ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、発症とともに全身の筋肉が徐々に衰えていく病気。筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かして運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が障害をうけ、結果として、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなる。
人によって進行のスピードは異なるが、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が少しずつ痩せ、力がなくなっていく。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが一般的。
治癒のための有効な治療法は現在確立されておらず、難病に指定されている。
2014年に世界的に流行したバケツに入った氷水を頭からかぶるSNSチャレンジ「アイス・バケツ・チャレンジ」はALSの認知度の向上や寄付金の増加を目的に行なわれたもの。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)啓発月間
ALSという難病に関する知識を広め、療養生活を送る患者のサポートやさらなる研究を支援することを目的としてスタートしたのが、ALS啓発月間。
アメリカでは1992年に始まったALS啓発月間は、毎年5月に実施(※)。ALS患者やその介助・サポートを行う家族や友人、医療関係者といった支援者から成るコミュニティの主導で、この難病についてより多くの人々に知ってもらうため、さまざまな取り組みが行なわれる。
※1990年にALS啓発月間が始まったカナダでは毎年6月に実施される。
ALSを題材にした映画5選
ALSついて啓発し、ALSとともに生きる人々の頑なな姿勢について知ってもらおうと、この難病を題材とした映画がいくつも制作されてきた。
そのなかでも、とくに評価が高い作品を5つピックアップして紹介。
『サヨナラの代わりに』(2014年)
ある日突然ALSを発症した完璧主義者な女性主人公と、彼女の介助人として雇われた自由奔放な女子大生が、ぶつかり合いながらも、やがて心を通わせ、かけがえのない強い絆で結ばれていく様子を描いたヒューマンドラマ。主人公のケイトをアカデミー賞を2度受賞した実力派俳優のヒラリー・スワンクが演じ、女子大生のベックをドラマ『シェイムレス 俺たちに恥はない』のエミー・ロッサムが演じた同作は、「生きること」とは何かを考えさせられ、前向きな気持ちになれると高評価。
『君がくれたグッドライフ』(2016年)
ALSで余命を宣告された36歳の主人公と大切な仲間たちの“人生最期のロードトリップ”を描いたドイツ映画。ベルギーでの尊厳死を目的に自転車での旅に出た主人公と、道中でそれを打ち明けられた仲間たちの心の葛藤や友情を美しい情景とともに描き出した感動的な同作は、本国ドイツのみならず、複数の国の映画賞で高い評価を得た。
『博士と彼女のセオリー』(2015年)
物理学者スティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた作品。将来を嘱望されながらも若くして難病であるALSを発症したホーキング博士が、彼を献身的に支える妻ジェーンとともに、いくつもの困難に立ち向かっていく愛情あふれる物語を綴る。同作は、第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、主演のエディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した。
『ジェイソン・ベッカーNot Dead Yet~不死身の天才ギタリスト~』(2014年)
ALSにより体の自由を奪われながらも「生きたい」、「音楽を作りたい」という強い思いに突き動かされ、ミュージシャンとしての活動を続ける天才ギタリスト、ジェイソン・ベッカーの軌跡を追ったドキュメンタリー映画。本人や家族、関係者の証言から構成される劇中には、親友のマーティ・フリードマンやスティーヴ・ヴァイといった日本でも人気のあるミュージシャンも多数出演している。
『Hasu(ハス)』(2017年)
日系アメリカ人監督のアレイナ・コバヤシによるショートフィルム。ALSを発症した父親を支える若い女性の姿を描いた同作は、約9分間と短く、セリフ無しの作品ながら、介助者の苦悩や葛藤、そして家族への深い愛情が伝わる、胸を抉られるような作品となっている。バーバンク国際映画祭のオフィシャルセレクションとなった同作は、下記で全編が視聴可能。
(フロントロウ編集部)