路面に特大スローガンが出現
アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.にある大統領官邸「ホワイトハウス」に続く16thストリートの路面に、現地時間の6月5日、特大サイズの「Black Lives Matter」のペイントが出現した。
イエローの塗料を使って施されたこのスローガンは、白人警官による過剰な暴力の行使によって拘束中に死亡した黒人男性ジョージ・フロイド氏の死をきっかけに勃発した、黒人への人種差別撲滅を訴える抗議デモ「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」への支持を表明するもの。
同市のミュリエル・バウザー市長の全面的なサポートを得て、ワシントン市の職員やデモの参加者たちが協力し合い、KストリートからHストリートまでの2区画にわたって塗装作業を行なった。
バウザー市長は、自身のツイッターで、たった1日で仕上げられた特大の路上スローガンを上空から映した動画を「#BlackLives Matter」のハッシュタグを添えて公開。
#BlackLivesMatter pic.twitter.com/OQg6977n5r
— Muriel Bowser #StayHomeDC (@MurielBowser) June 5, 2020
この投稿はNBA選手のレブロン・ジェームズが「美しい!僕たちは、一緒になれば必ず勝てる!」とコメントしながら引用したほか、ラッパーのアイス・キューブも「美しい」とフォロワーたちにシェアするなど、セレブや著名人たちの間でも話題となっている。
交差点の名称が変更
ワシントン市は、さらに、16thストリートとHストリートの交差点を「Black Lives Matter Plaza(ブラック・ライヴズ・マター・プラザ)」と名称変更することも発表。
市の職員が早速、看板を付け替えた際には、周囲から拍手や歓声が起こった。
The section of 16th street in front of the White House is now officially “Black Lives Matter Plaza”. pic.twitter.com/bbJgAYE35b
— Mayor Muriel Bowser (@MayorBowser) June 5, 2020
ワシントン市がこの大胆な行動に出た6月5日は、奇しくも、3月に別の容疑者の住所と誤って自宅に侵入した警察官によって銃弾を8発も打ち込まれて殺害された黒人女性ブリオナ・テイラーの誕生日。
バウザー市長は、生まれ変わった16thストリートの様子を映した別の動画を公開した際、「ブリオナ・テイラー、あなたの誕生日に、私たちは決意をもって結束します。アメリカをあるべき場所にするために」と生きていれば、この日27歳を迎えるはずだったブリオナに敬意を表した。
連日抗議デモが行われているワシントン市では、一部のデモ参加者と警察の間で衝突が発生していおり、午後11時~午前6時にかけて夜間外出禁止令が出されている。
ドナルド・トランプ大統領は、抗議運動中の暴力事件に介入するために市内に重火器を携帯した兵士や治安部隊を配置することを命じたが、バウザー市長は、これに対し、警察当局と記者会見を開き、デモは穏便に行われていることを強調して「他州からワシントンにやって来た兵士が都市から撤収することを求める」とトランプ大統領に要請した。
16thストリートが「Black Lives Matter」の象徴ともなる場所の1つへと変貌を遂げたことに関して、バウザー市長のもとで働く職員であるジョン・J・ファルチッキオ氏は「今週、この通りは一体誰のものなのかという論争が起こりましたが、バウザー市長はこの通りはワシントン市に属するものであることを極めて明白にし、月曜の夜に平和的な抗議を行なったデモ参加者たちを称えたいと考えました」と、デモに寄り添うバウザー市長の意図を代弁している。(フロントロウ編集部)