トム・クルーズ、撮影スタッフにブチギレた時のことを振り返る
2020年12月、イギリスで映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの第7弾&第8弾を撮影していた俳優のトム・クルーズが、2メートル以上の対人距離を確保するソーシャル・ディスタンス(社会的距離)のルールを軽視した現場スタッフに対して、「(あのようなことは)もう二度と見たくない!二度とだ!!言われた通りにできなければ、お前はクビだ!ここにいるクルーの誰かがまた同じことをしてるのを目撃したら、お前はここからいなくなると思え!」と、Fワードと言われる放送禁止用語を交えて激怒する音声が英The Sunを通じて全世界に公開された。
トムのあまりの激昂ぶりに世間には衝撃が走り、あの一件をきっかけに“5人のスタッフが辞めた”という話もあるが、業界内ではトムを擁護する声も多く挙がり、同年代の俳優であるジョージ・クルーニーは「過剰反応だったとは思わない。だって、実際に(コロナ禍でルールを破ることは)問題だからね」とコメント。さらに、長年、『ミッション:インポッシブル』の撮影に携わってきたという関係者は「『ミッション:インポッシブル』は彼にとって本当に特別な作品なんだ。(コロナ禍での撮影を実現させるために)トムは感染対策ルールを決める際にも協力した。だからこそ、それを破る者が出てきたら個人的に受け止めるのは当然だ」と米Peopleに擁護した。
曲がったことが大嫌いで“完璧主義者”であるがゆえに起こってしまったブチギレ事件だが、トム本人は、ついスタッフに怒鳴り散らしてしまったことについて一体どう思っているのだろうか?
騒動から5カ月が経とうとしているなか、トムが米Esquireとのインタビューで当時の心境について語った。
言うべきことを言ったまで
「言うべきことを言ったまでだよ」と、まったく悪びれる様子もなく語ったトムは、「あの時はいろんな危機に直面していたからね…」とパンデミック禍で作品の“座長”として感じていたさまざまな責任やプレッシャーを回顧。
「でも、撮影クルー全員に対してあんな風に言ったわけじゃない。確かに何人かは辞めさせたけど、ほんの一部の人たちだけ」と、騒動の後、数人のスタッフがセットを去ったことは事実だと認めつつ、「でも、(一度目の撮影休止以降)撮影がシャットダウンされたことは一度もなかった。今だって、無事に撮影できているし」と自身が取った行動には一点の曇りもなく、結果オーライだと胸を張ってみせた。
『ミッション・インポッシブル』の最新作がコロナ禍で最初に撮影延期を余儀なくされた作品の1つだったことにふれ、「僕のなかではいろんな感情が渦巻いていたよ」「撮影クルーたちに撮影を再開できると知らせることができた時には、すごく安心した。すごく感情的だったな…」とも語ったトム。
パンデミック禍での日常がどう進んでいくか、映画業界の人々の仕事にどんな影響を及ぼすのか、まだ先行きが不透明だったなかで、ようやく撮影再開の目途が立ち、撮影クルーにまた一緒に仕事ができると伝えられたことは、トムにとってエモーショナルなことだったよう。
一般の多くの人たちと同じく、コロナ禍では、ウェブ会議アプリのZoom(ズーム)を通じて、友人や子どもたちとのパーティーにリモート参加していることも陽気に明かしたトム。
撮影がいよいよ終盤に差し掛かっているという『ミッション・インポッシブル』最新作では、非常事態のなかでも、「史上最もハードだった」と自認する命がけのアクションシーンに挑戦してきたが、トムにとっては、つかの間のZoomパーティーが一服の清涼剤になっているのかも。
『ミッション・インポッシブル7』は2022年5月27日、『ミッション・インポッシブル8』は2023年の7月7日に米公開を予定している。(フロントロウ編集部)