ここ最近海外では、障がいや難病を抱える人も使いやすいように考えられた美容製品が続々と登場。どんな製品があるのか、注目のブランドとともにご紹介。(フロントロウ編集部)

障がいがある人でも使いやすいコスメに注目

 多様性や包括性を尊重する社会的な動きが反映されて、ビューティ業界でもジェンダーを超えて美を追求できるジェンダーレスコスメが増えるなか、もうひとつ海外で増えているのが、障がいや難病を抱える人も使いやすいように設計された美容製品。

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 国連の統計によると世界で約10億人もの人が、身体的、精神的もしくは感覚的な障がいを持っている。それでもこれまでの多くの美容製品は、障がい者にとっては使いにくく不便に感じる部分がたくさんあった。生まれつき多発性関節拘縮症を患うカリフォルニア州のインディーポップシンガーのマルナ・ミシェルは、「欲しいなと思った人気のコスメがあっても、開けにくかったり持ちにくかったりすることが多いから、パッケージを重視して選んでる」と米Ny timesに明かしている。

 そんな問題を改善するために生まれたのが、「ユニバーサルデザイン」や「インクルーシブデザイン」とも呼ばれる、障がい者にとっても使いやすいよう設計されたコスメやコスメツール、スキンケア製品。欧米では、そんな美容製品を専門に扱うブランドも増えていて、今後さらなる市場の拡大が予想されているという。

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 障がいのある人も使いやすい製品を展開する、注目のビューティブランドを3つご紹介。

GUIDE BEAUTY

 有名メイクアップアーティストとして10年以上のキャリアを積むなかで、突如パーキンソン病と診断されたテリー・ブライアント氏が昨年2月に創設したのが、ユニバーサルデザインのコスメを専門に扱うブランドGUIDE BEAUTY。

 GUIDE BEAUTYのコスメは、障がいを持つユーザーがコスメを使うときにどんな苦労をしているかを調査したうえで、人間工学の専門家と設計チームが製品を開発。力を入れて握らなくても使えるマスカラや、簡単にまっすぐ線が引けるアイライナー、しっかり手元に固定できて震えにくいアイブロウジェルなどを展開して、昨年多くの美容メディアのベストコスメに選ばれた。

Victorialand Beauty

 米国発のスキンケアブランドであるVictorialand Beautyは、視覚障がいを持つ人でも使いやすいように設計されたパッケージの製品を展開するブランド。視覚障がいを持つ子供を育てるヴィクトリア・ワッツ氏が立ち上げた同ブランドは、触れて違いが分かるパッケージのスキンケア製品を開発している。

 Victorialand Beautyは、視力喪失に焦点を当てた非営利団体のLighthouseと協力して、フタの部分に触ることで認識できる記号のエンボス加工をデザイン。点字はすべての人が読めるわけではないため、美容液には雫マーク、夜用のスリープマスクには三日月というように製品の特徴に合わせたモチーフをエンボス加工している。また外装パッケージには、QRコードをエンボス加工していて、読み込むことで、音声でガイダンスが受けられる。

Kohl Kreatives

 さまざまな障がいや難病を抱える人に向けたメイクブラシを販売するのが、2017年に生まれたブランドであるKohl Kreatives。力を入れなくても握れるくびれ型のハンドルや、手に震えがある人でも安全に使えるよう設計された柔軟に曲がるメイクブラシなどを展開している。

 創設者であるトリシュナ・ダスワニー氏は、「パーキンソン病や脳性麻痺、筋ジストロフィー、多発性硬化症を抱える人、顔に火傷や傷を持つ人など、あらゆる人が使いやすいと思えるメイクブラシがつくりたかった」と米Beauty independentに語っている。またKohl Kreativesは、運動障がいや病気を抱える人に向けて、パーソナライズされたメイクアップチュートリアルもオンラインで提供している。

 今回紹介したブランドの製品に施された工夫はどれも、障がいや難病を抱える人だけでなく、みんなにとってもより使いやすくなるものばかり。Kohl KreativesはSNSでこう綴っている。「インクルーシブビューティは、今まさしく“ホットな話題”になっています。でも私たちは人々が、これがトレンド以上のものであると知ってくれることを願います。誰にでも適応する製品やサービスが、すべての業界で求められているのです」。(フロントロウ編集部)

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