2020年1月6日に開催された第77回ゴールデン・グローブ賞で、見事コメディ/ミュージカル部門の主演男優賞に輝いた映画『ロケットマン』のタロン・エジャトン。30歳のイギリス人俳優である彼のキャリアにおける栄光と挫折をご紹介。(フロントロウ編集部)

『ロケットマン』で主演俳優のトップに

 30歳のイギリス人俳優タロン・エジャトンは第77回ゴールデン・グローブ賞で、ダニエル・クレイグやレオナルド・ディカプリオ、エディ・マーフィーなどの大御所俳優を制しコメディ/ミュージカル部門の主演男優賞に輝いた。

画像: 『ロケットマン』で主演俳優のトップに

 映画『ロケットマン』は、2019年に公開されたミュージカル映画で、「Your Song/ユア・ソング」などで知られゲイであることをカミングアウトしているイギリスのミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた伝記映画。

 タロンが国際的な映画祭で賞を多数獲得するようになったのは『ロケットマン』が初めて。今やスターの座に上り詰め、多くの人に知られているタロンは、どのようなキャリアをたどってきたのだろうか。

出世作はあの“英国紳士”映画

 タロンはイギリスのウェールズで育ち、2012年に22歳でロンドンの王立演劇学校を卒業。俳優としてのキャリアをスタートさせたのは2011年のドラマ『オックスフォードミステリー ルイス警部』で、シリーズ中2本だけ端役として登場した。

 そんなタロンは、演劇学校を卒業して間もないころに、エージェントの紹介で作品のタイトルすら知らないオーディションに参加。5週間にもわたる長いプロセスを経て見事合格したその作品こそが、コリン・ファースやマーク・ストロングなどの大物俳優が共演者として名を連ねる『キングスマン』だったと公式インタビューで明かした。

 ロンドンの高級テーラーを舞台に、英国紳士たちが華麗で過激なアクションを繰り広げるスパイ映画の『キングスマン』は2014年に公開され、世界で約440億円(4億ドル)を超えるメガヒットに。

画像: 出世作はあの“英国紳士”映画

 この成功を皮切りに、タロンはどんどんキャリアを成長させていく。

大御所俳優と次々共演

 『キングスマン』の次にタロンが出演したのは2015年に公開されたイギリスの犯罪映画『レジェンド 狂気の美学』。本作では、マーベル映画『ヴェノム』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で知られるトム・ハーディと共演した。

 本作でタロンはトム演じるギャングの“恋人でサイコパス”という難しい役どころを演じ、劇中での出演時間は少なかったものの、確実に存在感をアピール。

 2016年は『グレイテスト・ショーマン』や『レ・ミゼラブル』で知られるヒュー・ジャックマンと、イギリス史上初のスキージャンプオリンピック代表選手エディ・エドワーズの半生を描いた伝記映画『イーグル・ジャンプ』に主演として出演し、実在の人物を演じきる芝居に磨きをかけた。

画像: 大御所俳優と次々共演

 同じく2016年は声優としてもデビュー。『ミニオンズ』などで有名なイルミネーション・エンターテイメント制作のアニメ『SING/シング』でゴリラのジョニーを演じ、その見事な歌唱力を披露。本作では、エルトンの名曲「アイム・スティル・スタンディング(Im Still Standing)」を熱唱している。

 動物たちがスターになるため歌のオーディションに参加するというストーリーの『SING/シング』に参加した声優は、タロン以外にもマシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソンなど、超大物ぞろい。

 そして、2017年には再び『キングスマン』の続編映画『キングスマン: ゴールデン・サークル』に出演。

 ちなみに本作は、2020年9月に続編第3弾となる『キングスマン: ファースト・エージェント』の日本公開が決定しているが、この話は『キングスマン』という組織の誕生秘話であるため、タロンは出演しないと言われている。

出演作が次々“最低映画”賞を受賞

 順風満帆な俳優生活を送ってきたタロンも、2018年に公開された映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』が、なんとゴールデンラズベリー賞を受賞することに。同作品は1980年代に実在した裕福な少年たちが引き起こした犯罪にまつわる作品。

 ゴールデンラズベリー賞とは、アカデミー賞の前夜に表彰が行われるアワードで、年間で“最低”だった映画賞に送られる。『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』はなんと、“商業的にも批評的にも大失敗してしまった映画”に送られるバリー・L・バムステッド賞を受賞。

 ゴールデンラズベリー賞はオスカー俳優・監督であっても容赦なく賞が贈られてしまうため、これまでもM・ナイト・シャマラン監督やアル・パチーノなど、さまざまな人物がその餌食となっている。

 さらに、同年に主演したイングランドの伝説のヒーロー、ロビン・フッドを描いた映画『フッド: ザ・ビギニング』も、レオナルド・ディカプリオが制作に携わったにもかかわらずなんとゴールデンラズベリー賞最低作品賞にノミネート。なんとか受賞は逃れたけれど、タロンにとっては苦い経験の残る作品となってしまった。

『ロケットマン』でついに大成!

 俳優として山あり谷ありだったタロンはついに2019年、映画『ロケットマン』で大成。第77回ゴールデン・グローブ賞のコメディ/ミュージカル部門で主演男優賞を獲得するまでに成長した。

画像: 『ロケットマン』でついに大成!

 ちなみに、第76回ゴールデン・グローブ賞のコメディ/ミュージカル部門で主演男優賞受賞者は『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック。2年間連続でイギリスのミュージシャンにまつわる伝記映画が高評価を得ている。

 タロンは、本作でエルトンに近づくため歯をすきっ歯にしたり、髪の毛をそったりと俳優魂をさく裂させた。歌はもともと得意だったというタロンだけれど、ピアノに関しては少し自信がなかったと、来日インタビューで明かした。

 タロンは今後『キングスマン: ファースト・エージェント』や『SING2/シング2』への出演が決まっている。(フロントロウ編集部)

※この記事は一部内容を訂正いたしました。

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