クリス・ヘムズワース、「シリアスな役者」と評価されないのはアレのせい
俳優のクリス・ヘムワースは、映画『マイティ・ソー』シリーズで主演を務め、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のヒーローたちが集結した『アベンジャーズ』シリーズにも出演。そのほかにも22年の時を経てリバイバルしたSFアクション映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』やNetflixのオリジナル映画『タイラー・レイク -命の奪還-』などで、彼にしかできないタフでワイルドな演技を披露している。
話題作の数々に出演しているクリスだが、本人としては、世間からは演技派や本格派の役者として評価されていないと感じているようで、その理由には、もはや自身の代名詞となっているマッチョなボディが災いしているのではないかと考えているという。
英The Telegraphとのインタビューで“シリアスな役者”の定義に言及したクリスは、「ボディビルディングは虚栄心の表れだととらえられている。でも、もし僕が役のために不健康なほどに太ったり、不健康なほどにガリガリに痩せたりしたら、人々は僕をシリアスな役者だと呼ぶだろうね」とコメント。
役づくりのためにどんなに健康にマッチョ化しても演技派としての評価は上がらないけれど、その逆で不健康に太ったり痩せたりしたら、世間はあっと驚き、“あの人は演技派だ”と高く評価するだろうと語った。
「メイクアンダー」のほうが高く評価される?
確かに、アカデミー賞やゴールデングローブ賞をはじめとする権威あるアワードでは、演技の説得力にくわえて、役のために激やせしたり、激太りしたりと、通称「メイクアンダー(makeunder)」と呼ばれる、外見をあえて魅力的ではないように見せる変身を遂げた俳優が高い評価を受けがちな傾向にあるといっても過言ではない。
過酷な役作りで知られる俳優のクリスチャン・ベールは、2004年の映画『マシニスト』で1年間寝ていない主人公を演じるため、4ヶ月の間、毎日ツナ缶1つにリンゴ1個だけという食事で30キロ減量して世間をあっと言わせたほか、2013年公開の映画『アメリカン・ハッスル』ではファストフードやアイスクリームのドカ食いで肥満体型に。同作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞(コメディ部門)の主演男優賞にノミネートされた。
カメレオン俳優の異名をとるシャーリーズ・セロンは、2003年公開の映画『モンスター』で、実在した連続殺人鬼のアイリーン・ウォーノスを演じた際、見た目を近づけることにくわえて、アイリーンの気持ちを理解するためという目的で約13キロの増量を行なった。同作でアカデミー賞とゴールデングローブ賞(ドラマ部門)の主演女優賞をダブル受賞したシャーリーズは、2017年に公開された映画『タリーと私の秘密の時間』で3児の子供の育児に追われるシングルマザーを演じるために3カ月半で22キロの増量。同作での体当たりな役作りも高く評価された。
クリスチャンとシャーリーズはとくに有名な例だれど、このほかにもハリウッドでは、たくさんの俳優たちがメイクアンダーにより“演技派”の称号を手にしている。
マッチョ化だって立派な役づくり
クリスとしては、自身のように役のために体をビルドアップしていく俳優だって、メイクアンダーと同じか、それ以上の努力をしていると自負。
「10年間におよぶトレーニングは、まさにフルタイムの仕事。それにくわえて12時間もの撮影をしているんだから、本当にキツいんだ。でも、とんでもなくやりがいはある。プロのアスリートと同じだと思って欲しいね」。
『マイティ・ソー』シリーズの最新作『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』のために、今まで以上にハードなトレーニングに励み、パンデミック禍でもコロナ太りをするどころか、ますますマッチョ化して「いよいよ最終形態か? 」ともいわれるキレキレのボディへと進化を遂げたクリス。
マーベル仲間にも「もう筋トレやめて」とお願いされてしまうほどだけれど、10年以上も日課にしているワークアウトを休止すると、体のあちこちに不具合や異変が生じてしまうため、クリスは、“もう続けるしかない”という境地にまで至っていることも明かしている。(フロントロウ編集部)