ビヨンセがファンのために歌う
シンガーとして数々のヒット曲を世に送り出し、現在ではその影響力を使い女性の権利向上や黒人の人権などに声をあげているビヨンセ。世界中にファンを持つビヨンセは、1人のファンのためだけに何かを行なうということはそう頻繁にはないこと。
しかし2020年10月、ビヨンセの大ファンであるリリック・シャネルという脳のがんで闘病生活を送っている少女が、術後のリハビリとして「Irreplaceable(イレプレイスブル)」をはじめ、「Upgrade U(アップグレード・ユー)」、「Apeshit(エイプシット)」といったビヨンセのヒット曲に合わせて体を動かしたり、「Hold Up(ホールド・アップ)」や「Halo(ヘイロー)」といった楽曲を歌ったりしていたところ、その動画がビヨンセの目にとまり、ビヨンセはリリックにプレゼントを贈ったことがある。
ビヨンセはリリックに白いバラや胡蝶蘭が目を引く、ゴージャスな花束を贈ると、その花束にファンの中で人気が高い「Love On Top(ラブ・オン・トップ)」の歌詞の一部を用い、「『ハニー、ハニー、ここからずっと星が見え、あなたが近くにいるといつでも太陽を感じることができる』この歌詞があなたに影響を与えているのを見て感動した。けど、あなたが私に与えた影響には及ばないけどね。いつの日か会えるのを楽しみにしている。あなたが家に無事に帰ってくれて嬉しい。あなたはサバイバー(生存者)。神のご加護がありますように。B」というメッセージを添えた。
その後、順調にリハビリを行ない、回復へ向かっていると願われていたリリックだけれど、その願いは叶わず、若くしてこの世を去ってしまった。そして、その訃報はビヨンセの元にも。ビヨンセはリリックのためにスペシャルメドレーを捧げ、その動画を公開した。
ビヨンセは自身のサイトで「Brown Skin Girl(ブラウン・スキン・ガール)」、「Halo」「Love On Top」の3曲のアカペラを披露。「Love On Top」では、歌詞にある「ベイビー」という部分を「リリック」に変え、リリックのことを追悼。そしてビヨンセの歌声にリリックの写真や映像を合わせ、最後に「心から愛しています」という言葉で締めくくった。
コロナ禍ということも重なり、ビヨンセが花束と一緒に送ったメッセージに綴られていた「いつの日か会えるのを楽しみにしている」という約束は果たすことができなかったけれど、ビヨンセは歌という最高の贈り物でリリックを追悼した。
(フロントロウ編集部)