テイラー・スウィフトが「謎のバンド」を絶賛
シンガーのテイラー・スウィフトは、5月24日、ツイッターを通じてドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』の最新エピソード内で使用された自身のヒット曲「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥー(Look What You Made Me Do)」(以下「LWYMMD」)のカバーバージョンを紹介。
VERY STOKED about this cover of lwymmd on @KillingEve by Jack leopards & the dolphin club!! pic.twitter.com/fhkLfOssfm
— Taylor Swift (@taylorswift13) May 25, 2020
「『キリング・イヴ/Killing Eve』で流れたジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブによる『LWYMMD』のカバーに超興奮してる!」と、アコースティックギターの音色に合わせて、男性が囁くような声で歌う、本家テイラーの「LWYMMD」とはガラリと印象がカバーバージョンの仕上がりを絶賛した。
テイラーによる「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥー」のMV。
テイラーが偽名を使ってプロデュース
普段から自分が才能があると見込んだ新人アーティストをSNSなどで紹介して、認知度アップに貢献しているテイラー。それだけに、この「ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブ」という無名のバンドもただ単に彼女が注目する新人バンドなのかと思いきや、今回は少し、様子が違った。
ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブのこれまでの活動やリリース歴を調べてみると、彼らがリリースしたのは、今回のテイラーの「LWYMMD」のカバー1曲のみ。
さらに、同曲のプロデューサーには、「ニルス・ショーバーグ(Nils Sjöberg)」の名前が記載されている。
「ニルス・ショーバーグ」とは、テイラーが2016年に元恋人で売れっ子DJのカルヴィン・ハリスとともに「ディス・イズ・ホワット・ユー・ケイム・フォー(This Is What You Came For)」を共作した際にも使用していた偽名。
シンガーのリアーナをフィーチャリングし、テイラーもバックコーラスとしてこっそり参加した同曲は、アメリカ、イギリスをはじめとする世界各国のダンスミュージックチャートで1位を獲得した。
ちなみに「LWYMMD」のMVには墓石に「ニルス・ショーバーグ」の名前が刻まれているシーンが登場する。この墓石には、偶然か、それとも計算通りか、「ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィンクラブ」のバンド名に含まれる「ドルフィン=イルカ」のモチーフが浮き出しているのも確認できる。
謎のバンドの「正体」は?
ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブの後半部分の「ザ・ドルフィン・クラブ」とは、テイラーの2歳年下の弟で俳優や映画プロデューサーとして活躍しているオースティン・スウィフトの可能性が高く、カバーバージョンの物憂げな歌声の主は彼であると、多くのファンが推測している。
というのも、「ザ・ドルフィン・クラブ」という名前は、以前、オースティンがツイッターで使用していたユーザーネーム。さらに、「LWYMMD」のカバーバージョンのジャケット写真として公開された写真も、顔こそ隠されているものの、オースティンの幼少期の写真とほぼ完全に一致する。
そして、前半部分の「ジャック・レオパーズ」とは、テイラーとともに「LWYMMD」の製作陣に名を連ねる、インディー・ロックバンド、ファン(Fun.)のメンバーで音楽プロデューサーのジャック・アントノフなのではないかと見られている。
「LWYMMD」のカバーバージョンのクレジットには、ジャックがプロデューサー兼使用されたすべての楽器のパフォーマーであると表記されており、2019年末には、テイラーとオースティン、ジャックがそろってスタジオに出入りする様子も目撃されていた。
なぜこんな手の込んだ事を?
姉弟そろってドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』の大ファンだというテイラーとオースティン。今年2月には、テイラーが同番組の脚本・製作を務める俳優のフィービー・ウォーラー・ブリッジに、オースティンを同作のサウンドトラックに参加させてくれないかと懇願したと英Daily Mailが報じていた。
では、テイラーは、なぜ、自分ではなく、弟のオースティンに「LWYMMD」のカバー版を歌わせ、ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブという新バンドの名義でリリースしたのだろうか?
その答えは、テイラーが、2019年夏以降、熾烈なバトルを繰り広げている前所属レーベルのビッグマシン・レコードと、同社を買収し、傘下に置いたことで、テイラーがデビューから2018年の移籍以前までにリリースした楽曲の原盤権を手にした音楽マネージャーのスクーター・ブラウンを“出し抜く”ためなのではないかとみられている。
「LWYMMD」は、テイラーが2017年にリリースした通算6枚目のアルバム『レピュテーション(Reputation)』の収録曲。ビッグマシン・レコードとの契約上、同楽曲のカバーをテイラー自身が歌ってリリースすることはできないが、弟のオースティンが歌い、彼女がペンネームである「ニールス・ショーバーグ」名義でプロデューサーとして携わる分には問題は無い。そして、何より、カバー曲のセールスやドラマでの使用による収益は、ビッグマシンレコーズやスクーターには入らない。
テイラーが“答え合わせ”
無名のアーティストによるカバー曲でありながら、記事執筆時点で米iTunesチャートの20位にまで浮上している、ジャック・レオパーズ&ザ・ドルフィン・クラブによる「LWYMMD」。
楽曲やミュージックビデオ、SNSへの投稿などを通じてテイラーから投じられる“イースターエッグ(隠しヒント)”にはすでに慣れっことなっている熱心なファンたちが、この「カバーバージョンの歌声の正体がテイラーの弟オースティンであり、テイラーもプロデューサーとして関わっている」という説に辿り着くのには、さほど時間はかからなかった。
テイラーは、ツイッターやインスタグラムといったユーザー数が多いSNSよりも、ファンとより距離感が近いTumblrを優先して更新していることで知られるが、今回の疑惑に関しても、Tumblrを通じて反応。この説を唱えた複数のファンたちの投稿に「いいね」を押したことで、実質、彼らの推理が正しいことを認めたものとみられている。(フロントロウ編集部)