黒人起業家を支援する「Make It Black」キャンペーン
2020年に世界的な広がりを見せた人種差別抗議デモ「#Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」。
2020年6月には、ウーマ・ビューティー(Uoma Beauty)の創業者であるシャロン・チューターが、この抗議活動の一貫として各コスメブランドに従業員の“人種の割合”の公表を求める「Pull Up for Change(プル アップ フォー チェンジ)」を提案し、当時大きな話題に。
この取り組みは、アメリカの企業における黒人や有色人種の従業員がいかに少ないかを意識してもらうために発案されたもので、人気セレブのカイリー・ジェンナーが手がけるカイリー・コスメティクスを始め、資生堂、レブロン、エスティ ローダーなど名だたる企業が賛同を示している。
そして、2021年2月からは、新たなキャンペーンとして「Make It Black Campaign(メイク・イット・ブラック・キャンペーン)」を開始。
メイク・イット・ブラック・キャンペーンは、各コスメブランドの人気商品のパッケージを、それぞれ期間限定で“黒一色”に染めるという取り組みで、日本でも大人気のカラーポップ(Colour Pop)や、メイベリン ニューヨーク、ニックス、女優ドリュー・バリモアが手がけるフラワー・ビューティ(Flower Beauty)など9つのブランドが参加。
「黒」へのネガティブなイメージを払拭するとともに、このキャンペーンで得た純利益の100%を、黒人の起業家たちを支援する基金「Pull Up For Change Impact Fund」に寄付するという。
黒(Black)はネガティブな色?
このキャンペーンを発案したシャロンは、リリースで「私が取り組みたいのは言語。ほとんどの辞書を見てみると、あなたは“Black”の定義に驚くだろう」とコメント。実際に、黒(Black)から連想される言葉には、絶望、孤独、恐怖、暗いなどのネガティブな意味合いが含まれることが多い。
シャロンは「なにかを言語に当てはめると、それはいずれ現実になる。だから私は“Black”が醜いという認識の世界で生きていくことを拒否する」と主張。
続けて、シャロンは「辞書には載っていないけれど、実際に、黒はクラシックで、フォーマルで、ラグジュアリーな色だと思う」とコメント。このキャンペーンを経て、少しでも「黒」への認識がポジティブなものに変わることを願っていると締めくくった。
メイク・イット・ブラック・キャンペーンの対象商品は、同キャンペーンの公式通販サイト、もしくはアメリカで1,300件以上の店舗を構える米ビューティチェーンのウルタ・ビューティー(Ulta Beauty)のみで販売されており、残念ながら日本への発送は行なっていない。
いずれにせよ、このような業界に“変化”をもたらす取り組みが増えることで、より多様性のあるコスメが生まれてくることを期待したい。(フロントロウ編集部)