リアーナのスピーチとは?
近年アメリカでは、非武装の黒人が白人警官に殺害されたり、白人が黒人を殺しても逮捕や起訴されなかったりという事件が多発しており、米時間5月25日に黒人男性のジョージ・フロイドが白人の警察官デレク・ショービン容疑者に殺害された事件が発端となり、黒人の命には価値があると訴えるブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)運動が激化し、デモが全米で行なわれている。
それにより、今、シンガーで実業家であるリアーナのあるスピーチに再度注目が集まっている。そのスピーチとは、2020年にリアーナが全米有色人地位向上協会(NAACP)主催の第51回NAACPイメージ・アワード(NAACP Image Awards)にて特別賞にあたるプレジデンツ・アワードを受賞した時のもの。
プレジデンツ・アワードは、アーティストとしての活躍だけでなく、長年の社会奉仕家としての功績を称える特別賞。リアーナは、2012年に祖父母の名前をとってチャリティ団体クララ・ライオネル基金を設立し、その活動が認められて特別賞を受賞。その時のスピーチには、団結しなければならないというリアーナからのメッセージが込められていた。
2012年にクララ・ライオネル基金をスタート出来て本当にラッキーだったと思います。(活動を通して)私が学んだことがあるとすれば、私たちは一致団結しないと世界を修復することができないということ。分裂していてはできない。これはいくら強調しても足りないくらいです。私たちは鈍感さを身につけてはだめなのです。『それはあなたの問題で、私の問題ではない。それは女性の問題。それは黒人の問題。それは貧しい人の問題』。自分とは違う人種、性別、信仰を持つ同僚やパートナーや友達がいる人はこの会場に何人いますか?手を挙げてみてください。彼らはあなたたちと食事がしたいと思っていますか?あなたのことが好きですか?それだったら、これは彼らの問題でもあります。マイケル・ブラウン(※1)のジュニアや、世界にいるアタティアナ・ジェファーソン(※2)たちについてデモを行なったり抗議したり投稿したりする時、友達にも一緒にするように言ってください。私たちのコミュニティの平等を確保するための努力をしてくれているNAACPに感謝します。私たちの強さと粘り強さを称えてくれることに感謝します。私たちは最初から機会を与えられてきませんでした。それでも私たちは打ち勝ちます。だからとても光栄です。私たちが一致団結したら達成できることを想像してみてください。
※1マイケル・ブラウン:2014年に無抵抗だったにもかかわらず白人の警察官に射殺された当時18歳だった黒人の青年。 ※2 アタティアナ・ジェファーソン:当時8歳だった甥と遊んでいて外の物音に気づき様子を見に行ったところ白人の警察官に撃たれて死亡した黒人女性。
このリアーナのスピーチは、カーラ・デルヴィーニュなどが改めてインスタグラムに投稿する形で振り返り、再び注目をあつめている。
リアーナは、ジョージ・フロイドが殺された事件についても反応しており「ここ数日、大きすぎる荒廃、怒り、悲しみに打ちのめされています。連日のように私と同じ人々が殺されてリンチされるのを見て、私の心は重かったです。何度も何度も命乞いするジョージ・フロイドのゾッとするような声をもう一度聞くのを避けるために、ソーシャル・メディアから距離を置いたほど。純粋に楽しんでいるような様子で、最後には偏屈者、殺人者、悪者、ブタ、カスの表情だったデレク・ショーバンが私を悩ませるの。頭から離れない!逮捕するのに救急車を引っ張り出してきて、救急救命士がチェックしているのに、(息を止めている)アイツをどかさないのが信じられない!これがまじで普通なの?もしドラッグや逮捕に抵抗することの罰が意図的な殺人なら、じゃあ殺人にふさわしい罰ってなんなの?」とインスタグラムで怒りを露わにした。
また、リアーナがプロデュースを手掛けるハイファッションブランドのFENTY(フェンティ)をはじめ、コスメブランドのFenty Beauty(フェンティ・ビューティー)、ランジェリーブランドのサヴェージ×フェンティ(Savage X Fenty)も、6月2日の火曜日は、ビジネスを一時中断し、黒人差別撤廃のために企業や個人それぞれがこの問題に考え巡らせ、できることを実行しようと発足した運動である「#Blackout Tuesday(ブラックアウト・チューズデー)」と呼ばれるストライキに参加して公式ショップや店舗を休業とした。
影響力があるリアーナの行動は、何万人ものファンを動かすことができる。リアーナは自らが行動を取り、発言することで、ファンたちに少しでも黒人差別撤廃のために出来ることを考えてほしいと問題提起している。(フロントロウ編集部)