※この記事には『フォードvsフェラーリ』のネタバレが含まれます
人気爆発の『フォードvsフェラーリ』
『フォードvsフェラーリ』は“ル・マン24時間レース”という、現在でも実際に行われている24時間耐久レースにチャレンジした人々の熱い挑戦が描かれた伝記映画で、マット・デイモンとアカデミー俳優のクリスチャン・ベールが初共演。
舞台は1960年代のアメリカ。主人公は破天荒で超一流レーサーのケン・マイルズ(クリスチャン)と心臓病のせいでリタイヤを余儀なくされた元ル・マン覇者のドライバー、キャロル・シェルビー(マット)。
社会の荒波にもまれながらもひたむきに車を改良し、「ル・マンで米フォード社のスーパーカーを優勝させ、伊フェラーリに勝つ」ために力を合わせる、という単純明快なストーリーにもかかわらず、手に汗握る展開と迫力で観客を魅了している。
そんな『フォードvsフェラーリ』は、2020年開催の第92回アカデミー賞に作品賞、音響編集賞、録音賞、編集賞の4部門でノミネートを達成。
実はここが“フィクション”!その1、フォード買収事件
『フォードvsフェラーリ』は伝記映画ではあるけれど、物語をさらに面白くするために、ストーリー上にいくつかのフィクションが仕込まれている。
まず、物語序盤で事業の存続に困窮したフェラーリがフォードから持ち掛けられた買収案を利用して、フィアットと手を組むシーン。
フェラーリは現在フィアット傘下に入っているけれど、実際に提携をしたのはフォードがル・マンで優勝した後の話。ストーリーの中では、フォードが優勝する前に傘下に入ったということにして、一つの山場を作っているよう。
実はここが“フィクション”!その2、誰がGT40を作った?
ケンとシェルビーが作り上げたスーパーカーのGT40は、映画の中ではほとんど2人とそのほかの数人のメンバーによって作り上げられたように見えるけれど、本当はメンバーがもっと大勢いた。
やはりここも、「少ない人数」という見せ方にしたことによって、努力を際立たせる味わいが生まれている。
実はここが“フィクション”!その3、オンボロ車爆走のレース
映画の最初に行われたウィロースプリングスでのレースは、完全にフィクション。
トランクは叩かないと閉まらないし、窓ガラスは投げたスパナでバリバリに壊れてしまったオンボロな車で見事優勝するケンは、このフィクションのレースで観客に彼の破天荒な性格を印象付けた。
実はここが“フィクション”!その4、ヘンリー・フォード2世地獄のドライブシーン
一番驚くべきフィクションは、シェルビーがフォードの社長ヘンリー・フォード2世を開発中のGT40に乗車させ、アクセル全開の猛スピードでテストドライブを行うシーン。
もちろん社長をそんな危険なめに合わせるわけがない…と思いきや、フィクションなのはそこではなく、社長を乗せたスピードドライブは実際に起きたこと。監督のジェームズ・マンゴールドは米Indiewireのインタビューで、「実際にヘンリー・フォード2世を地獄のドライブに連れ出したのはケンのほうだよ」と言っているから、びっくり。
ちなみに、映画の中でヘンリー・フォード2世は号泣してしまったけれど、実際に泣いたという証拠は残っていないという。
そんな映画『フォードvsフェラーリ』は全国劇場で公開中。もう見た人も、フィクションだと知った今、もう一度見てみては?(フロントロウ編集部)