※この記事にはドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン1のネタバレが含まれます。
『ゲーム・オブ・スローンズ』史に残る印象深い「死亡シーン」
2011年春から2019年初夏まで米HBOで全8シーズン計73話が放送され、シリーズが完結した今も、世界中に熱狂的なファンを持つメガヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。
登場人物たちがバタバタと死んでいく同作では、死亡シーンの残虐さはもちろん、「まさかこのキャラがここで死ぬなんて…!」というショッキングで悲しい展開が視聴者たちをハラハラ、ドキドキ、そしてズキズキさせた。
そのなかでも、最も印象に残る死亡シーンの1つに挙げられるのが、シーズン1の第9話「ベイラー」で描かれるスターク家の当主エダード・スタークの斬首シーン。
たくさんのキャラクターが登場するなかで、第1話目から、エダードこそがこの物語の主人公だと信じて見守ってきた視聴者たちの多くは、邪悪で生意気なジョフリー・バラシオンの不意打ちの命令により、あっけなく処刑されてしまったエダードの死に、開いた口が塞がらないほど衝撃を受けた。
斬首シーンの撮影中、どんなことを考えていた?
『ゲーム・オブ・スローンズ』の“誰がいつ死ぬか分からない”というスリルや恐怖のはじまりとなったと言っても過言ではないエダードの斬首シーン。
エダード役のショーン・ビーンが、この印象深いシーンの撮影の真っ最中に考えていた事について、約12年越しに米Entertainment Weeklyに語った。
撮影当日を振り返ったショーンは、今まさに処刑されようと構えるエダードを演じている最中に4つの事が頭をよぎったと告白。
「(頭の中にあったのは)まず、恐怖と疑念。ジョフリーが急に考えを変えてネッド(エダードの愛称)を処刑することにしたっていうね。それから、諦めと、娘のアリアに会えるのは、もうこれで最後だという思いだった。この4つの事を考えようとしていたんだ」。
さらに、「『ああ、どうしよう、首を斬られちまう』なんてシンプルなものじゃなくて、そういう感情のミックスがあの結果になったと思う」と、シーンの仕上がりへの満足感もにじませ、とにかく、エダードになりきり、彼の心情を表現しようと全神経を集中していたと話した。
ショーンは、「あのシーンの撮影には、丸一日くらいかかったんだ。とにかく、抵抗することなく、『今、自分は死を迎えようとしている』ということにフォーカスしようとした。あの日はとても暑くてね。それも(演技の)手助けになっていたかもしれない」と、明かしつつ、「みんなのリアクションも素晴らしかった。サーセイと子供たちもさ。哀愁に溢れていて、心を動かされるシーンだった。僕はブロックの上に頭を乗せて、それで一日がおしまいさ」と、共演者たちとのチームワークのおかげで良いシーンになったと振り返った。
最期の瞬間に何とつぶやいていた?
シーンを見返してみると、首元に巨大な剣が振り下ろされる直前、死を覚悟したエダードが目を閉じ、何かをぶつぶつとつぶやいているのがわかる。
これは、完全にショーンのオリジナルで、何と言っていたのかは明かされていないが、同エピソードの監督を務めたアラン・テイラーは、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の公式解説本『Fire Cannot Kill a Dragon』のなかで、「人々はあのシーンで彼が何と言っているのか推測しようとしたけれど、あれは、ショーンのオリジナル。彼は、誰かに、その人物の信仰に基づいた適切な祈りとは何かと尋ねたんだ。それに基づいて、彼が考えたフレーズだったんだよ」と語っている。(フロントロウ編集部)