今年公開のドゥニ・ヴィルヌーヴ版『DUNE/デューン』
SF超大作『DUNE/デューン 砂の惑星』の全米公開が、ついに今年の10月に迫っている。アメリカ人作家のフランク・ハーバートによって生み出されたSF小説シリーズには多くのファンがおり、そのなかには映画制作者たちの名前も。
『デューン 砂の惑星』は1984年に、ディノ・デ・ラウレンティスが製作総指揮、デヴィッド・リンチが監督を務めて映画化されたけれど、技術が発展した今、ふたたびその世界が映像化されることには多くのファンが期待。
とくに、2021年版では『ブレードランナー 2049』や『メッセージ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンを取り、主演が個性派俳優のティモシー・シャラメであることは、見る前からそのクオリティに信頼が寄せられるというもの。
しかし、84年版で主役ポウル・アトレイデスを演じたのも、今では日本でも有名なあの俳優だったことを覚えているだろうか。それは、カイル・マクラクラン。
原作ファンであるカイル・マクラクラン
大ヒットドラマ『ツイン・ピークス』や『セックス・アンド・ザ・シティ』などへの出演で知られ、過去には日本の缶コーヒーのジョージアや、スバル インプレッサのCMにも出たことがあるカイルは、『デューン/砂の惑星』が映画初出演作。
彼が主演した84年版は制作過程で様々なトラブルに見舞われ、リンチ監督はその仕上がりに納得がいかず、失敗作だったと認めている。そして、その経験から、2021年版にも興味がまったくないと公言している。しかし、カイルは異なる思いを持っているそうで、米Comicbookのインタビューでこう語った。
「見るのが楽しみだよ。ドゥニは素晴らしい映画制作者だと思う。かっこいいキャストたちを集めたしね。(原作が)大好きなんだ。多分、15歳の頃に初めて読んだから、1972年から1973年頃だね。今でもファンだよ。とくに1作目が好きかな。1番好きな本、間違いなくお気に入りのうちの1つだね。毎年読み返してるんだ。だからデヴィッドとは違う思いがある。原作は豊かで、(各キャラクターたちの)関係性は興味深く、その解釈には様々な方法があるはず。だからドゥニがどうしたかを見るのが楽しみだ」
カイル・マクラクラン、『DUNE/デューン』は劇場で
壮大なSF大作が秘める可能性は無限にある。原作ファンとしての姿勢が強く見えたカイルだけれど、だからこそ、『DUNE/デューン 砂の惑星』の配給会社であるワーナー・ブラザースのあの決定は残念に感じているよう。
ワーナー・ブラザースは新型コロナウイルスの影響を考え、2021年中は映画が劇場公開されると同時に自社動画ストリーミングサービスのHBO Maxでの同時配信を決定している。『DUNE/デューン 砂の惑星』もまた、劇場公開とHBO Maxでの配信が同時に始まる予定で、そのことについてカイルは、米Seattle Timesでこう話した。
「(劇場と配信の)同時リリースは未来の新たな波の一種なんだろう。でもそれには失望する。あのような映画は大きなスクリーンで見られるべきものだから」
ワーナー・ブラザースの同時配信に関しては、やはり、大画面で見られるべきと考えるSFアクション作品の分野から批判が多く、『インセプション』や『TENET テネット』などのクリストファー・ノーラン監督も痛烈に批判していた。
とはいえ、『DUNE/デューン 砂の惑星』のファンは言われずとも劇場に足を運び、大画面で見る気満々の人も多いのではないだろうか。作品の公開は、全米で2021年10月、日本で2021年秋を予定している。(フロントロウ編集部)