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世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大について、「ディズニープリンセス」をフィーチャーした人種差別的なイラストを使って揶揄したラッパーが炎上している。(フロントロウ編集部)

「人種差別的なイラスト

 アメリカ・デトロイト出身の女性ラッパー、キャッシュ・ドール(Kash Doll)が行なった、新型コロナウイルス感染拡大にまつわる人種差別的な投稿が大きな波紋を呼んでいる。

画像: キャッシュ・ドール。「アイス・ミー・アウト(Ice Me Out)」などの楽曲で知られ、人気ラッパーのドレイクやミーク・ミルの前座を務めた経験や、リル・ウェイン、イギー・アゼリアとのコラボ歴も。

キャッシュ・ドール。「アイス・ミー・アウト(Ice Me Out)」などの楽曲で知られ、人気ラッパーのドレイクやミーク・ミルの前座を務めた経験や、リル・ウェイン、イギー・アゼリアとのコラボ歴も。

 とある空港でのマスクを着用した自分のセルフィーをインスタグラムストーリーで公開したキャッシュは、続けて、ネット上で見つけたとみられる、ディズニープリンセスたちのイラストを使ったインターネット・ミーム(※)投稿。

※ネタ画像や動画の総称。-

 そこには、『アラジン』のヒロインのジャスミン、『白雪姫』の主人公の白雪姫、『シンデレラ』の主人公シンデレラ、『眠れる森の美女』の主人公オーロラ姫はといった名作ディズニーアニメのプリンセスたちは、こぞってマスクを着用しているものの、中国を舞台にした作品『ムーラン』の主人公であるムーランだけが、マスクを着けていない様子が描かれていた。

画像: ©Kash Doll/ Instagram

©Kash Doll/ Instagram

 さらに、このイラストには「ごめんね、ムーラン。だって、わからないじゃない」という文言が添えられており、ほかのプリンセスたちが、ムーランの新型コロナウイルスへの感染を疑い、彼女との接触を避けているかのような表現が見て取れる。


悪趣味なジョークに非難が殺到

 世界中に感染が拡大するなか、新型コロナウイルスの流行の発生地だと言われている中国や、流行の中心となっているアジアの国から来ている人、そして、アジアをルーツに持つ人たちへの差別が相次いで報告されている。

 そんななか、キャッシュが「空港での様子はこんな感じ」というひと言とともにシェアしたこのディズニープリンセスのイラストは、アジア人だという理由だけでウイルス保有者だと疑われ、冷たい視線を向けられるという、アジア人への不当な扱いを揶揄したジョーク。

画像: キャッシュは、最近では、アリアナ・グランデが監修した映画『チャーリーズ・エンジェル』のサントラ収録曲「ハウ・イッツ・ダン(How It’s Done)」にも参加。

キャッシュは、最近では、アリアナ・グランデが監修した映画『チャーリーズ・エンジェル』のサントラ収録曲「ハウ・イッツ・ダン(How It’s Done)」にも参加。

 ネット上には、これと同様に、ディズニープリンセスたちがムーランを除け者にするかのようなミームが複数あるが、人々の注目を浴びるミュージシャンという立場でありながら、さらに、歴史上、長きにわたって人種差別の対象となってきた黒人女性の1人でもありながら、人種差別的なジョークを悪びれもせずに発信したキャッシュの行動には、ツイッターを通じて批判の声が多く上がっている。

「アジア人への人種差別がまるで普通のことのようになっているなんて、吐き気がする」

「こんなのジョークじゃない。人種差別は笑いごとじゃない」

「新型コロナウイルス騒動をアジア人差別の格好のチャンスにしている人がたくさんいるね。しかも、人種差別がどれだけ人を傷つけるものかを知っているはずの黒人女性がこんなことをするなんて、ショックだよ」

 自身のファンからも「消しなよ」、「お願いだから削除して」といった声が寄せられたことを受け、キャッシュは、該当の投稿を黙って削除。現時点では、世間からの指摘や非難に対して、とくに、謝罪や反省のコメントなどはしていない。

 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うアジア人への人種差別の増加について、怒りや悲しみを露わにし、差別は絶対にダメだと呼びかけるセレブたちもいる。

 人気モデルのベラ・ハディッドは、差別的扱いを受けるアジア人男性の姿を収めた動画を見て、怒りのコメント。さらに、中国系の血を引くモデル兼デザイナーのアレクサ・チャンは、「コロナウイルスは海外の脅威ではなく、人間の脅威です。アジア系をターゲットにした人種差別や外国人嫌いは、人種、性別、または肌の色で判断しないウイルスからは私たちを守ってくれません」というメッセージをシェアして人種差別などしている場合ではないと訴えた。(フロントロウ編集部)

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