毎年6月5日は、世界環境デー。2020年のテーマは、「自然のための時間(Time for Nature)」。(フロントロウ編集部)

2019年、各地で衝撃的な出来事が起こった

 人間以外の多くの生物も住んでいる地球で、人間の行動が大きな引き金となり、環境破壊や気候変動が急速に進んでいる。2019年にも様々なことが起こった。

 2019年8月には、北極圏に位置する国土の82%が氷に覆われた国グリーンランドで、たった“1日”で「110億トン」の氷が溶けた。また、南極では2月9日に、気温20.75℃を観測。南極で20℃を超える気温が観測されたのは、これが初めてだった。南極では2月5日から13日までの間に、この冬に積もった雪の約20%を溶かし、溶けた雪によって、なんと1.5平方キロメートルの広さの池が出来上がっていた。

画像: 食料となる草がなくなった焼け野原に立つカンガルー。(豪ニューサウスウェールズで2019年11月11日に撮影)

食料となる草がなくなった焼け野原に立つカンガルー。(豪ニューサウスウェールズで2019年11月11日に撮影)

 また、記憶に新しいのが、8ヵ月以上にわたって続いたオーストラリアの森林火災。オーストラリアで夏となる12月には、17日にオーストラリアの全国平均気温が40.9℃に。オーストラリア南部のセドゥナでは気温46.5℃を記録し、その気温が理由の非常事態宣言は2度も出された。

 その影響もあり、非常に深刻なものとなったのがオーストラリア森林火災。オーストラリア全土で、合わせて韓国の国土以上の広さが焼け、10億以上の野生動物が犠牲になったと見られている。火災が収まったあとの干からびた大地は水を吸収せず、各地で洪水も発生した。

人間の活動が環境に与える影響とは?

 環境問題を人間のせいではないと主張する人や、陰謀論だと主張する人がいるけれど、気候科学者であるピーター・グリック氏は、オーストラリアの森林火災について、英Timeのインタビューでこう話す。

「気候変動が、このような火災を引き起こしたのかどうかが疑問なのではありません。火災は自然が原因でも、人間が原因でも起こりますからね。私たちが着眼しているのは、オーストラリアの火災を前代未聞なほど悪くしている条件についてです。記録的な暑さ、未曾有の干ばつ、雨不足、これらはすべて燃料を乾燥させ、火災を悪化させています。火災はいずれにせよ起きていたかもしれません。しかしその深刻さや激しさは、気候変動がなかった場合より、比べものにならないほど悪くなっています」

 また、新型コロナウイルスの影響によって世界各地で外出禁止令が出された際には、中国やイタリアで二酸化炭素排出量が減少し、大気汚染が改善したことが確認されている。

 2020年1月1日から3月11日の期間にイタリアで排出された二酸化炭素量を上空から撮影した映像。

 また、人間が出すゴミによる環境破壊も問題となっており、WWFジャパンによると、地球の海にはすでに合計で1億5,000万トンのプラスチックごみが放出されており、さらに年間800万トンものプラスチックごみが海に流出しているとみられている。800万トンは、重さにしてジャンボジェット5万機相当。

 プラスチックごみやタバコの吸い殻は多くの海洋生物に影響を及ぼしており、海鳥の90%、ウミガメの52%がプラスチックごみを摂取していると見られているうえ、最近では海鳥の親が、餌と間違えてタバコの吸い殻を子供に与えているところが目撃された。

 新型コロナウイルスの影響で人が少なくなったイタリアの人気観光地である水の都ベネチアでは、街のめぐる水路の水がきれいになり、魚や白鳥、さらにはくらげまでが戻ってきていることが確認された。

環境のためにできることは?

 家庭では、クーラーの使用を控えたり、プラスチックごみを出さないように、再利用できるアイテムを使用したりすることなどが、個人でできることの一部。ちなみに飲み物の容器としては、ペットボトルよりもアルミ缶のほうが断然リサイクルされやすい。

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家に欲しい!エコグッズ6選、「家具」「マットレス」や「ストロー」もスタイリッシュに

 そのほかにも、畜産業は地球温暖化の大きな原因のひとつとされており、とくに欧米では、肉の消費量を減らすよう提言されている。そのため、今年のゴールデン・グローブ賞授賞式や、アカデミー賞候補者のランチ会で提供された食事は100%ヴィーガンフードとなっている。

 また、環境保護アクティビストのグレタ・トゥーンベリ氏は、個人だけでなく各国が国をあげて環境問題に取り組むよう要請している。彼女を支持する国連のアントニオ・グテレス事務総長は過去に英Guardianへの寄稿で、「各国の首脳は、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにするために、今後10年で45%削減し、2020年までに大幅に減らす『具体的で現実的な』計画を用意し、2019年9月に開かれる国連気候サミットに参加してください」と呼びかけていた。

 イタリアやアメリカのニュージャージー州では、気候変動に関する授業を必修とすることが決定している。(フロントロウ編集部)

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