世界水の日とは? いつ・誰が・何のために制定した?
世界水の日(World Water Day)は、1992年12月に国連総会で制定された国際デー。世界の水危機を知ってもらい、それに対するアクションを呼びかけることを目的としていて、2030年までに安全な水とトイレを世界中に行き渡らせるというSDGsの目標6の達成に重点を置いている。
世界水の日、毎年のテーマは?
- 2022年のテーマは「地下水-不可視なものを可視化する(Groundwater – Making the Invisible Visible)」。世界の淡水の大半が地下水であり、岩や土壌に蓄えられた地下水は非常に重要な資源。しかし地下水の貯蔵量も把握されていないなど見えない部分が多く、国連は「地下水源の探査、監視、分析を改善する必要」があるとしている。2022年はそんな大きな水資源である地下水にスポットライトを当てるテーマとなっている。
「人類の水に対する需要は、拡大しています。過度の利用、汚染、気候変動により、水資源への圧力が高まっています。干ばつや熱波はより激しく、より頻繁に発生しています。海面上昇により、沿岸の帯水層への塩水浸入が進んでいます。地下水の帯水層は枯渇しつつあります。水は、紛争だけでなく、協力のきっかけにもなりえます。私たちが協力し、世界の地下水供給を含む、すべての水資源の管理を改善することが不可欠です。地下水は目に見えませんが、無視することは許されません。岩や土壌に蓄えられた地下水は、液体の淡水として最大の水源です。地下水は、飲料水の供給、衛生システム、農業、工業、そして生態系を支えています。しかし、世界の帯水層の約20%が過剰に利用されています」ーユニセフのアントニオ・グテーレス国連事務総長、2022年のメッセージ
- 2021年のテーマは「水を大切にする(valuing water)」。水は、生活、食料、文化、健康、教育、経済、そして自然環境の健全性にとって、膨大かつ複雑な価値を持っている。国連は今年の3月22日は、SNSで“自分にとっての水の価値(value)は何か?”という思いをシェアしてほしいとしている。
「世界の水危機は近づいているのではなく、すでに到来しており、気候変動はそれをさらに悪化させるでしょう。最も影響を受けているのは子どもです。井戸が枯れてしまうと、子どもたちは学校を休んで水を汲みに行きます。干ばつで食料が不足すると、子どもたちは栄養不良や発育阻害に陥ります。洪水が起きれば、子どもたちは水に起因する病気にかかります。また、水資源が減少すると、子どもたちは病気を防ぐために手を洗うことができません」―ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォア、2021年のメッセージ
世界水の日に関連する4つのキーワード
水不足 (Water scarcity)
水の需要が供給を上回り、利用可能な水資源が持続可能な限界に近づいている、または超えてしまっている状態のこと。水不足の原因には、物理的なものと経済的なものがある。
2017年に発表されたユニセフの報告書では、2040年までに世界の子どもの約4人に1人が、水源が極端に少ない地域で暮らすことになるとされた。
水ストレス (Water stress)
水不足の結果起こる、水の質や利用しやすさの面での不足のこと。水ストレスは、水資源をめぐる紛争、過剰な取水、健康状態の悪化や病気などの形で現れる。
世界では22億人が水道の設備がない暮らしをしており、ユニセフ(国連児童基金)の2021年の発表によると、世界の子どもの5人に1人が、日々の生活に必要な水を十分に得られていないという。
極度の水の脆弱性 (Extreme water vulnerability)
特定の人口に影響を与える「最高レベルの物理的な水不足」と「最低レベルの飲料水サービス」が組み合わさった状況を指す。
ユニセフ(国連児童基金)が2021年に発表した分析によると、水に対する脆弱性が高いまたは極めて高い地域に暮らす子どもの割合が最も高いのは東部・南部アフリカで、半数以上の子どもたち(58%)が毎日十分な水を得ることが困難な状況に直面してる。次いで、西部・中部アフリカ(31%)、南アジア(25%)、中東(23%)。水に対する脆弱性が高いまたは極めて高い地域に住む子どもの数が最も多いのは南アジア(1億5,500万人以上)。
水の安全保障 (Water security)
平和で政治的に安定した環境の中で、暮らし、福祉、社会経済的発展を維持し、水による汚染や水関連の災害から身を守り、生態系を保全するために、適切な量の許容できる質の水への持続的なアクセスを確保すること。水の不安は、これらのニーズのいずれかまたはすべてが満たされない時に起こる。
ユニセフでは、すべての子どもが持続可能で気候変動に強い水サービスを利用できるようにするために「すべての人のための水の安全保障(Water Security for All)」イニシアチブを立ち上げている。
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