Netflixで公開されて大ヒットした映画『オールド・ガード』では、制作現場でも大きな功績を達成していた。(フロントロウ編集部)

多様性が高い評価を受ける『オールド・ガード』

 シャーリーズ・セロンが主演と制作を務め、現在Netflixで独占配信中のアクション映画『オールド・ガード』は、Netflixで最も視聴された映画ランキングの第6位になるほどのヒットを記録した。本作では、主人公は白人と黒人の女性2人、監督も黒人女性で、作中にはLGBTQ+キャラクターも登場し、多様性のある作品となっている。これまでフェミニストとして活動し、さらにアメリカで同性婚が合法になるまで自分も結婚しないと公言していたシャーリーズが深く関わった作品らしい内容だけれど、制作の場においてもあることを成し遂げていたことが分かった。

 米Hollywood Reporterによると、『オールド・ガード』のポストプロダクションのチームの85%が女性だったという。

『オールド・ガード』監督が思うこと

 女性が多いことは男性差別ではないのかという声も上がりやすいけれど、多くの場合は85%が男性であるのが現在の社会。差別を受けている集団の立場の改善を積極的に行なうアファーマティブ・アクション(積極的是正措置)という考えは、近年注目されている。

 ジーナ・プリンス・バイスウッド監督は、とくにアクション映画の制作でこういった数字を達成したことに意味があると、米Hollywood Reporterに話す。

画像: ジーナ・プリンス・バイスウッド監督

ジーナ・プリンス・バイスウッド監督

「(そのような男女比は)起こらない。他の映画ではごくまれに起こることがあっても、アクション映画ではない。このようなことは過去に起こったことはないと断言できますよ。(中略)才能のある女性達の履歴書を見ていると、同じような立場の男性達ほど経験豊富ではない。しかし私は、それが才能によるものではないと知っています。それは機会に左右されるんです。自分が行なっていることにとても向いているのに、チャンスを得られてこなかった女性は、とても多くいます」

 アクション映画の制作やその劇中で女性の存在を気にかけたのはシャーリーズも同じで、彼女は、これまでは女性がアクション映画に出演するには理由が必要だったけれど、これからは、「私達は戦って、世界を救えて、はちゃめちゃにできる。そして、私達のその行動の後ろに理由はなくていい。私達はただ生きて、息をして、自分でいればいい」と、女性達へメッセージを送っている

映画業界でも根強い女性差別

 しかし、アクション映画でなくとも、これまでも映画業界において女性差別は行なわれてきた。サンディエゴ州立大学が2019年に公開された映画のトップ250を調査した結果、そのうち女性監督は13%、女性シネマトグラファーは5%、女性動画編集者は23%、女性VFXスーパバイザーは6%だったという。

 女性がただその分野にいないだけでは?と思う人もいるかもしれないけれど、マーティン・スコセッシやM・ナイト・シャラマン、ウディ・アレンなど有名監督を多数輩出したニューヨーク大学芸術学部の映画/テレビ制作の生徒の約半数は女性。

 さらに、俗に言う“女性向け映画”からさえも女性は締め出されていることが明らかになっており、『トワイライト』シリーズの第1作目である『トワイライト〜初恋〜』は、2つの大手スタジオに断られたあとに、女性監督のキャサリン・ハードウィックが手掛けて世界的メガヒットを記録したにもかかわらず、2作目以降は「女性監督は求めていない」という理由で男性監督に依頼されたと、ハードウィック監督がドキュメンタリー映画『ミス・レプリゼンテーション: 女性差別とメディアの責任』の中で明かしている。

画像: 2009年にMTVムービー・アワードで最優秀映画賞を受賞した時のキャサリン・ハードウィック監督とキャスト達。

2009年にMTVムービー・アワードで最優秀映画賞を受賞した時のキャサリン・ハードウィック監督とキャスト達。

 ちなみに、『ハンナ・モンタナ/ザ・ムービー』や『セックス・アンド・ザ・シティ』、『プリティ・プリンセス』などの映画も、男性監督が手掛けている。これまでは女性は向いていないとされてきた様々な分野があるけれど、『オールド・ガード』は大ヒットしている。そして一方で、女性向け映画を男性が制作しているという事実もある。

 バイスウッド監督の、女性は「自分が行なっていることにとても向いているのに、チャンスを得られてこなかった」という言葉から考えるべきことは、とても多い。(フロントロウ編集部)

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