『ハリポタ』作者が「虹色の本棚」を公開
シリーズ累計世界興行収入が77億ドル(約8,530億円)を超える大ヒット映画シリーズ『ハリー・ポッター』(以下、『ハリポタ』)の原作となった同名の児童文学・ファンタジー小説の著者として知られる、J.K.ローリングが、自宅の一画にある本棚をお披露目した。
ローリング氏といえば、『ハリポタ』シリーズのほかにも、関連作品である映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで脚本を担当したり、大人向けの長編小説『カジュアル・ベイカンシー突然の空席』がベストセラーとなったり、あえて自身の名前を伏せ、“ロバート・ガルブレイス”という別人名義で出版した『私立探偵コーモラン・ストライク』シリーズが全英1位の売り上げを記録し、その後、英BBCでドラマ化されたりと、現代を代表する人気ファンタジー作家の1人。
そんなローリング氏の本棚とあれば、一体どんな作品が並んでいるのだろうと興味が湧くが、ローリング氏が今回紹介したかったのは、自身の愛読書の数々ではなく、新型コロナウイルス感染拡大防止のために続けている外出自粛生活の中で行なった“整理整頓”の成果。
ローリング氏は、ツイッターを通じて、レインボーカラーに色分けされた自宅の本棚の様子を撮影した動画を公開し、「本の整理整頓は、ロックダウン中の心を癒してくれる素晴らしいアクティビティですよ」と虹の絵文字を添えて、フォロワーたちにも、暇つぶし兼リフレッシュのために、“虹色の本棚”にトライしてみようと呼びかけた。
Rearranging books is a very soothing lockdown activitypic.twitter.com/6bDjeCJIPa
— J.K. Rowling (@jk_rowling) April 21, 2020
「虹色の本棚」とは?
ローリング氏も実践しているように、その名の通り、手持ちの本を色分けして並べる「虹色の本棚(#RainbowBookshelvesまたは#RainbowBooks)」とは、新型コロナ禍で室内で過ごす人が増えるなか、じわじわと人気を拡大しているSNSチャレンジの1つ。
以前からあった、室内をオシャレに演出する整頓術だが、昨今、世界中で「虹」が新型コロナ収束を願うシンボルとなっていることも相まって、少しでもハッピーな気分になれたらと、このチャレンジに取り組む人が続出している。
本棚の上に描かれた「言葉」
今回公開した本棚は、所有している書籍コレクションのほんの一部だというローリング氏。それでも、壁に造りつけられた本棚に並ぶ圧巻の本の量は、「さすが一流作家」と人々を唸らせているが、もう1つ注目を集めたポイントがある。
それが、本棚の上部の壁にゴールドのペンキで描かれた「It is the mynd, that maketh good or ill, That maketh wretch or happie, rich or poore.」という言葉。
これは、数々の名言を残したことで知られる、16世紀イギリスの詩人エドマンド・スペンサーの格言で、日本語ではこのように訳される。
「善悪を作るもの、幸不幸を作るもの、貧富を作るもの、それは人の心である」
捉え方は人それぞれだが、極めて簡単に解釈すると、「物は考えよう」、「すべてはマインド次第」といった意味にもなる。
新型コロナ禍では、まだまだ未知な部分が多いウイルスの脅威や、それがもたらすあらゆる悪影響の甚大さに、たくさんの人々が不安や孤独を感じながら、これまでとは違う日常を過ごしている。
ローリング氏の自宅には、新型コロナ禍よりもずっと以前から、彼女が物語を綴るうえでのモットーの1つとして、この詩人スペンサーの格言が描かれていた可能性が高いが、「虹色の本棚」を公開した動画に、あえて、この言葉を映り込ませていたのは、ローリング氏から人々への、励ましや応援の意味を込めた“隠しメッセージ”だったのではないかと勘繰らずにはいられない。
自身も新型コロナウイルスに感染した疑いがあることを告白したローリング氏は、これまでにも、自宅学習を続ける子供たちの教材として教師たちが活用できるよう、『ハリポタ』全巻の著作権の制限を一時的に取り払ったり、子供から大人まで楽しめる『ハリー・ポッター』の世界観を凝縮した特別サイトを立ち上げたりと、独自の方法で新型コロナ禍の人々の生活改善に貢献している。(フロントロウ編集部)