『ゲーム・オブ・スローンズ』、ダヴォスが恋をするかもしれなかった
日本にも多くのファンを持つHBOのメガヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に登場する、数少ない“いい人キャラ”の1人であるダヴォス・シーワース。
寡黙ながら心優しく、深い忠誠心を持ったキャラクターとして描かれる“玉葱の騎士”ダヴォスには、重要キャラがバタバタと凄惨な死を遂げていく同シリーズの最終回まで、どうか生き残って欲しいと思わず応援してしまった視聴者も多いはず。
海外でもコアなファンに人気があるダヴォスを演じたイギリス人ベテラン俳優のリアム・カニンガムが、じつは、色恋などまったく無縁そうなダヴォスが、ある女性キャラに一目惚れし、熱を上げてしまうというストーリー展開を『ゲーム・オブ・スローンズ』の制作陣から持ちかけられたことを告白。しかし、断固として拒否したというエピソードを明かした。
リアムは、制作スタッフや出演キャストとのインタビューを交えて、ドラマの真髄や撮影中の知られざる裏話に迫ったジェームズ・ヒバードによる新著『Fire Cannot Kill a Dragon』に協力。
そのなかで、クリエイターのデイヴィッド・ベニオフと監督を務めたマーク・マイロッドから、自身が演じるダヴォスが、ナタリー・エマニュエル演じるミッサンディに一方的に一目惚れするという、突飛な展開を打診されたと語った。
映画『ワイルド・スピード』シリーズへの出演でも知られるナタリー演じるミッサンデイは、元奴隷だったが、エミリア・クラーク演じる“ドラゴンの母”ことデナーリス・ターガリエンにより解放され、以来、デナ―リスに従事するという役どころ。
実際に放送された作品では、ダヴォスとミッサンデイが顔を合わせるシーンはほんの少ししかないが、制作陣は、ダヴォスが2回り以上も年の若いミッサンデイと出会った瞬間、彼女に一目惚れするというストーリーを練っていたのだそう。
視聴者にとっては、もし実現していたら、「ちょっと面白そう」と感じてしまう展開ではあるが、リアムは、このプランを断固として拒否。「私は何があっても絶対にやらない!」と強めに突っぱねたという。
“一目惚れ展開”を拒否した理由
リアムがデイヴィッドとマークの構想を一蹴したのには、彼なりの確固たる理由があった。
それは、彼が演じたダヴォスが、それまでに『ゲーム・オブ・スローンズ』の物語のなかで繰り広げた年少の女性キャラクターたちとの心温まる交流を、ミッサンデイへの一目惚れという展開でついてしまうであろう“若い娘に熱を上げるおじさん”というイメージによって、台無しにしたくなかったから。
リアム演じるダヴォスは、シーズン5では、ドラゴンストーンの領主スタニス・バラシオンに仕えていたダヴォスは、スタニスと妻セリースの幼い娘シリーンと心を通わせるように。
シリーンは、灰鱗病から回復したものの、醜い痕が顔に残り、城内の隅でひとりぼっちで隔離されて生活していた。ダヴォスはふとしたことからシリーンと交流をはじめ、読み書きを教わり、彼女を大切に思うようになる。しかし、そんな最中、シリーンは父スタニスの手により悲惨な死を遂げる。
さらに、シーズン6には、ダヴォスが熊の島の若き女公リアナ・モーモントと信頼関係を築くシーンも登場する。
シリーンとリアナという2人の少女キャラクターとダヴォスの絆を美しいものとして残したかったリアムは、「制作陣に歯向かったのは、その1度きりだよ。あの女性(ミッサンデイ)は女神のように美しいけど、ダヴォスにはリアナ・モーモントとシリーンとの歴史があるからね。ダヴォスが若い女性に熱を上げるなんてことはあってはならない」と『Fire Cannot Kill a Dragon』の中で説明。製作陣は本気ではなく、自身をからかおうとしていただけかもしれないとしながらも、「私がダヴォスとして視聴者から共感を得ようと一生懸命築き上げたものを、彼を変態のように描くことで台無しにするなんてことはさせない」ともコメントしている。
ダヴォスとミッサンデイが出会うのは、シーズン7。その頃には、ミッサンデイは、すでに同じくデナーリスに仕える、穢れなき軍団の指揮官グレイ・ワーム(演:ジェイコブ・アンダーソン)とイイ感じになっていた。リアムが制作陣のプランに従い、OKを出していたとしても、ダヴォスの恋は一方通行に終わっていた可能性が高いが…。
幻に終わってしまったダヴォスの片思いストーリーも気になるが、リアムの“ダヴォス愛”にも頷ける。(フロントロウ編集部)