世界的人気作『ランボー』、ついに最終章
映画『ランボー』シリーズは、シルベスター・スタローンが主人公のジョン・ランボーを演じる世界的人気作。2020年6月26日に公開される最新作『ランボー ラスト・ブラッド』で完結を迎えるとして話題を呼んでいる。
第1作目の『ランボー』は、アメリカの作家ディヴィッド・マレルの小説『一人だけの軍隊』を原作とし、1982年に公開された。主人公のランボーは、ベトナム戦争から帰還したものの、戦争の記憶に苛まれ続け、世間と馴染めず孤立し、悲しみの中で必死に生きようとする男。その姿は、ベトナム戦争後にアメリカで社会問題ともなっていたベトナム帰還兵(※)の社会的孤立を描いている。
※ベトナム帰還兵とは、ベトナム戦争から帰還したアメリカ兵のこと。体や心に傷を負い、様々なものを失って帰還したにもかかわらず、この戦争でアメリカが政治的勝利を収められなかったという“敗北感”のために、国民から反感を買い、迫害される対象となってしまった。元兵士は、外傷や精神障害などを抱えたばかりでなく、国民から差別を受け、簡単な職すら手に入れることができなかった。
映画『ランボー』は当時のアメリカで深刻だった社会問題を描いていたため話題となったものの、まだまだベトナム帰還兵に対する反感が強かったために興行収入はそこまで振るわなかった。けれども、その感動的なエンディングと、なによりシルベスター本人が続編の制作を強く希望したため、第2作目の『ランボー/怒りの脱出』の制作が始まった。
『ランボー/怒りの脱出』の誕生秘話
第1作目『ランボー』のプロデューサーであったマリオ・カサールとアンドリュー・G・ヴァイナは、『ランボー』で得た売り上げを手にすると、すぐに当時駆け出しの映画監督だったジェームズ・キャメロンに脚本を依頼。ジェームズはその頃、初監督作品の『殺人魚フライングキラー』を撮り終え、『ターミネーター』を制作するための資金繰りをしていたそう。ジェームズはその依頼を受け、『ランボー』の続編を娯楽大作に仕上げ提出したことを米Entertainment Weeklyに語った。
ところが、シルベスターはその脚本を気に入らず、もっと政治的な方がいいと主張。せっかくジェームズが書いた脚本は、シルベスターに引き継がれ、現在の内容になった。
ちなみに『ランボー/怒りの脱出』の冒頭でランボーは刑務所にいるけれど、ジェームズ版では精神病院にいるという設定だった。この案を却下されたジェームズは、変更された箇所を『ターミネーター2』で使ったという。
『ランボー/怒りの脱出』1番の変更点に驚き!
『ランボー/怒りの脱出』のジェームズ版の脚本で、現在のストーリーとは最も異なっていたのが、“孤高の戦士、ランボー”に相棒がいたというところ!
ランボーを助け、支えとなるブリューワーという名のその相棒は、無口なランボーとは真逆に、お喋りな短髪の細マッチョ。そしてその役は、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』などに出演したジョン・トラボルタが務める予定だった。
けれども、プロデューサーたちの間で最終的にランボーには相棒はいらないということになり、「孤高の戦士」バージョンのランボーが誕生。政治的なメッセージを主軸としていた1作目の『ランボー』よりも、アクション要素を増やして公開され、その年の全米興行収入第2位を記録する大ヒット作品となった。
今となっては、シルヴェスターとジョンの凸凹コンビを見てみたい気もするけれど、お喋りな相棒と共に行動するランボーは、いったいどのようなキャラクターになっていたのだろうか。
そんな『ランボー』シリーズの最新作にして最終章『ランボー ラスト・ブラッド』は、2020年6月26日より日本全国公開。(フロントロウ編集部)