『ザ・ボーイズ』のアヤ・キャッシュが、ヒーローであり人種差別主義者であるストームフロントを演じることについて感じていた不安を語った。(フロントロウ編集部)

人種差別主義者のヒーロー、ストームフロント

 現在シーズン3の撮影が進められているAmazonプライム・ビデオの大ヒットドラマ『ザ・ボーイズ』は、腐敗したヒーロー集団“セブン”と、彼らをビジネスに利用するヴォート社、そしてそんな彼らの闇に立ち向かう“ザ・ボーイズ”との戦いを描くシリーズ。

 2020年にリリースされたシーズ2では、シーズン1よりもさらにクセの強いキャラクターたちが加わった。そのなかでも、アヤ・キャッシュ演じるストームフロントの存在はアクが強かったと言える。

画像1: 人種差別主義者のヒーロー、ストームフロント

 白人至上主義者である彼女は、セブン内部でもホームランダーと対立し、シーズン2の最後では驚くべき展開を迎えた。物語を作ることは、観客の価値観に影響を与える責任がある。『ザ・ボーイズ』では、ヒーロー集団が悪役であるというねじれが前提としてあり、さらにそこに白人至上主義者であるストームフロントを描くことは、制作陣による綿密な計算が求められた。

 そして、ストームフロントを演じたアヤもまた、演じる前には不安があったという。しかしオーディションの際に、ショーランナーで脚本家でもあるエリック・クリプキと話しをしたことで、差別主義者のヒーローをどうすれば美化しないで描けるかという考えに納得できたという。

 「まったく好かれないキャラクターや悪者を演じることに何も問題はないけれど、このキャラクターは知性をもって扱われなければならないものだった。私が同意できないような方法でこのキャラクターが美化されることはあってはならなかった。でも彼女は理由があってそこにいる。だからエリックと話した後は、すごく、すごく守られていると感じた」

画像2: 人種差別主義者のヒーロー、ストームフロント

2020年に配信された『ザ・ボーイズ』シーズン2

 米Colliderのインタビューで、制作陣と自分の考えが合っていると感じられた当時を振り返ったアヤだけれど、とはいえ、そのキャラクターが画面に映ることに不安を覚えたことはあったという。とくにシーズン2が放送開始となったのは、新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、アメリカ合衆国大統領選挙もあった2020年。世界が混乱したその時に、配信が開始となることには、プレッシャーもあったよう。

 「このキャラクターによって、このキャラクターを見ることによって人々が傷つくんじゃないかって、怖くて不安を感じた時は、もちろんあった。正直に言って、2020年は信じられないくらい酷い年だったでしょう。パンデミックだけでなく、アメリカにおける人種の問題とか、本当に多くの理由から。そして私は、白人至上主義者を演じた。だからいろいろな感情が浮かんできた。『心配することないよ!彼女には罰が下されるから。これがオーケーだなんてありえない!これをオーケーだって言う人なんていない!』って」

画像: 2020年に配信された『ザ・ボーイズ』シーズン2

 しかしながら、良い人も悪い人も、様々なキャラクターが登場する『ザ・ボーイズ』において、ストームフロントの存在は物語のなかで活きたといえる。

 シーズン2の最後には、あのような姿になったストームフロントだけれど、アヤはシーズン3に戻ってくることにも意欲を見せていた。またシーズン3より、ジェンセン・アクレスソルジャーボーイ役で加わることも発表されており、ファンの期待は膨らんでいる。(フロントロウ編集部)

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