Photo:ゲッティイメージズ,スプラッシュ/アフロ,ニュースコム
シンガーのレディー・ガガが以前から公表していた過去のレイプ被害について振り返り、当時、自身に性的暴行を加えた相手の子供を身ごもったことを明かした。(フロントロウ編集部)

※注意:この記事にはレイプ、性的暴行、自傷行為に関する記載が含まれます。

レディー・ガガ、過去のレイプ被害を振り返る

 イギリス王室のヘンリー王子と大物司会者のオプラ・ウィンフリーがスタートした、メンタルヘルスがテーマのApple TV+のドキュメンタリーシリーズ『The Me You Can’t See(原題)』の第1回目にシンガーのレディー・ガガがゲスト出演。

 過去のトラウマやメンタルヘルスについて語るなかで、若い頃に経験したレイプ被害が現在でも自身の生活に暗い影を落としていることに言及したガガは、19歳の頃、ある音楽プロデューサーからスタジオに軟禁され、性的暴行を加えられたことについて涙ながらに振り返った。

画像1: レディー・ガガ、過去のレイプ被害を振り返る

 「当時、私は19歳で、すでに音楽業界で仕事をしていました。ある音楽プロデューサーに『服を脱げ』と言われました。私がノーと言ってその場を去ると、彼らは私の音楽をすべて燃やすと言いました」。

 脅迫は続き、「凍りつくしかなかった」というガガ。その後に起きた事については、つらすぎて記憶から消してしまいたいためか「あまりよく覚えていない」という。

 ガガがこの時の体験について語るのは初めてではなく、2014年に出演した出演したラジオ番組で20歳以上も年上の音楽プロデューサーから日常的にレイプされていたと初告白。 

 その後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいることを明かし、性的暴行の被害者としての立場から、自身と同様に過去のトラウマや現在進行形の苦しみを抱えるサバイバーたちを支援するため、何度も声を上げてきた

画像2: レディー・ガガ、過去のレイプ被害を振り返る

 しかし、ガガは現在に至るまで、自身に危害を加えた加害者の正体を名指しにして明かすことはしていない。

 その理由について、ガガは、2019年に行なわれたオプラとのインタビューで「私は追体験をしないためにも、(レイプ犯が)誰なのか明かさないことを個人的に選んだのです。これは私個人の選択です。そして世界がこの選択を尊重してくれることを願います」と語っていたが、今回の『The Me You Can’t See』でも、セクハラ撲滅運動の「#MeToo」などを通じて、加害者を実名告発することが“しっくりくる”と感じる被害者たちが多いのも理解できるが、「自分にとってはそうではありません」「私はあの人物(加害者)の顔も見たくないんです」と繰り返した。


レイプにより「妊娠させられた」ことを告白

 音楽プロデューサーからの性的暴行被害にあってから数年後、体に痛みがあったことから病院を受診したガガ。繰り返し襲ってくる激痛が、やがて身に覚えのある麻痺したような感覚に変わり、何週間も苦しめられたという。

 ガガは、この時の痛みが、なぜ“身に覚えがあるのか”を自問。すると、それが性的虐待を受けていたときに感じていた痛みと一致することに気がついたという。

 「あの人物にレイプされ、妊娠させられて、私の両親の自宅の近くに置き去りにされたときに感じた痛みと同じだと気づきました。私は虐待され、嘔吐したり、体調を崩していました。当時は、スタジオに何カ月間も閉じ込められていたんです」。

 この言葉のなかで、ガガはレイプ被害の末に加害者の子供を身ごもっていたことを初告白した。


キャリア全盛の裏で「精神崩壊」

 2017年の秋に体に慢性的な痛みやこわばりが生じる「線維筋痛症」を公表し、当時行なっていたワールドツアーの終了を機にしばらくの間休養に入ったガガ。うつや不安障害を併発しやすいといわれるこの病気には、過去のレイプ体験によるPTSDが大きく関係しているとも言われていた。

 2019年、主演映画『アリー/ スター誕生』のために手がけた主題歌「シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた」がアカデミー賞の歌曲賞するなど、キャリアが新たな絶頂を迎えていた裏でも、ガガは「精神崩壊」を経験していたという。 

画像: キャリア全盛の裏で「精神崩壊」

 「2年くらいの間、私はまるで別人のようでした。私が感じる痛みは、レイプされた時の痛みと同じもの。MRIやいろんな検査を受けたけれど、医師たちは(原因となるものを)何も見つけることができませんでした。でも、体は覚えているんです」。

 今でも、自分を傷つけたくなる衝動に駆られることがあると明かしたうえで、ガガは、「体を切りつけたり、壁に打ちつけたりすることの何がいけないかって? 自分を傷めつけることの何がダメなのかって? それは、その行為がもっと自分をつらくさせるから」とコメント。

 「『ほら見て、私は痛みを感じているの』と誰かに見せつければ気分がマシになると思うかもしれない。でも、そんなことはない。何の救いにもなりません」と、自傷行為は問題を悪化させるだけであり、何の解決にもならないと、自分自身を諭すかのように語った。

 現在では、自分を闇から「引っ張り上げる方法を学んだ」というガガ。時間はかかったけれど、ようやく「少しずつすべてが変わり始めている」と話している。

悩みを抱えて相談を必要としている方へ
■性暴力被害ワンストップ支援センター
性犯罪・性被害についての各都道府県の相談窓口。
窓口のリストはコチラ
■女性の人権ホットライン
配偶者やパートナーからの暴力、職場でのセクハラやストーカー、イジメなど、女性の人権トラブルの相談を受けつける法務省の専用窓口。
0570-070-810(8:30~17:15)

(フロントロウ編集部)

※記事公開後に一部文章の表現を読みやすく修正しました。また、過激な内容への注意を追記しました。

This article is a sponsored article by
''.