ブラッド・ピット、話題のあの人になりきる
ハリウッドを代表する俳優のひとりであるブラッド・ピットは、最近では、友人の俳優・監督ジョン・クラシンスキーによるハッピーなニュースだけをお伝えする番組『Some Good News(原題)』で、天気予報士をゆる~く演じてファンを癒した。そんなブラッドが、今度は今話題のあの人物を演じて、拍手喝采を浴びている。
米人気コメディ番組『Saturday Night Live(原題)』に登場したブラッドは、髪は白髪で、銀のフチの細いメガネをかけている。そして服装はスーツで、青色のシャツに、ワインレッドのネクタイ…。そう、この見覚えのある外見、新型コロナウイルスの対策チームのトップとして信頼を得ているアンソニー・ファウチ医師!
And now, a message from Dr. Anthony Fauci. #SNLAtHome pic.twitter.com/LYemNAWaAT
— Saturday Night Live - SNL (@nbcsnl) April 26, 2020
じつはファウチ医師は、この数週間前に、俳優のベン・スティラーかブラッド・ピットに自分を演じてもらうならどちらが良い? という質問に、もちろんブラッドだとハニカミながら即答していたため、今回の企画が実現したというわけ。しかしブラッドが快諾したのは、それだけが理由ではないよう。
コメディショーでそのセンス、キレッキレ
ファウチ医師に扮したブラッドは、米トランプ大統領は「勝手な判断で(ファウチ医師たちの)ガイドラインを使用しているようですね」と話し始め、大統領の過去の発言のファクトチェックをすることに。大統領は、みんなが新型コロナウイルスの検査を受けられると発言していたけれど、Our World in Dataのデータでは、4月23日の時点で1,000人中14.73人にとどまっている。そこでブラッドは…?
「彼が、みんなテストを受けられると言ったのは、つまりほとんどの人が受けられないという意味でした」
ちなみに、日本では1,000人中1.79人。
また、新型コロナウイルスとの闘いは深刻な状態を抜け出したとしても、徐々に対策を緩めていくことが重要で、一気にウイルスの恐怖から解放されることはない。しかしトランプ大統領は、「奇跡のようにね、いつか(ウイルスは)消え去るんだ」という発言をしたため、ブラッドもコメディのネタにせざるを得なかったよう。
「奇跡は素晴らしい。奇跡が嫌いな人などいますか?しかし最初の計画は、奇跡に頼るべきではない。(ハドソン川の奇跡を起こしたパイロットの)サリーも、最初は空港に着陸しようとしていたんですから」
また、早期の開発が期待されている新型コロナウイルスのワクチンについて、トランプ大統領は「比較的早め」に出来上がると発言。そこにブラッドは引っかかりを感じたようで?
「比較的早めにというのは、面白い言い回しですよね。地球の歴史と比較して? そうであればもちろん、ワクチンは本当に早く出来上がるでしょう。しかし、もし友人にこう言ったとしましょう。『比較的早めに行くよ』。そして1年半後に行ったとしたら、そうですね…。あなたの友人は“比較的”、激怒するでしょうね」
人体に影響するワクチンは、様々な研究や臨床試験などをきちんと行ない、データをとってから一般に流通するようになるため、例え今から1年半後に出来上がったとしても早い。しかし政治家が責任から逃れられるように、あいまいな言葉を使ったことをブラッドは見過ごすことはしなかった。
ブラッド・ピット、医療従事者に感謝
ブラッドといえば、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』での演技で助演男優賞を受賞した2020年第92回アカデミー賞授賞式のスピーチでも、トランプ大統領の弾劾裁判で証人尋問を行なう予定だったボルトン氏に、証言する時間がほとんど与えられなかったことを批判。
「(スピーチに)45秒だけもらえると言われました。今週、上院がジョン・ボルトンに与えた時間より45秒多いですね」と、スピーチの始めに皮肉を交えて話していた。そんなブラッドだからこそ、米国立アレルギー感染症研究所の所長で、事実に基づいた情報を発信していることで信頼があり、トランプ大統領の新型コロナウイルスに対する見解をきっぱりと否定したファウチ医師に敬意を表したかったよう。
ものまねの最後には、「本物のファウチ医師へ。このやる気がくじかれる時期における、あなたの落ち着きと明瞭さに感謝します。そして、医療従事者、救命救急などの災害時に第一に対応を行なう方々、そしてその人たちの家族が、最前線で闘ってくれていることにも感謝しています」と、その敬意を示した。(フロントロウ編集部)