デミ・ロヴァートがドキュメンタリー番組で“すべて”を語る
元ディズニー・チャンネル・スターでシンガーのデミ・ロヴァートが“すべて”を語る、YouTubeのドキュメンタリー番組『Demi Lovato: Dancing with the Devil(原題)』がサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)でプレミア上映され、2018年に薬物の過剰摂取によって意識不明の状態に陥った時に彼女の身に起きたことや、それによって思い出された過去のトラウマなど、これまでに公表されていない事実が次々と明かされた。
再び薬物とアルコールに手を出した夜
10代の頃からディズニー・チャンネルで活躍していたデミが、最初に薬物に手を出したのは17歳の時。それから薬物を摂取することが日常的になり、アルコールにも頼る荒れた生活を送っていたデミは、その後、依存症を克服するために約6年間にわたって「Sober/ソーバー(※薬物もアルコールも一切摂取していない状態のこと)」を貫いていた。
しかし、2018年、デミはSober歴6年のお祝いをした直後に再び薬物とアルコールに手を出してしまう。
「その夜、赤ワインのボトルを開けて30分も経たないうちに、薬物を持っている人物に連絡した。あの日、オーバードーズをしなかったことに自分でも驚いてる。6年前に付き合いがあったヤクの売人と、パーティーで再会したの。そして、それまでやったことのないドラッグをやってしまった」
デミいわく、「それで死んでもおかしくなかった」という量の違法薬物や薬をアルコールと混ぜて摂取したそうで、その約2週間後にはコカインに加え、最も依存性が強いとされるヘロインにまで手を出すようになっていた。
「今思えばたくさんの危険信号があった」。こう話すのは、当時のことをよく知るデミの友人シラー・ミッチェル。シラーによると、友人との集まりに参加したデミが突如姿を消したため、心配して様子を見に行くと、バスルームでデミが薬物らしきものを吸引しているところに遭遇したという。しかし、シラーが「一体、何やってんの?」と声をかけても、デミはシラーの存在に気づいてすらいなかったそうで、その姿を見て「恐ろしくてたまらなかった」と語った。
ちなみに、デミは再び薬物に手を出したことを、親しい友人を含むすべての人たちから悟られないように「必死で隠していた」そうで、「私はコカインやヘロインの依存症であることを隠すのが上手だった」とドキュメンタリー番組のなかで振り返っている。
薬物の過剰摂取によって意識不明の状態に
そして、ついに恐れていたことが起きた。友人の誕生日パーティーがお開きになったある日の朝方5時頃、デミはベッドに入って寝るかわりに薬物の売人に連絡して自宅に招いた。
その夜、売人から与えられた大量の薬物によってハイ状態になったデミは、オーバードーズをして意識不明の状態に。翌朝、彼女のアシスタントによって発見された際、デミの体は全身“真っ青”になっていたそうで、病院に救急搬送されてからしばらくのあいだ生死の境を彷徨った。
意識不明の状態で売人から性的暴行を受けていた
しかし、オーバードーズをした日に起きたことはこれだけではなかった。デミによると、薬物の売人は瀕死状態の彼女のことを放置しただけでなく、彼女の意識がないのをいいことに同意なしの性行為、つまり性的暴行に及んだのだという。
目が覚めた時に病院関係者から「合意の上でセックスをしましたか?」と聞かれ、ほんの一瞬だが、男性が自分に覆いかぶさる映像が頭に浮かんだため「はい」と答えたというデミ。当時の自分が「(合意するかしないか)判断できる精神状態ではなかった」ということに気づいたのは、それから1ヶ月ほど経ってからだった。けれど、彼女は“どうせ信じてもらえない”という思いから、被害について口をつぐんだ。
15歳の時、交際相手にレイプされて処女を失う
この辛い経験について振り返った直後、デミの口から出たのは「10代の頃、似たような経験をしたことがある」という、さらにショッキングな言葉だった。「(被害にあった)1ヵ月後、その人物に電話して、自分が主導権を握ることで正そうとしたけど、ただ気分が悪くなっただけだった」と言うと、こう続けた。
「何年も自分を責め続けていた。だからこそ、それがレイプだったという事実を受け入れるのにとても苦労した。私たちは付き合っていたけど、ちゃんとこう言った。『ねえ、これ以上は無理。私は処女だし、こんなかたちで失いたくない』って。でも、彼らはそんなことはお構いなしで、結局、行為に及んだ。私はそれを自分のなかだけで処理して、悪いのは自分だと言い聞かせた。なぜなら、(レイプされたあとも)私はまだ彼の部屋に行っていたし、彼と付き合っていたから」
当時、ディズニー・チャンネルで活躍していたセレーナ・ゴメスやニック・ジョナスは、「結婚するまで純潔を守る」と公言していて、デミもそのグループの一員だった。しかし、実際にはデミの処女は同意なしの性行為によって奪われ、被害に遭ったあとも、その相手を避けることができない状況にあったことを明かした。
デミは加害者の名前こそ明かさなかったが、同業者であったことは間違いないようで、周囲の大人に被害について打ち明けるも、相手の男性はデミが被害を告発したあともお咎めを受けるどころか、何事もなかったかのように映画に出演し続けていたという。
“声をあげたのに何もしてもらえなかった…”。この時の経験から、数年前にMeTooムーブメントが活発化した時は黙っていたデミだが、「同じような目にあった人たちはみんな声を上げるべき」との思いから、今回、被害に公表することにしたと語っている。(フロントロウ編集部)