テイラー・スウィフトが「理不尽な訴え」を起こしたテーマパークを訴え返した。その方法が容赦ない。(フロントロウ編集部)

テイラー・スウィフト、テーマパークを訴え返す

 シンガーのテイラー・スウィフトが、2020年12月にリリースしたアルバム『Evermore(エヴァーモア)』のタイトルを巡り、米ユタ州にある同名のテーマパークから商標権侵害にあたるとして訴えを起こされたというニュースは以前フロントロウでお伝えしたが、これに対し、テイラー側がテーマパークを相手取って訴えを起こすという強気な策に出たことがわかった。

 米Pitchforkの報道によると、テイラーの楽曲等の著作権を管理するTASライツ・マネージメントは、同テーマパークが正規にライセンス契約を結ぶことなく、無断でテイラーの曲を使用したとして提訴。

画像1: テイラー・スウィフト、テーマパークを訴え返す

 訴状に添えられた音楽著作権団体BMIがエヴァーモア・テーマパークに宛てた2通の手紙には、2019年に同テーマパークが園内でテイラーの楽曲「ラブ・ストーリー」、「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」、「バッド・ブラッド」の3曲を無許可で演奏・流したことについて、「複数回にわたり連絡をしたが返答がなかった」こと、「2019年5月から12月までの楽曲使用料が1768.67ドル(約18万8千円)にのぼる」こと、そしてこの期間以外にも、同パークが無断で楽曲を使用しており、それに伴う未払い額があることなどが綴られている。

 TSAは、エヴァーモア・テーマパークがBMIからの電話やメール、手紙を再三にわたって無視し続け、今回訴訟を起こされることを知ってようやく連絡に応じたと、要するに、テーマパーク側が無断使用について“しらばっくれようと”していたと主張。楽曲使用によりもたらされた法定損害賠償の支払いを求めている。

画像2: テイラー・スウィフト、テーマパークを訴え返す

 ちなみに、日本でもテーマパークなどの遊園地や動物園、博覧会、展示会といった商業施設や商業イベントで楽曲を演奏する場合には使用料が発生する(※)。

※音楽を流すだけの場合、有線音楽放送など、BGMの音源提供事業者から音源の提供を受けている場合は免除。流すだけの場合とパレードやステージで演奏する場合は規定が異なる。詳しくはJASRACの解説ページへ。

一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の規定では、使用料は施設への入場料などにより、1ヵ月または1日の使用料を算出するか、1曲1回の使用料を選択して支払うこともできると記されている。


一歩も譲らない姿勢

  造語などではなく、日本語では「永久に」といった意味となる「エヴァーモア(Evermore)」。

 ヨーロッパの街を再現したファンタジー空間を売りにしている2018年開園のエヴァーモア・テーマパークは、確かに、テイラーのアルバムよりも先に存在しており、2015年には商標登録を取得していたと主張している。

 しかし、テイラーのアルバム『エヴァーモア』の発売直後からGoogleでの検索結果やソーシャルメディア・プレゼンス(※)に大幅にネガティブな影響が出たり、グッズのセールスが減少したとして、テイラー相手に損害賠償として200万ドル(約2.1億円)を請求するという行動は、法外な言いがかりのようにも受け取れる。

※ソーシャルメディア(SNS)における存在感。ハッシュタグなどを使って検索した場合などの表示頻度や件数などに影響される。

 同テーマパークは、運営会社が財政難に陥り、園内の工事や整備を担当した業者への数億円もの支払いを滞らせ、訴えを起こされているという事実も。

 テイラー側は、商標権侵害にあたる行為はなく、テーマパーク側が訴訟には勝てなくとも、テイラーに絡むことでパークの知名度が上がるだろうという“売名”を目的として訴えを起こしたのではないかと突っぱねていた。

 エヴァーモア・テーマパークが訴えを起こした際には、テイラーのファンたちもカンカンだったが、今回の反訴により、テイラーは“理不尽な要求には一歩も引かない”という姿勢を見せつけた。(フロントロウ編集部)

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