大きく安い食材が人気のコストコ
アメリカサイズの大きなパックの食材から衣料品、家電まで、生活に必要なものがほぼすべて手に入るメンバーシップ制ウェアハウス・クラブのコストコでは、日本のスーパーでは簡単に手に入らない食材も多いとあって、その人気商品にもビッグな食材が並ぶ。
例えば1キロの特大サーモンは、多くのYouTuberの動画にも登場するほどの人気なので、自分で買ったことがなくとも知っている人は多いのでは? 日本ではそのままお刺身として食べたり、丼にして食べたりする人が多いけれど、海外では手軽に準備できる時短レシピのオーブン焼きも人気となっている。
ロティサリーチキン、安さの理由は?
そしてもう1つ、忘れてはいけない激安商品がある。それは、ロティサリーチキン! 鶏を1羽まるごとローストしたジュージーな味わいのロティサリーチキンは、アメリカでは4.99ドルで、日本では699円という脅威の激安価格で売られている。この価格は2009年から変更されておらず、2015年にアメリカで鶏インフルエンザが発生し、鶏の価格が急騰した時でも変わることはなかった。
どうしてこの価格で利益を出せるの?と疑問に思った人も、いるかもしれない。しかしその質問はナンセンスかも。というのも、コストコはチキンの価格をキープするために44億円の利益を捨てたこともあるから!
コストコの最高財務責任者であるリチャード・ガランティ氏は、過去の収支報告でこう明かしている。
「他の企業がチキンの値段を4.99ドルから5.99ドルにあげた時には、年間3,000万から4,000万ドル(約33億円から44億円)の利益を捨ててでも4.99ドルの価格をキープしました。それが我々の仕事なのです」
ロティサリーチキンは、2018年の1年間で、アメリカ国内だけで6億2,500万個を売り上げている。そしてそんな人気商品のロティサリーチキンを買うためにコストコに足を運んだ人が、テレビなどの家電や何かしらの別の商品に誘惑されるかもしれない。そういった戦略から、ロティサリーチキンの価格は固定されていると見られるけれど、約33億円から44億円の利益を捨てるという度胸はすごいとしか言いようがない。
ちなみに、コストコではビッグサイズのホットドッグとプラスでおかわり自由のドリンクがアメリカで1.50ドル、日本で180円という超低価格で提供されている。この価格の秘密にはコストコの創業者であるジム・シネガル氏の意思があり、現CEOのクレイグ・ジェリネック氏が値上げを提案した時に、「あのホットドッグを値上げしたら、私はお前を殺す」という物騒なお叱りを受けたというエピソードがある。(フロントロウ編集部)