1969年の事件の犯人が逮捕
2児の母であったメアリー・スコットは、1969年11月20日に仕事場に姿を現さなかった。そこで友人が自宅を訪れたところ、散乱する家の中で、裸で床に倒れるメアリーの姿を発見。彼女はレイプされ、首を絞められて24歳で命を絶たれた。
そんな凄惨な事件から51年が経とうする2020年10月24日。なんと、メアリーの命を奪った男が逮捕された。
事件を解決に導いたのは、法医系譜学という科学技術。現場からのDNA情報と、DNAデータベースの情報を用いて容疑者の親族や遠縁の可能性のある人々を見つけだし、そこから大規模な家系図を制作して犯人を突き止めるというもので、ここ数年で、未解決事件を何件も解決に導いている。一方で、プライバシーの侵害にあたるとして倫理学者や遺伝子学者などから警戒の声も挙がっている。
51年越しの逮捕、家族の思いは
メアリーの妹であり現在67歳となったサンズは、法医系譜学について調べていたそうで、姉の死から約50年が経った頃に警察関連の職に就く友人に連絡を取り、メアリーのファイルを未解決事件のリストの上に持ってきてくれるよう頼んだという。このことがどれほど影響したかは明らかでないものの、メアリーの事件の犯人は逮捕された。サンズは米Los Angeles Timesに話す。
「この男は51年間、自由に気楽に生きることが出来て、姉は51年を奪われた」
また、メアリーの2人の娘の下の子であるドーナも、現在では55歳。そして上の娘であるクリスティンは、1993年に交通事故で、25歳で命を落としたという。
「信じられません。事件が解決してほしいと願って何十年も経っていますからね。姉がここにいてくれたらと思います」
警察の発表によると、メアリーを強姦し絞殺した男は、現在75歳のジョン・サイポス。警察はいまだ詳細を公表していないけれど、サンズが警察から聞いたところによると、1969年当時は海軍から脱退したばかりだったという。男は現在、ペンシルベニア州で拘留されており、事件が起こったカリフォルニア州サンディエゴへ引き渡されるのを待っている。
DNAによって数十年前の事件が解決
カリフォルニア州では2019年夏にも、法医系譜学を使って約25年前の連続レイプ事件が解決された。事件は1992年から1994年にかけて発生。犯人は逮捕時に59歳の男で、事件当時は地元の大学で法や司法について教えていた講師。さらにその後、2014年に定年退職するまでの約20年間、マイアミ州の刑務所の職員として働いていたという。
事件を担当したアン・マリー・シューベルト検察官は米CNNに、性犯罪者に向けてこうメッセージを送った。
「あなたが凶悪犯罪を犯したとして、もしあなたがDNAを残していったのであれば、私たちがその犯罪を解き明かす覚悟をしていなさい」
(フロントロウ編集部)