映画『ワイスピ』シリーズのスピンオフ
2019年に公開された『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』は、ドウェイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムがW主演を務めたアクション映画。大人気カーアクション『ワイルド・スピード』シリーズのスピンオフで、日本では興行収入が30億円を超える大ヒットを記録した。
『ワイルド・スピード』は2001年から続く人気カーアクション映画で、日本のファンからは『ワイスピ』という愛称で親しまれている。シリーズ9作目にあたる最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、2020年5月に公開予定だったものの、新型コロナウイルスの影響により2021年まで延期になっている。
そんな『ワイスピ』シリーズを手がける敏腕プロデューサーのニール・H・モリッツが『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』の撮影直前に突如解雇された事件をめぐる裁判が、2年の時を経てやっと解決した。
人気映画やドラマを手がけるニール・H・モリッツ
ニール・H・モリッツは、『ワイスピ』シリーズのほか、映画『ソニック・ザ・ムービー』やドラマ『プリズン・ブレイク』シリーズ、『ザ・ボーイズ』など、数々の名作を世に送り出してきたハリウッドの名物プロデューサー。彼は約2年前、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』の撮影直前にプロデューサーとしての職を突然解雇されたとして、米配給会社のユニバーサルを訴えていた。
訴状によると、ユニバーサルはニール氏と口頭で交わしたプロデューサー契約の変更を『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』の撮影直前に申し出て、「大幅に低い金銭面での条件」を提示してきたという。しかしニール氏がその交渉に応じなかったため、ユニバーサル側はニール氏を解雇したとされている。
ユニバーサル側は製作費が高騰したためギリギリの段階での契約変更となったと弁明しているものの、ニール氏側は訴状でこれを否定。ニール氏は、20年以上シリーズに携わってきただけでなく、スピンオフ作品のアイデアを思いつき、その開発と準備に何ヶ月もの月日を費やしてきたにもかかわらず、ユニバーサル側は彼のアイディアや努力を利用しておいて当初の約束を守らなかったと批判。
そして、彼は“ペイ・オア・プレイ”契約のもと動いていたため、ユニバーサル側は彼に支払いの義務があるとしている。“ペイ・オア・プレイ”契約とは、映画を実際に制作したかどうかにかかわらずギャラを支払うことを約束する契約で、ハリウッドでは一般的な契約方法でもある。
『ワイスピ』をめぐる戦い、和解の方向で決着
2018年に勃発したこの争いは、約2年の歳月を経てついに「和解」で決着を迎えた。ユニバーサルの広報担当者は米Deadlineに「約20年前にこのシリーズが始まって以来、ニールは『ワイルド・スピード』ファミリーの重要な一員となっている」「我々は友好的にこの問題を解決し、『ワイルド・スピード』のスピンオフである『スーパーコンボ』に関するすべての主張を解決しました。この問題を解決し、シリーズの将来に集中できることを嬉しく思います」と声明を発表した。
これに対しニールは「『ワイルド・スピード』シリーズは常にファミリーのことを考えながら制作されていましたが、残念なことに私たちはちょっとした家族ケンカをしてしまいました。ですが再びユニバーサルと『ワイスピ』ファミリーの元へ戻り、シリーズを一緒に作っていけることを嬉しく思います」と米THRにコメントした。
こうして、『ワイスピ』の舞台裏で起きていたファミリーの“家族ケンカ”は仲直りという形で一件落着。最新作で9作目の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、2021年に公開予定となっている。(フロントロウ編集部)