生理用品を政府が無料配布
現地時間1月20日より、イギリスの公立小学校、公立中学校、公立高校で、生理用品の無料配布がついにスタートした。
各学校はオンラインシステムを通して、使い捨てナプキンや複数回使えるナプキン、タンポンや繰り返し使える月経カップなどを政府に注文することが出来る。また、オンラインシステムが使用できない場合、メールや電話でも注文可能なようにシステムが整えられた。
予算などは、イングランドに先立って2018年より生理用品の無料配布を行なっているスコットランドが参考にされた。
2017年に始まったキャンペーンFreePeriod(※フリー・ピリオド)の働きかけにより、政府が決定した生理用品の無料配布。当初、イギリス政府は公立中学と公立高校を対象としていたが、多くの女の子たちは小学校で初潮を迎えるとFree Period側に指摘され、生理用品の無料配布の対象に公立小学校も含めた。
※授業の時間(ピリオド)と生理(ピリオド)をかけて生まれた名前。
世界で問題となる「生理における貧困」
生理用品を購入できない少女や、1日1枚/個程度のナプキン・タンポンで過ごさなくてはいけない状況にいる少女たちが学校を休まざるを得なくなり、教育を受ける機会が減っていることは各国で問題となっている。
英VoucherCodesProが2015年に実施した調査によると、1年間で女性が生理用品に使う金額は約2万2,000円に上る。
「生理における貧困(Period Poverty)」として多くの若者や団体が声をあげているけれど、英The Guardianによると、イギリスで行なわれた最新の調査では、14歳から21歳の女性のうち42%もの女性が間に合わせの物を生理用品の代用品として使用したことがあると回答。服の一部や紙などが例に上がっている。
イギリスの教育者の労働組合NEUの副事務次官は、2018年には約137,000人もの少女が生理によって学校を休むことになったと英The Guardianに発表した。
イギリス西部のブリストルで教師をしているルーシーは、無料の生理用品について生徒に話した際に、「また子供に戻れます。昼休みに心配することなく走り回れます。1日に使えるナプキンが1枚しかなかったから、いつも漏れないか不安だったんです」と打ち明けられた過去を英Independentに明かした。
生理用品を手に入れられないことは死を招くことも
生理における貧困によって、4時間前後で取り換えることが推奨されている生理用品を、1日1個で過ごす女性もいる。しかし、生理用品の長時間使用は、身体を危険にさらすことも。
2018年には、タンポンを長時間使用したことで発生した黄色ブドウ球菌による毒素が原因の急性疾患「トキシックショック症候群(TSS)」によって、16歳のカナダ人少女が命を落とした。
また、2018年にモデルのローレン・ワッサーが同じくトキシックショック症候群によって壊疽(えそ)した両足の膝から下を切断した。
生理用品に税金をかけるな
イギリスの税金は20%だけれど、自転車用ヘルメットや切手など一部の物は非課税となっている。そんななか、女性の身体的に避けられない生理のための品物であるナプキンやタンポンなどは、「贅沢」で「必須ではない」物として5%の税金がかけられている。女性が、毎月避けられない生理のために使用する生理用品に税金がかけられていることは、“タンポン税”として各国で問題となっている。
日本でも、2019年10月に開始された軽減税率制度において、生理用品は軽減税率の対象になっていない。
イギリス政府は、2015年から何度も生理用品にかかる税金の廃止に動いてきたけれど、イギリスが属するヨーロッパ連合のルールのなかで改正を断念してきた。2020年1月31日にイギリスがEU連合離脱をしたのち、生理用品への税金が廃止されるかにも注目が集まる。
タンポン税は、2004年にケニアが世界初の廃止を決定しており、2019年からはオーストラリアもタンポン税を廃止している。
イギリスでは、大手スーパーのテスコやコープ、そしてウェイト・ローズが、店舗で販売する生理用品に税金をかけず、税金分は顧客に代わって企業が払っている。(フロントロウ編集部)