2020年4月25日から5月6日は東京プライドウィーク。さらに、毎年6月は多くの国でLGBTQ+コミュニティへの理解を深めるプライド月間になっている。そこで、LGBTQ+を扱った映画を厳選してご紹介。今回は、男性同士の恋愛編。(フロントロウ編集部)

『ムーンライト』

 2017年アカデミー賞で三冠を獲得した本作は、無名監督&無名俳優の組み合わせで公開され、賞レースではノーマークだった。競合には大ブレークした映画『ラ・ラ・ランド』や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などがあったが、それらを抑えLGBTQ+作品で初の作品賞を獲得。主要キャストが全て黒人の本作は、マイアミを舞台に自分のアイデンティティやセクシュアリティを模索する男性を繊細に描写している。


『ブロークバック・マウンテン』

 ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホールが羊の放牧を行なう季節労働者を演じた本作は、アメリカ中西部を舞台に、1963年から1983年までの20年間にわたって惹かれ合う2人の男性の姿を描いている。2人が惹かれ合う姿は普遍的な愛の形を示すとして、男性同士の恋愛を描いた作品の中でも長く愛されている。


『ゴッズ・オウン・カントリー』

 「神の恵みの地」と呼ばれるヨークシャーを舞台に、2人の孤独な青年の愛の行方を描いた本作。息の詰まるような片田舎で退廃的に暮らす主人公と、季節労働者の羊飼い。曇天の中でリアルに映し出される行き場のなさ、優しさ、恋心が、見るものの心を掴む。


『アレックス・ストレンジラブ』

 Netflixオリジナル映画の本作は、恋に悩む男子高校生の青春物語。ラブラブな彼女がいる主人公は、あとはセックスをするだけ…と思いきや、なかなか踏み切ることができない。そんななか、気になる男の子も出てきて…。シリアス要素はなく、アレックスの揺れる恋心をフラットに描いた爽やかストーリー。


『トロピカル・マラディ』

 2010年、映画『ブンミおじさんの森』でタイ映画史上初のパルムドールを取得したアピチャートポン・ウィーラセータクン監督の、カンヌ映画祭審査員賞受賞作品。自身もゲイであることをオープンにしている監督は、熱帯感あふれ蒸し暑さが伝わってきそうな映像が魅力。『山月記』に似たストーリーの中、むせ返るような湿気の中惹かれ合う2人にドキドキしつつも、前半後半で全く違うストーリーに仰天する。


『ブエノスアイレス』

 『恋する惑星』や『花様年華』などの名作で知られるウォン・カーウァイ監督作品。トニー・レオンとレスリー・チャンが、アルゼンチンを旅するゲイカップルを演じたスタイリッシュなラブストーリー。関係を「やり直す」ための旅のはずが、2人の仲は最悪に。別れられない2人の思いを繊細に表している。ラストシーン、トニーがテープレコーダー片手に見せる一人芝居は必見。


『Love, サイモン 17歳の告白』

 多感な少年のカミングアウトを取り扱った本作は、本国アメリカで高評価を得た。自分がゲイだからといって「カミングアウト」しなければならないのはおかしい、バレていじめられるかもしれない、ゲイといってもスーパーマンなんかではなく普通に生活している一般人だ…。そう思っている主人公には、だれだって共感できるところがあるはず。


『フィリップ、きみを愛してる!』

 気負わずに見られるコメディ映画。IQ169の天才詐欺師スティーヴン・ラッセルの実話をもとに作られている本作は、監獄で出会ったジム・キャリーとユアン・マクレガーの“ウソのような本当の”恋模様を描いている。ユアン演じるフィリップにピュアなラブを注ぎまくるジム演じるスティーブの姿には、思わずニッコリ。


『マイ・ビューティフル・ランドレット』

 パキスタン人の青年とイギリス人の青年の間に芽生えた愛と友情を描くヒューマンドラマ。LGBTQ+の問題だけでなく、現代社会で大きな問題となっている移民問題や格差社会を取り扱っている。若きダニエル・デイ=ルイスが主演を務め、パンクな青年たちと闊歩する様子が魅力的。2人のセクシーなシーンはかなり色っぽい。


『彼の見つめる先に』

 ブラジル・サンパウロを舞台に、思春期の若者たちの揺れ動く感情を切り取った青春ドラマ。高校生のレオは目が見えないけれど、幼馴染みのジョバンナに先導されて毎日登校し、みんなと同じ教室で勉強し、運動する。恋だって他の生徒と一緒で、転校生のガブリエルに恋をするけれど、偏見や悲壮感はない。ボーダーレスで優しい気持ちになれる、素敵な作品。


『さよなら、ぼくのモンスター』

 10代の悩みを綴った本作は、家族や将来、セクシャリティなどの問題に悩みながら日々を送るゲイの少年の姿を描いている。音楽や美術がこだわり抜かれていて、そのセンスには脱帽。長生きするハムスターが登場し、なぜかハムスターも自分のジェンダーに悩んでいるということになっているところにクスッとさせられる。


『バッド・エデュケーション』

 抑圧的な神学校での少年2人の友情と初恋、神父による性的虐待と、その後に成人して再会した彼らの姿が交錯して描かれる本作。カトリック教会の神父による性的虐待問題は、現代でも大きな問題となっている。本作は、映画『トーク・トゥ・ハー』のペドロ・アルモドバル監督の半自伝的物語でもある。


『BPM ビート・パー・ミニット』

 “不治の病”としてエイズが怖がられていた1990年代の初め、パリで活動していたエイズにまつわる差別や不当な扱いに抗議する団体「Act Up-Paris」の活動家たちを描いた作品。監督のロバン・カンピヨの実体験をもとに描かれているため、まるでドキュメンタリーのよう。愛し合い、戦い、痩せ細りながらも命を燃やす若者たちの姿をぜひ見届けて。


『ある少年の告白』

 俳優のジョエル・エドガートンが『ザ・ギフト』に続きメガホンを取り、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で一躍その名を世界に知らしめたルーカス・ヘッジズが初主演を飾った本作は、ルーカス演じる主人公が、あることをきっかけに自身のセクシャリティに目覚め、心配した両親に「同性愛治療プログラム」に送られてしまう。本作は、2016年に発表され大きな問題となった実話をもとにしている。2018年の時点で、アメリカでは38もの州で同性愛を治療で“治す”施設が合法とされていた。


『チョコレートドーナツ』

 舞台は1979年のカリフォルニア。ゲイのカップルが、育児放棄された障害児を育てた実話に着想を得て制作された号泣必至のヒューマンドラマ。当時の同性愛者が受けていた偏見の酷さや、ダウン症の子供への扱いなどもさることながら、衝撃的なのはそのエンディング。見た人に確実に爪痕を残す、そんなショッキングな結末。

 男性同士が恋に落ちる作品は、まだまだたくさん。様々な愛の形を知るきっかけに、ぜひ調べてみては?女性同士の恋愛を扱った作品15選はコチラ。(フロントロウ編集部)

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