娘たちの「手術」を告白
映画『マレフィセント2』や今後公開されるマーベルの新作映画『エターナルズ』に出演するアンジェリーナ・ジョリーが、3月8日の国際女性デー(International Women’s Day)に合わせて米Timeに寄稿したエッセイの中で、元夫で俳優のブラッド・ピットとの間にもうけた自身の娘(※)2人が最近、そろって手術を経験したことを明かした。
※アンジェリーナはジェンダーの枠にとらわれない教育を実践していることで知られるが、ここでは、アンジェリーナがエッセイ内で「娘」と表現しているため、「娘」、「彼女たち」といった女性名詞を使用する。ちなみに長女ザハラは養子、次女シャイロはブラッドとの実子。
アンジェリーナは、『Why Girls Deserve Love and Respect on International Women's Day(国際女性デーにはなぜ女の子たちに愛とリスペクトを捧げるべきなのか)』と題されたエッセイの冒頭で、ここ2ヵ月の間に、長女ザハラ(15)と次女シャイロ(13)が立て続けに手術を受けたことを告白。2人が手術を受けることとなった詳細な理由については語らなかったものの、娘たちの許可や後押しを得て、その事実を世間に知らせると前置きしたうえで、2400字以上におよぶエッセイを執筆した。
「彼女たちは、健康上の困難を経験し、生きるために戦い、回復するということは誇らしいことだと理解しています」と記したアンジェリーナは、手術からの回復において支え合うザハラ、シャイロ、そして三女のヴィヴィアン(11)の絆や優しさ、強さに感銘を受けたと、こうしたためた。
「私は娘たちがお互いをいたわり合うの目の当たりにしました。末娘(ヴィヴィアン)も姉たちに習って看病の仕方を学び、次の時には手伝っていました。娘たち全員が、自分がやっていたことは後回しにして、お互いを最優先する様子、そして、愛する人の役に立つことの喜びを感じる様子をこの目で見ました。
そして、娘たちの顔が勇敢さで強張る様子も目の当たりにしました。誰も私たちを救うことができいない時、私たちは皆、自分にできるのは、ただ目を閉じて、息をすることだけだと知っています。痛みの中でできるのは、次の一歩を踏みすこと、もしくは呼吸をすることだけ。そんな時、私たちは自分を奮い立たせできることをやるしかないのです」
少女たちの「素質」は搾取されている
しかし、アンジェリーナは、娘たちの相手を思いやり、いたわる様子に胸を熱くする一方で、そんな彼女たちの献身的な姿を「女の子ならではの素質ですね」と評したある知人のコメントにハッとしたそう。
その時は、笑顔を返したアンジェリーナだったが、その後、世界では、女の子たちが生まれ持った優しさや思いやり、自己犠牲の精神といったものが過小評価されているばかりか、ときには搾取されていると気づいたという。
「少女たちはお互いに世話をし合うのが当然のことだと思われています。そして、女性へと成長した彼女たちには、与え、世話をし、犠牲を払うことが求められる。少女たちは、誰かの役に立ったときにだけ、良い子だと評価され、自分のニーズや欲望に集中することは間違っていることだと感じるように仕向けられていることが多いのです」
だからこそ、幼い女の子たちの優しさや寛容さ、他人をケアする本能といったピュアな素質は搾取されるべきではなく、感謝されるべきものだと続けたアンジェリーナ。
さまざまなチャリティ、とくに戦地や貧困国で苦しい生活を余儀なくされている子供や女性たちを支援する活動に力を入れている彼女は、「私たちは、少女たちを守るためにもっと尽力するべきです」と、小さなことでも構わないから、女の子たちに対する不当な扱いを無くしていこうと呼びかけた。
アンジェリーナは、最後に、世界中の女の子たちに向けてこんなメッセージを送り、エッセイを締めくくった。
「私から少女たちに送りたいのは、『戦いつづけて、小さなレディたち』というメッセージです。お互いをいたわり合うことは、あなたの未来への躍進のための大きな糧となる。度胸を持って、自分の権利を知り、そして、誰にもあなたには“価値が無い”、“特別じゃない”、そして、何より、“平等じゃない”なんて言わせないで」
娘の手術からの回復を案じながら、病院で書いたというこのエッセイの中で、娘たちだけでなく、息子たちも、もちろん、姉妹の無事を心配し、力になろうとしていたことを明かしたアンジェリーナ。次女シャイロに関しては、股関節の手術を受けたことを明かしたが、確かに、3月の頭には、アンジェリーナやヴィヴィアンと買い物に出かけたシャイロが松葉杖をついて歩いている姿が目撃されていた。(フロントロウ編集部)