追記(2022年8月15日)
スコットランドで、必要とする人には無償で生理用品が提供されるための法律が施行。自治体や教育機関に法的責任が義務付けられた。
追記(2020年11月25日)
現地時間2020年11月24日にスコットランド議会は、全会一致で、タンポンやナプキンなどの生理用品を無料提供する法案を可決した。今後、スコットランドでは学校や大学などを含む公共施設で生理用品が無料で手に入れることができる。
女性は避けられない月経
(2020年2月27日)現地時間2020年2月25日にスコットランド議会で、全年齢の女性で生理用品を必要とする人に、ナプキンやタンポンを無料提供する法案が第一段階で承認された。112人が賛成、反対票をいれた議員は1人もおらず、1人が棄権という結果だった。今後は一部議員が法案に修正を加えていく。
スコットランドは2018年より、すべての学校で生理用品の無料提供を開始したけれど、今回の法が施行されたあかつきには、スコットランドにあるコミュニティセンターやユース・クラブ、薬局などの公共の場で、それを必要とするすべての女性に生理用品が無料で提供されるようになる。
年間予算約35億円を想定しているこの法案について、立案者の上院議員モニカ・レノン氏は、「スコットランドでは、月経は普通のことだとする歴史的な道しるべとなるでしょう。そして(この法案は)、議会が男女平等をどれだけ真剣に考えているかを、この国のすべての人に伝える現実的なシグナルを送っています」と、議会討論で話した。
各国で問題視される「タンポン税」
女性の体で起こる、避けられない現象である月経。
しかし多くの国では生理用品は「贅沢品」だとされており、例えばイギリスでは自転車用ヘルメットや切手よりも税率が高く、日本でも軽減税率の対象になっていない。
スコットランドの国会議員アリソン・ジョンストーンは、議会討論で、「2020年にもなって、トイレットペーパーは必要な物だと考えられているのに、生理用品はそうではないのですか?身体の自然な働きによって経済的に罰せられることは、公平ではありません」との考えを述べた。
一方ケニアでは2004年に、オーストラリアでは2019年にタンポン税が廃止されており、スコットランドのように無料提供とまではいかずとも、税金をかけないよう求める声が世界中で多く上がっている。
またイギリスでは、公立学校での生理用品の無料提供が行なわれ、大手スーパーのテスコやコープ、そしてウェイト・ローズは、店舗で販売する生理用品に税金をかけず、税金分は顧客に代わって企業が払うという姿勢を見せている。
「生理における貧困」という問題も
生理用品を購入できなかったり、経済的問題から、1日1枚/個のナプキンやタンポンで過ごさなくてはいけなかったりする少女たちが、学校を休まざるを得なくなり、性別による教育格差の一因になっていることも、各国で問題となっている。
「生理における貧困(Period Poverty)」と言われるこの問題を調査した、教育者の労働組合である英NEUの副事務次官は、2018年にイギリスで生理によって学校を休むことになった学生の数は、約13万7,000人になると明かしている。(フロントロウ編集部)