Netflixが配信している『キューティーズ!』が少女を性的に搾取しているとして、Netflixが起訴された。対してNetflixは、作品を支持するコメントを発表している。(フロントロウ編集部)

大きな論争となっている『キューティーズ!』

 Netflixが9月9日より配信している映画『キューティーズ!』が問題視され、米テキサス州タイラー郡の大陪審がNetflixを起訴した。

 『キューティーズ!』は、フランス出身の黒人女性であるマイムナ・ドゥクレ監督が手掛けたフランス映画で、2020年のサンダンス映画祭ではワールド・シネマ・ドラマティック・ダイレクティング賞を受賞している。本作のテーマは、現代の少女達がどれだけ性的対象とされ、そこからプレッシャーを感じているかというもので、ドゥクレ監督には少女達を守りたいという思いがある。しかしそれを描く過程で、実際に少女達が過激な衣装で性的に挑発的なダンスを踊るシーンなどが多い点が問題となっている。

 性的搾取に関して活動を行なう米NCOSEのエレノア・ゲタン氏は、配信開始直後に、「私達は、監督が少女達に降りかかる性的なプレッシャーに光を当ててくれたことは称賛します。しかしなぜNetflixは、そのために俳優達(少女達)を搾取する必要があったのでしょうか」とコメントしていた。テーマがそうでないにしろ、その映像だけを切り取って少女達の映像を楽しむ人がいるだろうと、多くの人が指摘している。

 裁判資料では、「映像が作られた当時18歳以下である子供の、衣服で隠されている、もしくは一部が隠されている性器やプライベートゾーンを卑猥に見せた映像コンテンツであり、真摯な文学やアート、政治、科学的な価値を持たない性へのみだらな興味に訴えかけているもの」をNetflixが宣伝しているとされている。

 これに対してNetflix側は、「『キューティーズ!』は幼い子供達に対するセクシャライゼーションに対する社会批判です。この起訴に法的根拠はなく、私達はこの作品を支持します」と声明を発表した。

 こういった映像やレイプなどの性的搾取や性的被害が含まれるシーンは、テーマが何であれその映像だけが切り取られ利用されることがあり、また、視聴者への悪影響も考えられる。そのため最近では、わざわざ直接的に描かなくとも社会の問題点を提示することは可能だという意見は少なくない。加害者の加害性を描くことが重要なこともあれば、その背景を描くことが重要なこともある。また年齢制限を設けて過激な表現を選ぶ製作者もいる。本作は、とくに主人公が11歳の子供であることから、大きな論争となった。

映画を擁護する声もあがっている

 『キューティーズ!』は、配信前にはNetflix版のポスターが物議をかもした。Netflixで配信されるにあたって、フランス版ではなく新しいポスターが制作されたのだけれど、そのポスターは、少女たちが露出の多いダンス衣装でセクシーなポーズをしているものだった。そのため批判の声があがり、それを受けてNetflixが謝罪。その時から映画の配信自体の中止を求める声も多く、「#CancelNetflix(ネットフリックスをキャンセルしよう)」というハッシュタグが拡散されていた。

 一方で、当時すでに映画を見ていた人からは、映画を擁護する声もあった。映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』や、MCU映画のヴァルキリー役で知られるテッサ・トンプソンは、「『キューティーズ!』は美しい映画。サンダンス映画祭で私の心を掴んだ。新しい声を紹介してる。彼女はフランス人・セネガル人の黒人女性で、彼女自身の経験を深堀りしてる。映画は、思春期にも満たない少女達に対するハイパー・セクシャライゼーションに向けた意見。今起こっている論争を見るのはがっかり」とツイートしていた。

 ドゥクレ監督は、ベルギーのメディアCineuropaのインタビューで、この作品のテーマを決めたきっかけや、制作理由についてこう述べている。

「ソーシャルメディアにおいて、非常に幼い少女達が40万人もの人々からフォローされているのを見て、私としてはその理由を理解したいと思いました。(フォローされている)理由は、彼女達は、セクシーであったり、露出の多い写真を投稿しているという事実以外に、特別なものはありません。それが、彼女達を“有名”にしたものです。今の時代では、セクシーで、性的な物であるとされればされるほど、女性はソーシャルメディアで価値を得ます。そして11歳の頃に、そのすべての仕掛けを理解することは出来ません。ただ真似をして、他の子達と同じことをするだけです。同じような結果を得るためにね。私達はこれについて、早急に話すべきです」

(フロントロウ編集部)

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