女性に対する暴力廃絶の日である11月25日を前に、世界の女性たちは、どれほど暴力を受けているのか。その実態を5つの数字で紹介。(フロントロウ編集部)

11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デー

 社会が抱える問題である女性への暴力は、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が言い渡されてから、その数は急増。夫から妻へ、父親から子供へなど、タイプはそれぞれ違うけれど、フランスではロックダウンが開始されると、DV(ドメスティック・バイオレンス)の報告件数が30%増加し、アルゼンチンでもロックダウン開始からドメスティック・バイオレンスの緊急通報件数が25%増加したと、UN Women(国連女性機関)とILO(国際労働機関)のプロジェクトであるWE EMPOWER G7が報告。

画像: 写真はイメージです。

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 ほかにもアメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、スペインでもドメスティック・バイオレンスの報告件数と緊急シェルターの需要が急増している。

 コロナ禍により悪化している女性への暴力。11月25日は、女性への暴力を根絶しようと国連が「女性に対する暴力撤廃の国際デー」として制定した日。そんな女性に対する暴力撤廃の国際デーを前に、UN Womanのデータを基に、5つの数字で世界の女性たちがどんな状態におかれているのかを紹介。

35%:パートナーやそれ以外の人から身体的または性的暴力を経験した女性の割合

 パートナーやそれ以外の人から身体的な暴力や性的暴力を経験した女性は多く、この数字は70%に上るとしたアメリカの調査も。さらに、男性による暴力を経験したことがある人は、経験していない人に比べるとうつ病、中絶、HIV感染の割合が高いという研究データがある。ちなみに、この35%という数字にはセクシャル・ハラスメントは含まれていない。


137人:1日ごとに家族に殺害されている女性の数

 2017年に世界で意図的に殺害された87,000人の女性のうち、半数以上(50,000人)が親密なパートナーまたは家族によって殺害されたと推定されている。2017年に故意に殺害された女性の3分の1以上(30,000人)が、親密なパートナーによって殺害された。


5人に1人:2019年に20歳~24歳だった女性の中で18歳より前に結婚した女性の数

 過去10年間で、世界の児童婚率は低下。しかし現在でも児童婚はまだまだ行なわれており、とくにアフリカでは、20〜24歳の女性の3人に1人以上が、18歳より前に結婚している。国連は、児童婚は勉学の妨げ、家庭内暴力のリスクの増加、早期の妊娠、社会的な孤立を生み出すとしている。


2億人:現存する女性で女性性器切除を受けている人の数

 大人の女性になるための通過儀礼としてクリトリスや小陰唇の切除といった女性器の切除(FGM)を行なっている国は、未だに31カ国も存在する。麻酔なしで行ない死にいたるケースもあるFGMは児童虐待であり女性への暴力だけれど、未だに10人に9人という高確率で女性がFGMを受ける国も複数存在する。


10人に1人:EUでサイバーハラスメントを経験した女性の数

 身体的または性的暴力だけが暴力ではない。ここ数年は、求めていない性的なメッセージや、不適切なアプローチなど、ソーシャルメディアでの暴力も注目されており、18歳~29歳の女性が最もソーシャルメディアでサイバーハラスメントを受けることが多いとされている。EUでは15歳以上の女性の10人に1人がサイバーハラスメントにあったという報告も。

 ちなみに日本では女性に対する暴力撤廃の国際デーにちなみ、約240ヵ所で建物などがパープルにライトアップされるというイベントが開催されている。(フロントロウ編集部)

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