カマラ・ハリス副大統領一家もそう！ブレンデッド・ファミリーとは
ブレンデッド・ファミリーを構成するカマラ・ハリス氏が第49代アメリカ副大統領に就任したことで、史上初めて、ステップマザー（継母）の副大統領が誕生した。
^ カマラ・ハリス米副大統領一家。
ブレンデッド・ファミリーとは、カップルのどちらかまたは双方の前のパートナーとの子供が含まれている家族のこと。これまではステップ・ファミリーという言葉が主流だったけれども、“新しいパートナーと作った家族も、前のパートナーと作った家族もみんな1つの家族”という意味を込めて、2つ以上の家族が1つの家族として交わって（ブレンドして）暮らすという意味を持つ「ブレンデッド・ファミリー」という言葉が使われるようになっている（※）。
※アメリカ合衆国国勢調査局は2000年代に入りブレンデッド・ファミリーの公式な定義を「継親、継兄妹または異父・異母兄妹がいる家族」としたものの、近年ではその意味がどんどん拡大して使われており、ハリス副大統領一家のように継兄妹や異父・異母兄弟がいなくてもブレンデッド・ファミリーと呼ばれている。
ハリス氏は弁護士のダグ・エムホフ氏と結婚しており、エムホフ氏には、前妻である映画プロデューサーのカースティン・エムホフ氏との間にコールとエラという子供が2人いる。2人は母親を意味するMomとハリス氏の名前であるKamalaを合わせてMomala（モマラ）という名前でハリス氏を呼んでおり、一方のハリス氏は、2人を「私たちの息子・娘」とSNSで呼び、選挙活動中のスピーチでは、「私はキャリアにおいて多くの肩書を得てきました。なかでも副大統領（という肩書）は素晴らしいものとなるでしょう。けれど、“モマラ”こそ私にとってつねに最も価値のあるものです」と語った。
また、ハリス氏は夫の元妻カースティン・エムホフ氏とも親しい仲にあり、子供の学校行事への出席を見事な役割分担と連携プレーでこなすこともあったそうで、ハリス氏は「私たちの現代的な家族は逆に少しうまくいきすぎているんじゃないかと笑うこともあった」と米Elleでその経験を振り返った。そう語るハリス氏が大統領選に出馬したとき、SNSを使った宣伝活動に最も熱心だった支持者のひとりは、カースティン・エムホフ氏だった。
ブレンデッド・ファミリーとして幸せに暮らすセレブ家族も多数
2組に1組のカップルが離婚または破局すると言われるアメリカでは、継親がいる子供も多い。そんななか近年、ブレンデッド・ファミリーという考えを取り入れる家族が増えている。
グラミー賞シンガーのアリシア・キーズは、夫、夫との子供2人、夫と元妻の子供1人、さらに夫の元妻と共にブレンデッド・ファミリーを構成している。夫と交際をはじめた当初は夫の元妻に公的にバッシングされるなどドロ沼な関係だったものの、子供たちのために和解して、今では記念日やホリデーを一緒に過ごすほどの仲。アリシア自身、「ブレンデッド・ファミリー」という曲をリリースして、夫が元妻とのあいだにもうけた子供への愛を歌っている。
^ 夫の元妻（左）とそれぞれの子供たちと並んで写るアリシア・キーズ（右）。
片親の不在という、自分のツラい過去を次の世代に受け継がせたくないという思いから、ブレンデッド・ファミリーを作ることにこだわる人もいる。
元妻とのあいだに娘が2人いて、もうすぐ、婚約者であるシンガーのジェニファー・ロペスが元夫とのあいだにもうけた双子の男女の継親にもなる元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲスは、10歳の頃に父親が母親との不和のせいで家族を捨てていなくなった経験から、“自分は絶対に良い父親になる”という思いを強くしたそうで、元妻と離婚した時には「娘たちに『いいか、今後きみたちには自宅は1つではなく、2つある。親は2人いるのではなく、4人いる。運が良い子たちだな、多ければ多いほどいいからね』と言って、（離婚という）ネガティブにとらえられることをポジティブに変えたんだ」と、ブレンデッド・ファミリーという形を選んだ背景を米ポッドキャスト番組『Raising the Bar』で明かした。
^ 元妻、元妻との2人の子供、元妻の婚約者、婚約者のジェニファー・ロペス（左）、ジェニファーの2人の子供と一緒に写るアレックス・ロドリゲス（左から2番目）。
前のパートナー同士、新しいパートナーと前のパートナー、新しいパートナーと子供、新しく兄妹になった子供たちと、全員が相手を家族として受け入れて愛することで作られるブレンデッド・ファミリーは、2015年のピュー研究所の調査ではアメリカ全体の16％にのぼるとされている（※この調査でのブレンデッド・ファミリーの定義は、“継親、継兄妹または異父・異母兄妹がいる家族”）。
どんどん多様化している家族のカタチ。カマラ・ハリス副大統領一家の登場は、ブレンデッド・ファミリーのような、現代に増えている多様な家族のカタチをより広く認知させ、国内外での良いレプリゼンテーションになると期待されている。
※当初、カマラ・ハリス副大統領一家を「史上初のブレンデッド・ファミリーなセカンド・ファミリー」と記載していましたが、史上初は誤りであるためこの記述は修正しました。
（フロントロウ編集部）
