメントしていない。(フロントロウ編集部)