第78回ゴールデン・グローブ賞の開催直前に複数のスキャンダルが発覚した、主催団体のハリウッド外国人映画記者協会。実際の授賞式では、司会者がこの件をいじるシーンや、普段は裏方である役員たちがステージに登場して騒動に触れるシーンがあった。(フロントロウ編集部)

司会者やプレゼンターが黒人会員問題をネタに

 ハリウッドを代表するアワードのひとつであるゴールデン・グローブ賞の結果を決めるハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員の中に黒人会員が1人もいないことを米Los Angeles Timesが授賞式直前に発表して、HFPAに持ち上がった、投票する側の多様性の低さという問題。

 日本時間3月1日に幕開けた授賞式では、司会者のティナ・フェイとエイミー・ポーラーがこの問題にオープニングから「多くの黒人俳優や黒人によるプロジェクトが(ノミネートで)無視されました」と言及。

画像: コロナ禍において出席者が遠方へ移動しなくても良いように、司会の2人がLA(西海岸)とNY(東海岸)にわかれて、初の2海岸での会場からの開催となった。

コロナ禍において出席者が遠方へ移動しなくても良いように、司会の2人がLA(西海岸)とNY(東海岸)にわかれて、初の2海岸での会場からの開催となった。

 「アワードというものがバカげているのはみんなが思っていることです」と語って笑いを誘ったティナは、「ただバカげていることにおいても、インクルーシヴな環境を作ることは大事なのです。そしてハリウッド外国人映画記者協会には黒人会員がいない」とはっきり言及。続けて「あなたたちはそれを変えなくてはいけません」と協会に訴えて、最後に「そうしたら、このヨーロッパの変人たちが今年ノミネートしたものを見ていきましょう!」とジョークを飛ばした。

 さらにティナは、ディズニープラスの映画『ソウルフル・ワールド』を紹介するときには、「『ソウルフル・ワールド』は猫の体の中に中年の男性が誤って入ってしまうというピクサーのアニメ映画です。HFPAはこの映画に好印象を抱きました。なぜなら会員には猫もいますから」と語り、再び会員問題に触れた。

 また、この日は、プレゼンターがこの件に触れるシーンも。

 コメディ/ミュージカル部門主演男優賞の受賞者を発表するためにスーザン・ケレチ・ワトソンと一緒にステージに立ったスターリング・K・ブラウンは、「It’s great to be back to the Golden Globes(ゴールデン・グローブ賞に戻ってこられて嬉しい)」という典型的なフレーズの「back」という言葉を「black」に変えて、「黒人としてゴールデン・グローブ賞にいられて嬉しい」と皮肉を込めたコメントをした。

役員たちがステージに登場、改善を約束するが

 一方のハリウッド外国人映画記者協会は、アワード開催前に発表した声明で黒人ゼロ問題に触れ、「行動計画を早急に実行に移す」と約束して、授賞式でもこの件について語ると予告。その言葉どおり、本番では、役員を務めているメヘル・タトナ、ヘレン・ホーン、アリ・サーの3人が登場して以下のように語った。

「私たちにも果たさなくてはいけない役割があることを認識しています。映画やテレビと同じように、黒人のレプリゼンテーションは不可欠です。我々の組織には黒人ジャーナリストがいなければなりません。全員が席を確保しなければなりません。それは、多様性が、例外ではなく当たり前になるような環境を作ることを意味します」

 そして最後に「ありがとうございます」と感謝を述べて締め括られたこのシーン。

 ツイッターでは瞬時に「HFPA」がトレンドにのぼったものの、具体的な行動計画などには一切触れられなかったことから、「中身がない」「司会者の言ったことの方がまだ内容があった」などと、冷めたリアクションが多い。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.